【閲覧注意】退学通知書が俺を喰い始めた
※一見普通の学園小説ですが、4章から展開が急変します
(看似普通校园小说,第4章起剧情突变)
▼キーワード:青春/喧嘩/ちょっと怖い
午後の廊下は静止した川のようだった。
陽光が高い窓から流れ込んできて、埃によって一格一格に分かれた。空気は重く沈んでいた。
何中の制服のポケットからは半分残った苺のパンが見えていて、プラスチックの包装には「二つ目半額」と書かれていた。
「──もう一度言ってみろ。」
何中の声はとても静かだった。
彼の前にいる二人の高二生は、お互いに一瞬目を合わせ、何かを考えているようだった。次の瞬間、そのうちの一人が口を開いたが、その言葉は最後まで言い終わることはなかった。
ドン──
肩が壁にぶつかり、鈍い音が廊下に響いた。その音は雷のように重く響き、もう一人が襟をつかまれて床に叩きつけられた。バックの紐が切れ、散らばった本のページが驚いた鳥の群れのように飛び散った。
「おい、誰か喧嘩してる!」
「指導主任を呼んでこい──」
叫び声が靴音に混じって響いていた。廊下の向こうから、黒い影が近づいてきた。
校長が人々を押しのけ、光と影の境界に足を踏み入れた。眼鏡のレンズに冷たい光が一瞬反射した。
「何中、後のことは分かっているな?」
その言葉には裁判のような冷徹な響きがあった。
「退学だ。」
たった一言、それはまるで鉄の塊が空気に落ちたような音を立てた。
次の瞬間、机や椅子が蹴飛ばされ、木の板が壁に当たり、鈍い裂ける音が響いた。何中は歩み寄り、右手を上げて、消防栓を思い切り叩いた。金属の震動が骨の中を走り、掌はまるで火で焼かれたように熱くなった。
亀裂が開き、血が指の間を這い下りていった。
だが、血が滴る直前、その血は止まった。凝固することなく、まるで見えない手によって流れを断たれたかのようだった。
──周囲から誰かが息を呑む音が聞こえた。
何中は下を向き、ゆっくりと裂けた関節を舐めた。
血の匂いが喉に流れ込む。熱くて、まるで溶けた鉄が骨髄の中を流れているようだった。
その感覚が、彼の視界にぼんやりとした光を灯していった。
「規則は守る」──何中は学生証を真っ二つに引き裂いた。
遠くからは合唱団の練習で、調子外れな《桜花》の歌声が聞こえてきた。
部屋の中は静まり返り、掛け時計の音だけが静かに響いていた。
「もうお前には救いようがない。」校長の声には感情がこもっていなかった。
校長は何中が去っていく背中を見つめ、突然気づいた。消防栓の血の跡が消えている──いや、錆になっている。まるで十年前からそこにあったかのように。
何中は答えず、ただ校長をじっと見つめていた──その目はまるで影に飲み込まれた夜空のようで、底が見えなかった。
外から冷たい風が吹き込んできて、最後の陽光も一緒に運び去っていった。
彼は扉に向かって歩みを進める。その足音は静かだが、まるで暗闇の奥から響いてきたようだった。
背中と影が一体になり、扉の前で立ち止まり、ほんの少しだけ笑みを見せた。
扉が風に押されて開き、壁に当たって乾いた音を立てた。
みんなが我に返ったとき、廊下にはもう誰もいなかった。ただ、一滴の遅れて落ちた血が静かに地面に落ち、まるで固まった深紅の種のように見えた。
何中は母親がよく言っていた言葉を思い出した。「君は自分を制御する方法を学ばなければならない。」