新たな王の誕生
エリザベスの暗殺が、リアーナによるものだと判明したとき、リアムとガレン、そしてカイラスはそれぞれが信じる正義の道で激しく衝突した。しかし、カイラスが兄妹に同調するという決断を下したことで、戦いの構図は完全に変わった。
リアムとガレンは、老学者の知恵を借りながら、リアーナとカイラスが率いる新たな勢力と対峙した。リアーナの冷徹な知略と、カイラスの武術は、二人の行く手を何度も阻んだ。しかし、リアムは、彼らがこの国の腐敗を心の底から憎んでいることを知っていた。彼らの行動は、行き過ぎてはいたが、根底にあるのは彼らが信じる正義だった。
最終決戦は、王都を飲み込もうとする「囁く病」の根源、すなわち王家が古代に交わした「血の代償」の呪いが最も強く渦巻く場所で起きた。リアーナは、この呪いを解くためには、リアムの「清き血」と、王族に伝わる古の知識が必要だと知っていた。彼女は、王座を欲していたわけではなかった。ただ、この国を根底から蝕む呪いを断ち切りたかったのだ。
戦いの中で、リアムとリアーナは互いの本質を理解し始めた。リアムは、リアーナの行動が、この国を守るために最も効率的な手段だと信じていることを知った。リアーナは、リアムが持つ、誰をも救おうとする無垢な理想こそが、この国に真の希望をもたらすのだと悟った。
二人は剣を置き、手を取り合った。そして、ガレンとカイラスは、彼らの選択を見守った。リアムの「清き血」が、呪いの核に触れると、リアーナが持つ古の知識と知恵が、呪いの構造を解き明かし始めた。二人の力は、互いに反発することなく、まるで一つの流れのように融合し、王家の血に宿る呪いを、永遠に断ち切ったのだ。
呪いが消え、王都に安寧が訪れた後、リアーナは姿を消した。しかし、リアムは彼女を捜し続けた。彼は、この国を再建するためには、リアーナの知恵と強さが必要だと知っていたからだ。二人は再会し、互いの痛みを分かち合った。対立から生まれた絆は、やがて愛へと変わっていった。
数年後、二人の間には一人の男の子が生まれた。彼の名は、リアムとリアーナから一文字ずつ取って、「リアン」と名付けられた。
リアンは、父であるリアムの優しさと、母であるリアーナの鋭い知性を併せ持っていた。彼は、この国の歴史と、王家が交わした呪いの真実を学びながら育った。彼は、理想だけでは国を救えないことを知り、そして、力だけでも国は栄えないことを理解していた。
王都が復興し、民衆が平和を取り戻したとき、人々はリアムを新たな王として迎えることを望んだ。しかし、リアムは再び王座を拒んだ。
そして、リアンが十代の終わりに達したとき、リアムは彼を王都の広場に連れて行き、民衆の前でこう告げた。
「この国の王は、血筋でも、力でも、ましてや理想でもない。この国の王は、この国の未来そのものだ。」
リアンは、民衆の歓声の中、王座に座った。彼は、父の理想と母の現実主義、二つの血が融合した存在として、この国の新たな統治者となったのだ。彼の治世は、王家の呪われた歴史に終止符を打ち、誰もが幸せに暮らせる新たな時代を切り開いていくこととなる。




