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毒舌系社畜女子、異世界でも社畜を極めてしまう~可愛げがなくてごめんなさい~  作者: あげは渓名


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「ヒマリ、お前、妖精よりも獣人のがいいってのか⁉」


 そんな二人を見てルチルはクスクス笑う。


「ヒマリたいへ~ん。モテ期到来だぁ~」

「私にそんなもん無い無い。はぁ……お肉とビールさいっこう!」


 スタンはどうやら相当いい肉をお礼にくれたようで、その肉で作ったローストビーフは一口噛む毎に肉汁が溢れ、ビールとの相性は抜群だった。


 今日も元気でビールが美味い!


 この世界に来てそろそろ半年が経とうとしていたある日の事、私がうっかり転移してしまったエトワール国に激震が走った。


「号外ごうが~い! ブランシェ山に聖女が降臨したぞ~! お祝いで今日は号外無料だぞ~! 持ってけドロボー!」

「……ブランシェ山?」


 私は今日の戦利品が大量に入った紙袋を持って首を傾げた。そんな私の紙袋に頼んでもいないのに号外が押し込まれる。


「聖女?」


 何だかよく分からないが、号外が出るほど一大事のようだ。


 とりあえず私は深く考えずに戦利品を抱えたまま帰路についた。こんな荷物になるならクリスを連れてくれば良かった。


 この時の私は後にあんな事になるなんて、だから考えもしなかったのだ。


「ただ~いま~」

「おかえり~。何かあちこちで低級妖精が騒いでんだけど、ヒマリなんか知ってる?」


 家に帰るなり玄関まで私を出迎えてくれたクリスは、私の手から紙袋、ではなくて紙袋に入っていた零れそうなリンゴを一つだけ取って齧りながら言った。こいつはこういう奴だ。


「これじゃない? 何か号外だってさ。聖女がどうのこうの言ってたよ」


 そう言って私は机の上に紙袋を置いてその中からさっき詰め込まれた号外をクリスに渡すと、それを受け取ったクリスは号外を読んで羽をビリビリと震わせる。


「マジかよ……これってもしかして……」

「なに? 何かヤバいの?」

「ん? ああ。僕、もしかしたら間違えたのかも」

「は? 間違えたって?」

「付く相手だよ。うわ~マジか~」


 何だかよく分からない事を言いながらクリスは頭を抱えている。


「付く相手って……もしかして私じゃなかったって事?」

「かも。つか聖女とか今更!? 何でこのタイミング!? あの予言書選定バカになってんじゃねぇの!?」

「いやいや、とりあえずクリス君? どういう事かお姉さんに1から説明してくれる? 聖女にしてもだけど私、イマイチよく分かってないんだけど?」


 にっこり笑って椅子を指さした私を見てクリスは大人しく椅子に腰掛けて大きなため息をついた。


「自分で言うのもなんだけど、僕たち高位妖精ってのは居るだけでその国を豊かにしちゃったりする訳よ」

「うん、それは前に聞いた」

「でさ、高位妖精は力がある代わりに色んな事に制限があって自由じゃない訳」

「そうなの?」

「そうだよ。考えてもみろよ! 気象操れる奴が好き勝手やってみな? 大変だろ? 毎日暴風雨だろ?」

「いや、そこは加減すればいいよね? まぁとりあえず言いたいことは分かったよ。で、自由がないの?」


 私の言葉にクリスは悲しそうに視線を伏せてあざとく言った。


「自由がないの。可哀想なの、僕たち」

「ふーん。で?」

「……お前はほんっとうに冷たい女だよ! まぁいいや。で、それじゃあ高位妖精はどうやって相方を決めるかって言ったら、予言書ってのを使うんだよ。この予言書はとにかく曖昧ではっきり書かれてない訳。それを僕たちは何とか解読してそれぞれの相方を探すわけだよ。でも、だ」

「間違えた、と」

「違う。時期が近すぎて読みきれなかったんだよ」

「それらしく言ってるけど、間違えたんだよね?」

「……まぁ、それでもいいよ。いやだって、まさかこんな短期間に二人も異世界からやってくるなんて思わないだろ!?」


 珍しく焦った様子のクリスに私は言う。


「まぁ私がここに来たのはあんた達妖精の悪戯が原因なんだけどね?」

「いやいや、それはお前が人生に疲れて怪しすぎる物置に入ったからだろ? 何だっけ? 社畜だっけ? それになって」

「なりたくてなった訳じゃないわよ! 私はすぐに引き返したもん!」

「ま、それは運が悪かったよな。でもそれは僕のせいじゃないから。それより今は聖女だよ! どうする!? どうしたらいい!?」


 オロオロと羽を震わせて右往左往するクリスにとりあえず落ち着くように冷たいハーブティーを淹れてやると、クリスはあっという間にそれを飲み干して、美味い! と叫ぶ。


「簡単じゃない。今からあんたが聖女の所に行けば万事解決なんじゃないの?」

「そう簡単に行くか! そもそも名前は二度と変えられない——」

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