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Bullet of defense  作者: もやし好き
第1章 Begins Night
13/42

第13話 強く

「……。」

黒坂は黙ったまま、竹下の爪を睨んでいた。

「今の技を見たことがあるとは、どうやら君を見くびっていたようだ。」

そう言うと爪が一つなくなった左手をぷらぷらと振って見せた。

「この技は、一部のメナスしかできない。」

竹下は黒坂に左手を構え力をこめた。

―ヒュン―

先ほどと同じ音とともに爪はまるで弾丸のように発射され、微動だにしない黒坂の頬をかすった。

「あの時と同じシチュエーション。さあどうするんだ…黒坂君?」

大講堂の二階、観客席に腰を下ろし、一連の動作を見下ろす黒いスーツの男がいた。

「あの時と同じ…。」

黒坂はそうつぶやきかつては悠馬だった灰の近くに転がる刀を拾い上げた。

「あの時?」

竹下は首を捻り黒坂を見る。

黒坂は竹下に刀を構えた。

「関心しませんよ。私は。」

竹下はそう言うと黒坂に爪を構えた。

「いくら、弾がないからといって銃を使うあなたが刀を使って私と勝負になるとでも?」

「……。」

黒坂は構えた刀の先を見つめる。脳裏にはあのときの場面が浮かんでいた。

血の海の中倒れる少女と今よりも若い自分

「守る。絶対に…。」

静につぶやき竹下を見る。

地面を蹴り距離を詰める。竹下は、近づいてきた黒坂に突きの攻撃を与えた。

それを刀で攻撃の弾道をずらし刀の柄の部分で打撃を与える。

「ぐっ…。」

うめき声を上げ隙が出来た竹下にさらに近づき右腕を刀で切り落とした。

「ぐあああああああああ!!」

叫びながら右肩をつかみ数歩後ろにさがる竹下を睨みさらに距離を詰め一気に首をはねた。

竹下の体は緑色の炎に包まれ灰とかした。

「強くなったな。あの頃よりも。」

背後からする声に反応して黒坂は振り返った。

「てめぇ…。」

そこにいた黒いスーツの男は黒坂に拍手をしていた。

次第に漆黒に変わっていく両手を見た後黒坂は叫んだ。

「殺してやる!!」

そう言うと黒坂は距離を一気に詰め刀を振りかぶる。

しかし、そこにはもう男はいなかった。

「違うだろ?」

後ろから響く声に反応し振り向く、そこには腕組みをして立っている男がいた。

「あの時と今の君は違う。君の武器はそれじゃないはずだ。」

男は振り向いた黒坂が握っていた刀を指して言った。

「お前だけは…お前だけは…。」

目に涙を浮かべつぶやく黒坂を横目で見た後、男はニヤリと笑い杏里のもとへと歩いていった。

「今の君ではあの時と同じ結果を繰り返すだけだ。」

杏里を肩に抱き黒坂に言った。

「違う!!俺は強くなった!大切なものを守れるくらいに!!」

黒坂は叫ぶと男のもとへと刀を構え走り出した。

「また、次の機会にしよう。」

そう言うと片手を黒坂に向け

―ヒュン―

という微かな音とともに一気に五つの爪を飛ばした。

キィイイイイイイン

キィイイイイイイン

二つの爪をはじき他の爪は避け黒坂は男の行方を捜すが

そこには誰もいなかった。

「うああああああああああああ!!!」

空虚な空間に黒坂の叫び声だけが響いていた。





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