第10話:私の血であなたを救い、あなたの体で私を閉じ込める(2)
バーン!
この一撃は予香の竜鱗防禦印を打ち抜き、
予香の脊椎骨脇の鱗は四散して飛び散り、
彼女は拳風の熾烈な残影に乗って壁に激突した。
……
「ぐふっ——」
井田は突然ひざまずき、血を吐き出した。
「背中が…骨が折れそうだ!」
彼は手のひらの血痕を見つめ、顔に茫然とした表情を浮かべた。
「狂犬め!彼女は吉田の竜血を引いている!」
麗子の叱咤声が彼を目覚ました。
「難道彼女はさっき…」
「旧竜・傷害転移。」
煙塵が晴れたとき、
予香は無傷のまま立っていた。
竜呪が発動した瞬間、
彼女の脊椎の傷口は急速に癒合し、
一方で井田の背中が音を立てて裂けた。
「興味深い…君も混血の雑種か?」
井田が思い返す刹那、
瞳孔が急収縮!
予香が瞬く間に現れた尻尾が彼の首を巻きつき、
「最も嫌いだ…奇襲這種つまらない手品は。」
予香は尻尾をゆっくりと締め上げ、
まるでヘビが獲物を絞殺するように。
「貴様…死…金魚め!」
井田が窒息しかけたとき、
数本の無形の剣気が斬り込んできた——
予香は刃の鋭さを避けるため、
井田への絞殺を手放した。
「武竜・無形剣気!」
梁田の呪言が響くと、
逃れた井田は素早く彼の側に退いた。
「俺が起きたばかりだが、作戦計画はもう始まってるのか?」
梁田は手を後ろに回し、脇差を抜き出した。
「手伝ってくれる…だろ?」
井田は手首を揉みながらにっこり笑った。
「背中の傷…大丈夫か?」
梁田が手を伸ばして確かめようとすると——
「触るな!」
井田は彼の手をはじき飛ばし、
「お前は自分のことをまず大切にしろ!」
パチン!
「大丈夫だ!」
井田は梁田の手を振り払い、
「お前が足を引っ張るなよ!」
井田の顔に照れた赤みが広がりつつ、
口調はどこまでも固いものだった。
「それは俺が言うはずだが、いいだろう。」
「武竜・痛覚転化」(受傷が激しいほど、創傷の癒合が速くなるが、竜力消費量大)
梁田は武道家の竜戦闘パッシブバフを発動した。
「手強い!こんな早くパッシブを発動するのか?」
井田は梁田を見て驚いた。
「今じゃないといつ発動するんだ?」
「分かったよ!」
「暴竜・痛覚快感」(受傷が激しいほど、行動が敏捷になり、骨折は瞬間的に癒合)
「ふん!背中の痛みが減ったようだ!」
井田は拳を握り締めた。
「麗子…」
梁田が話しかけようとすると、
「分かった!君たち二人で頑張って!」
麗子が先に言い切った。
「俺は何中の傷勢を確認してくる!」
麗子の背後には氷晶が凝結した竜の虚像が現れた。
「見て…君の体の中の竜血も覚醒しただろ!」
梁田は厳しい眼神で予香を見つめ、
瞳孔はすでに垂直瞳に収縮していた。
「ハア…ハア…これでやっと意味があるね!」
予香はにっこり笑い、
突然背中から脊椎骨を引き抜いた——
ガクガク…ガチャッ!
脊椎は音を立てて九節の骨鞭に変化し、
各節の末端は歯車状の口器に裂け開いた。
「見招き!」
「君たち全員をミンチにしてやる!君たちの苦しむ表情を見るのが一番好きだ!」
予香は骨鞭を振り回し、
高速移動で襲いかかってきた。
「瞬きもしないで警戒しろ!」
骨鞭が空中から劈かれてくるが、
梁田と井田は竜血に加持された反射神経で、
危うくこの一撃を避けた。




