血の裏切り
エリザベス暗殺の犯人が、自分たちを陥れようとする第三勢力だと確信した三人は、協力して真犯人を探し始めた。ガレンが兵の目を使い、リアムが貧民街の情報を集め、そしてカイラスが自身の騎士団の情報網を駆使した。
そして、ある夜。暗殺の際に使われたと思われる、小さな十字の形をした独特の留め具が、情報網を通してカイラスの元に届けられた。それは、王都の鍛冶屋が、ある特定の家族のためにしか作らない、特別なものだった。
その家族とは、カイラス自身の家だった。
カイラスは震える手でその留め具を握りしめた。彼の心臓が、耳鳴りのように激しく脈打った。彼は、その留め具が自分の兄妹、リアーナのものであることを知っていた。
リアーナは、カイラスと同じく騎士団に所属していたが、彼とは正反対の考えを持っていた。カイラスが理想主義を掲げる一方で、リアーナは目的のためには手段を選ばない現実主義者だった。彼女は、王都の貴族たちの腐敗を誰よりも憎んでいたが、それを正すには、血と裏切りが必要だと信じていた。
真実を知ったカイラスは、リアムとガレンにすべてを打ち明けた。ガレンは、カイラスの苦悩を理解しながらも、冷徹に告げた。「身内であろうと、裏切り者は討つべきだ。」リアムは、友人だと思っていたカイラスの兄妹が、殺人を犯したという事実に言葉を失った。
その直後、リアーナからカイラスの元に、一枚の手紙が届いた。そこには、ただ一言、こう書かれていた。
「玉座に座るべき者は、血筋でも理想でもない。最も強く、最も冷徹な者だ。私と一緒に来い、弟よ。」
カイラスの信念は、血のつながりと、信じてきた正義の間で引き裂かれた。彼は、自分の人生で最も困難な決断を迫られることになった。




