第六話 混乱
(ダメだ.....死ぬ)
そう思って私は目をつぶった。
だが、剣が体に触れることはなかった。
「.......?」前を見ると、影の剣は誰かの手によって受け止められていた。
「...............玲....?」「おおマナ。これ今どういう状況だ?」
玲は前に組織に勧誘されたときに出会った先輩だ。
どうやら悠真も彼の任務に同行してことがあるらしい。
「い...いや悠真が暴走して..いまコイツは無意識の状態だ。」
「え?マジ?困るなぁ.......神崎さんもいないのに...」
玲がめんどくさそうにしていると、影の剣が玲の方向へ向き、
影の剣がまっすぐに玲の首を狙った。だが、剣は首まで届かずにギリギリで引きあっていた。
「あれ....?コイツ無意識だけど俺の能力はしってるよな?っていうかこれ....!」
玲は悠真の腰に装備していた銃をとった。
「これ俺の銃じゃん!なんで勝手に使ってんだよ!」
玲が呑気そうに笑っていると、悠真の足に影がまとわりつき、
そして玲を思いっきり蹴った。
「うわっ」玲が吹っ飛ぶ。それに合わせて悠真がダッシュし、玲に追いつく。
「ガードしてるのに吹っ飛ばされるとか......才能えぐ」
「【創造の箱】〘電磁加速〙」
玲の周りに電気のような光が走り、玲が空へ高速移動する。
「〘電磁放射砲〙起動」
玲の銃の形が変形し、銃身が少し長くなった。
銃から電気の光線が発射され、悠真に直撃した。
「........」悠真は焦げたように煙がでつつも、玲に直進してくる。
「えぇ.....マジか.......まぁいいや。〘高速連射〙」
銃から出た幾億もの光線がすべて悠真の体に直撃する。
あんな威力のものを食らっては死んでしまうのでは......
そう思っていると、悠真の動きが止まり、地面に落ちてきた。
玲と私は、落下した悠真に近づくと、悠真の体から
影のような液体が流れだし、悠真が元の姿に戻った。
「助かった.....のか.....?」「さぁね。コイツが次起きるときに無意識状態で暴れたらその時は......」
私は玲が何を言おうとしたのかわかった。確かに、あのまま暴走していれば町を壊して一般人にも被害を与えるかもしれなかった。
「ていうか、なんで私たちに0級の任務が.....?」
私は玲に質問する。その瞬間、玲からものすごい殺意を感じた。
「なんでも何も.....チッ、上層部のジジイどもがよ......影霊と手組んでやがったか.......」
玲が怖気づいた私の方を見る。
「ごめん、大人げなかったな。大丈夫。そこらへんは神崎さんに任せよう。」
「......そうか....」
ふぅ......。気が抜けると私の意識も遠くなってきた。貧血か.....。
止血しても血の循環は止めたままだったしな。
悠真.....助かるといいな....
.............................................................................................................
.......体が痛い。なにか機械のような音がする。
眠っているのか?俺は目を開ける。視界には、知らない天井が写っていた。
体を起こす。「うっ....」体中が痛い。何があったんだ?
あと、なんか下半身が重い......
「!」よく見ると、茶髪の女の子がひざ元で寝ていた。ノアだ。
学校帰りなのか、服は制服のままだ。
「.....ノア....」なんか久しぶりに会った気がする。
すーすー寝息を立てているのが少しかわいい。
「やっと起きたか」声がした方を向くと、隣の椅子に玲さんが座っていた。
「玲さん....ここは....?」「組織の中にある医療施設だ。それより.....」
玲さんがこちらを見る。「お前、目を覚ます前のことは覚えているか?」
「え?あ、はい....確か影霊に.....」
そこで俺はあの事を思い出した。
「マナは!?マナは無事なんですか!?」
俺は声を荒げる。「......本当に覚えてねえのか......」「えっ?」
「ああいや、こっちの話だ。しばらくはここで休んでろ」
そう言って玲さんはどこかへ行ってしまった。
マナ....大丈夫だったのかな......
「んん....」ノアの目が開いた。
「悠真!起きたの!?もう一週間も寝込んでたんだよ!?」
「えっそうなのか....」
本当に無意識って怖いな.......。
そう思っているとノアの目が涙ぐんできた。
「.....ノア?」「いや...だって....みんな...悠真はもう死んじゃうかもって...」
まぁ自分でも今生きていることに驚きだ。]
あの状態からどうやって影霊は死んだんだろう....
玲さんが倒してくれたのかな........
いろんなことを考えていると、誰かが病室に入ってきて、
カーテンを開けた。
「....マナ?」「よう、久しぶり。」
つづく