第五十話 非日常
新章です
「まいどわりぃ」
......今日も買ってしまった。
ここのたい焼き屋はいつも味が変わらねえんだよな。
だから買い続ける。
交差点を歩きながらたい焼きを一口かじる。
「グオオオオオオオ!!」
美味いなぁ......。
横で影霊が私に向かって腕を振り下ろす。
ドォォォォォン!!!
「なにやってるのマナ」
「悪い悪い、囮にでもなろうと思ってな」
どこからともなくピンクが現れ、巨大影霊の腕を止める。
「ハァッッ!!」
ピンクが影霊を殴りとばす。
「アクア!!オレンジ!!」
「「はい!!!【マジカルスパーク】!!」」
吹っ飛んだ影霊にビームが命中する。
「グォォォォ.......」
影霊が沈んでいき、塵となって消えていった。
「.....今までとは段違いで強くなったな」
「....そう?」
ピンク達が降りてきて変身を解除する。
「特にピンクだ。お前洗脳されてる時ちょっとだけ意識あったろ」
「え!?アレ夢かと思ってたんだけど....」
洗脳されてたってことは伝えておいた。
まあ誰を傷つけたってわけでもないしな。
「あの状態は多分リミッターが外れてたんだと思う。それで一度感覚ってもんを体が学んでんのかな」
たい焼きが三個入った袋をピンクに渡す。
「なるほど....?」
ピンクがたい焼きを二個取り出してアクアとオレンジに渡した。
ヴー、ヴー。
「....神崎さんからだ。」
ズボンの後ろのポケットからスマホを取り出す。
通話のボタンを押す。
「はい、なんです?」
「ちょっと渡したいものがあってね。東京の支部に来てくれない?」
「....?わかりました。」
ツー、ツー。
通話時間10秒以下て。
「どうしたの?」
アクアに聞かれる。
「いや、元の仕事の電話が来たんだ。悪いけどちょっと行ってくる。」
....てかそうだ。私辞めてるのになんで普通に電話してきてんだこの人は?
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ウィーン。
東京支部の自動ドアをくぐる。
「あー、マナちゃんこっちこっち」
横の方を見ると、休憩用の椅子から神崎さんが私を呼んでいた。
横には悠真もいる。
神崎さんの方へ駆け寄る。
「まぁまぁ久しぶりだね。」
「.....そういえば一か月ぶりくらいですかね」
ピンクが退院してからずっと会っていなかった。
悠真にはちょくちょく会っていたんだが....。
「二人に渡したいものがあるんだ。」
神崎さんがスーツの内ポケットをゴソゴソする。
「はい、これ。」
「.........これは.....」
渡されたのは、影法師や構成員であることを証明するライセンスであった。
____星野マナ 2008.12.24生
三級影法師 有効期限.2035.12.2__________
「それは見ての通り影法師の免許証みたいなものだ。
それがないと一級法師の試験を受けられないからね。」
ほーん。.........ん?
「試験....?」
神崎さんの方を見る。
嫌な予感が....。
「え?言ってなかったっけ?悠真くんとマナちゃん、どっちも一級試験受けることになったの。」
「え、なんでですか...?」
てか悠真は知ってんのかよ....。
悠真の方を見る。
「一級....試験....?」
駄目だ、こいつも言われてねぇ。
「とりまもう決まっちゃったことなんだよね。
何でも勝手に上層部の奴らが【契り】を結んじゃったからさ。」
「...【契り】?」
それは聞いたことがある。
説明すると、要は強制的な取引のようなものだ。
片方が一度決めたことを破れば、その片方が何らかの罰を受ける。
その罰は利益の大きさに比例するらしい。
「どういう契りなんですか?」
「....悠真くんの方は何にもないんだよ。
ただ....マナちゃんの方がさ.....」
神崎さんが拳を握りしめる。
「上層部が結んだマナちゃんの契り。それはマナちゃんが何らかの理由で「12月23日までに一級法師になれなかった場合、魔法少女全員を処刑する」。」
.......は?
つづく




