第五話∶監視カメラの龍
日本・成田空港 T1 ターミナル
AM11:30 晴れ
入国ロビー。
何中は黒いキャップで灰茶色の巻き髪を隠し、
使い古した革ジャンの袖口はほつれ、
手に握ったバッグの指節が白く浮かぶ。
「ふう……なんでこんなに遅いんだ……」
彼は靴のかかとで床を踏みつけ、苛立ちを抑えた。
──
鋼柱に映る反射の中、
二人の不良が中国人観光客を押しのける。
「シナ野郎、どけ!」唾がスーツケースに飛び散る。
<<三か月前・中国某港>>
船のチケットを指先で握る何中、
海風でビュービューと揺れる。
手背の龍の刺青が月光に赤黒く光る。
スマホの画面が突然炸裂するように点灯——
『警察と“奴ら”が向かっている』
叔父のメッセージは、喉元に刃物を当てられたような感覚。
彼は振り返り、
龍の刺青で焦げた退学通知を見やり、
錆びたコンテナの影に飛び込んだ。
「シナ人、消えろ!」
不良Aが少女のポニーテールを引っ張る!
「うわっ——!」
不良Aの拳は指虎のように硬く、
少女の顔面を打ち付ける。
「黙れ!」
流れる血の匂いが、
何中に鉄錆の匂いを思い出させる。
あの記憶が蘇る。
<<記憶フラッシュバック・校長室>>
『退学?ハッ……望むところだ』
引き出しで燃える灰は四爪の龍影を形作り、
ペットボトルが何中の手のひらで爆裂する!
手背の龍の刺青が突然熱を帯び——
プラスチック片が飛び散る中、
骨の節が炒った豆のようにカチカチと鳴る!
──ドン!
ペットボトルの破片が不良Aのこめかみに命中、
「お前——」
肘打ちは攻城槌のように胃袋を直撃!
「ゲホッ!」
胃液が飛び散り、一瞬で白煙のように蒸発する。
毒蛇のように手指に絡みつく。
「くそ、俺の革ジャンが。」
何中は腕を掴み、回転して肩越しに投げ飛ばす。
不良Aは砲弾のように電子広告板に叩きつけられる!
電弧が青い血管のように炸裂し、
プラスチック片は散弾のように壁に埋まる。
「この痛み、覚えておけ。」
不良Aの頭上に看板の破片が刺さり、
その下には歪んだ「Welcome to Narita」。
何中は帽子を引き、服をまくり上げ、
腰の傷はムカデのように腹筋を這い、
警報の赤い光の下、血肉が湿った光を帯びる。
「飛行機頭、来い。」
不良Bは膝を震わせながら近づき、
二つの頭身分ほど高い陰影を見上げる。
──カチッ!
虎口で顎を掴み、力任せにひねる。
脱臼した顎は壊れた人形のように弾む。
血が蛇行するように滑り落ち——
露出した背筋は鋳鉄のように隆起、
見物人が息をのむ中、
監視カメラの赤い光が急に強まる。
何中は片足で不良Bの背中を踏み、
飛行機頭を床に押し付ける:
「空港に監視カメラはあるか?」
悪党は口角に笑みを裂き、
「なあ、『龍華高校』の伝説、知ってるか?」
床のタイルの反射に映る不良Bの瞳孔が狂ったように縮む——
何中の背後で灰の龍影が牙をむき出す!
──
監視室に煙の匂いが立ち込め、
吉田井川の金縁眼鏡に冷たい光が反射する。
スーツの内ポケットに挟まれた青銅の鱗片が高周波で震える。
「このガキ……」
煙がモニター前で蛇の形に浮かび、
レンズの奥の瞳孔が針先のように縮む:
「さすが……『廉価暴力』の宿主だな。」
犬歯で噛み砕いたタバコがコーヒーカップに落ち、
茶色の液体に渦を巻くような鱗模様が浮かぶ。
それは何中の叔父の後頸から剥がされた龍の鱗だった。