第三十七・二話 状況
「..........」
アクアが下を向く。
「あれっどうしたの?」
「うっ....うっ....」
「え!?泣いてるの!?なんで!?ちょっ....ごめん!!」
「違うんです...」
「えっ?」
「さっきまで私は....私たちはあなた方を悪だと思いずっと追いかけていました。でも違った。私たちと同じ平和のために動いてくれていて、
それでいて敵だったはずの人間の相談に乗ってくれるなんて....。」
「アクアちゃん...でいいんだよね?」
「はい.....」
「私達は悪じゃないって言ってたね。
でもね、私達がやっていることはどちらかというと悪の方なの。
平和のために動いているわけでもない。でも、この世界には
悪でしか倒せない悪もいる。だから私たちは悪の組織でいいんだよ。」
「でも....」
「大丈夫。でも、正義の味方もこの世界には必要だ。
だから、君たちは魔法少女として選ばれたんだと思うよ。
そんな魔法少女のメンバーが欠けてしまうわけにもいかないからね。
必ず助けるよ。」
「..........さっきは悪かったな。急に殴っちまって。
そっちにも事情があったんだな。」
ガイルがアクアに謝る。
「いえ......そちらのお仲間に攻撃してしまったのは事実ですし...。
こちらこそすみませんでした。」
「謝らないでくれ。全部こっちの責任だ。
....ところで、どこで俺たちのことを知った?
それに、もう一人の仲間がやられたみてえなこと話してたな。」
「..........はい....、でも別の組織の方かと....。」
「敵をとってやる。どういう奴だったか言ってくれ。」
「はい......。確か、黒い髪だった気がします。
高校生くらいの身長で........確か、斬撃のような攻撃をしてきました。.........元々魔法少女は四人だったんです。全員戦闘不能になってしまい、その中の....一人が....そいつに.............
そいつに..........!!」
とんでもない殺意がアクアから流れ出る。
..........斬撃?どっかで見たような....。
「その魔法少女は何て名前だったんだ?」
マナがアクアに問いかける。
「はい.......ラベンダという紫色の服を着た優しい女の子でした。
その子もとても強くて、頼りになったんです。」
「そうか......あまり、聞きたくないが、その子は...」
マナがラベンダのことについて聞こうとする。
「ちょっと待ってマナちゃん。アクアちゃん。
言わなくて大丈夫。ちょっとこの機械頭に当てていい?」
神崎さんがマナを止める。
「はい...?わかりました」
神崎さんが腰につけていた鞄から一つの遺物を取り出す。
小さい円盤のようになっていて、背面からコードが伸びて鞄の中につながっている。何とつながっているのだろう?
そしてその遺物をアクアの額へと当てる。
「..............。」
神崎さんが顔をしかめて鞄の中からつながっていたコードを取り出す。
そのコードには、小型のディスプレイがついていた。
神崎さんが俺とマナにそのディスプレイをチラッと見せる。
「..........っ.........」
そのディスプレイには、紫色の衣装をきた一人の魔法少女が写っていた。
聞いていた通り、優しそうな顔をしている。
(..............見てて)
俺たちにしか聞こえないような小さい声で
ディスプレイを指さす。
すると、何やら黒いモヤのような、黒いクレヨンで塗りつぶしたような顔をした組織のネクタイをした人間が写った。
魔法少女が出てきて、その人間と戦いを始める。
だが、数十秒もしないうちに全員が戦闘不能になっていた。
すると、組織の人間がラベンダの腕を引っ張り、
ラベンダを仰向けにした。
そこからはほとんどが黒いモヤだらけだった。
写っていたのは、悲鳴を上げているようなラベンダの顔だけだった。
「.....................」
映像が早送りになり、最後には体中に切り刻まれたような傷が残り、地面に大量の血が流れ出ていたラベンダの姿が写った。
そこで映像が切れた。
............多分、人の頭の中を覗くことのできる遺物なのだろう。
黒いモヤはアクアが思い出したくない映像が写っていたのだろう。
「................」
そりゃ組織を敵とするわけだ。ていうか俺なら殺さないと気が済まない。
犯人、組織の構成員すらも。..........俺が代わりにやってやるか....?
「じゃあ誰がその任務に行くかなんだけど.....」
神崎さんが遺物を鞄にしまう。
「今回の任務は0級案件かもねー」
「.............ですよね....」
マナが壁に寄りかかりながら頭を抱える。
街に急に現れた紫色の渦の正体の判明、
ピンクが連れ込まれた異世界の探索、
そしてそこにいるであろう影達の討伐。
やることが大積みだし、敵の強さもわからん。
そりゃ0級案件だわ。
「でも、玲はいないぞ。確実に0級が一人は欲しいんだが」
「それなら私が行くよ」
神崎さんが席を立つ。
「えっいいんですか?」
マナが驚いた表情で言う。
「毎回部下たちに任せてるわけにもいかないしね。
それにまだ二人とも私の戦闘見たことないでしょ」
「へえー.......でも神崎さんだけじゃ色々不便なんじゃ」
「?だから君たちも来るんだよ?」
神崎さんが両手で俺とマナを指さす。
「「えっ」」
「当然でしょ。マナちゃんに限っては友達なんでしょ?
助けてあげるのが当然でしょ。」
「..........それもそうですね。」
マナが立ち上がる。
「.....でもそれでも人数的には足りないんじゃないですか」
神崎さんに言う。
「まあ困ったときは助っ人呼ぶよ。幸いうちには頼れる人材が多いしね。
じゃあ、いこうか」
神崎さんが応接室の扉を開ける。
「本当に....気をつけてください。そしてあの子を...ピンクを助けてあげてください。」
アクアが俺たちに言う。
「ああ、安心して待ってろ!」
マナがアクアの肩に手を置いてそういった。
こうして、俺たちは0級案件に足を踏み込むのだった。
つづく
ゲームしてました




