第五十七・一話 固有特性
サボリまくりである。
少し時を遡り....
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ガシャァァァン!!
「何?今の大きい音.....」
「ああ.....」
ガラスの割れるような音が鳴り響いた。
事故か?
それとも影霊....。
テンテンテンテーーン.....
アナウンスの音が鳴る。
〘古玉ショッピングモールにお越しくださりありがとうございます。
お客様に連絡です。この後テラス付近でショーを行うため、
少々大きい音が鳴ります。申し訳ございませんがご容赦くださいませ。
ショーは三階のテラス付近広場で行います。
ぜひご覧いただければ幸いです。〙
テンテンテンテーン......
「何だ.....ショーの演出の音か。」
事故かと思ってビックリした。
「どうする?見に行く?」
ノアの方を見直す。
「でも服選ぶんじゃ....」
「後でいいよ。始まっちゃうかも!」
それもそうか。
俺とノアは駆け足でテラス付近広場へと向かった。
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広場へと着く。
三階の広場は一番上の階のため、
屋上をぶち抜く形で吹き抜けになっている。
雨の時は閉まるらしい。
広場を見る。
そこでは、全体的に丸い三等身の武士のような
見た目のゆるキャラが、
ニット帽を被った黒い服の男と戦っていた。
男は鎖と繋がれた斧とナイフを使っている。
.....随分リアルだな。
「!」
着ぐるみにナイフが当たる。
が、着ぐるみに破損はない。
まあ普通の小道具か。
「すごい....あの着ぐるみ重そうなのに
すごい軽快な動き...。」
ノアが感心するように言う。
確かに....。
着ぐるみは重そうなボア生地だ。
なのに随分とアクロバティックな動きで
敵と殴り合っている。
「中の人は随分筋肉があるんだろうな。
俺だったらあんなの着てあんな動いたらすぐにバテるぞ。」
「中の人とか言わないで。」
ノアに怒られる。
まあ子供も見てるし夢がないか。
........?
着ぐるみの戦い方に違和感を持つ。
適当に殴ってるわけじゃない....。
どこかで見たような格闘スタイルだ。
カウンターを意識した殴り...。
回転しながらの蹴り...。
「.....マナ?」
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「ほっ....はっ....」
中々技を発動するチャンスがない....
新技は発動するまでには三秒ほどかかる。
この激しい肉弾戦の中でそんな余裕は生まれないだろう。
左腕が使えない状況でチャンスは作れない。
どうする....。
「遅くなってきてるぞォ!?」
男が鎖を振り、斧を飛ばしてくる。
ギリギリで避ける。
クンッ...
!!
斧の軌道が急に曲がる。
もう一つの機能か...
まずっ.....
「.......!?」
急に体が浮き上がる。
というか、体が振り子のように動き、
自由には動けない。
なんだ....?
上を見る。
そこには、黒い一本の線が続いていた。
「....ワイヤーアクション....!!」
広場の吹き抜けから見える夕空に、
クレーンが見えていた。
クレーンとワイヤーを一瞬で創造したのか...。
だがいい、とにかくチャンスはできた。
「リン、両手の部分だけ開けてくれないか?」
ガガ...
「いいけど...なんで?」
着ぐるみの手の先の方が開く。
左手を無理やり動かし、
左手の指と右手の指を交差させる。
「【ロリカ】........」
交差した指を手ごと強く閉じる。
「【超越流動】......!!」
ドクン。
心拍数が上がるのを感じる。
体が重くなる。
「ぐっ....」
めちゃくちゃ体が痛い。
だが......
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二日前の訓練中....
「.......体の強化術が欲しい?」
「ああ。」
影の世界の城の時みたいに
あの謎の力をいつでも操れるとは限らない。
あの時は運が良かっただけだ。
実際、城の外の敵を全て倒すまで意識がなかった。
「.....シンプルな影力での強化じゃダメなのか?」
「......なんというか....インパクトが足りないというか....
火力が安定しないんだ。悠真とかの影力の纏い方と
なんか違うっていうか....」
「.........固有特性か」
「......固有特性?」
つづく




