第三十一話 「陽牢」
「正義のヒーローの出番だぜ、悪役!!」
そう言い、金髪の少女__マナはローグへと近づいた。
「クッ....」
ローグが腕を伸ばしマナに叩きつける。
だが、その腕は影力で強化されたマナの腕に止められていた。
マナは足に影力を込め、ピンクの方へと飛んだ。
影力の形を変え、ローグの腕からピンクを切り取り、
ピンクを抱えて後ろへと下がった。
「ゲホッゲホッ.....」
「大丈夫か?」
「マナさん....なんで....ていうかその力...。」
「細かいことはあとだ。お前は休んでろ。
こいつは私が倒す」
「!?無理ですよ!あんな強いの今まで会ったことがない...」
「一度も会ったことなかったのか。
運が良かったな。だったら今頃死んでただろうさ」
ピンクを地面へ優しくおき、
マナはローグのほうへと目を向けた。
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さあて困ったぞ....。
箱の力が使えないままこの強敵を倒すのか....。
無理だろ。どっちもジリ貧で終わるぞ。
影力の操作の練習もできてないのに....。
..................まさか玲とか神崎さんが私を止めなかったのって.....
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(悠真、オフィスで事務作業中)
「マナの修行ぉ!?」
「ああ、そうだ」
ええ......。確かに、マナを玲さんとか神崎さんが
そう簡単に退職させるわけないもんな。
「アイツはとにかく影力の使い方が
雑だ。出力だけで言えば最強格なんだがな。
それを本人に言えば調子に乗りそうだから言わなかったが」
「箱の力が使えないのを逆手に取るってことですか」
「そうだ。アイツは箱の力に頼りすぎてる。
アイツの箱は技を選べば勝手に技が出るかんな。
影力操作なんざ必要なかったんだろう。」
「...それで、修行が終わったら引き戻すってわけですか」
「あ?そんなわけないだろ。
戻るかどうかは本人の自由だからな。
なんらかのきっかけはできるだろう。
それを待つだけだ。どっかで再会する可能性もあるしな。」
「でも、影力を上手く操作できたとて何になるんですか?
さっき言ってた通り、アイツの箱は技を選べば簡単に発動する。
影力の操作なんていらないでしょ」
「.....どの箱も影力で動く。それは変わらないルールだ。
なら、技に注ぐ影力を調整させれば、技の形も変わる。
アイツは基礎ができてないまま応用を使ってる。
基礎さえできればもっと強力になるだろうさ。」
「ほえー......」
影力の操作ねえ....。
実は俺もそんなに上手くできないんだよな。
俺の箱は影を操作するのに....。
「そういや悠真も影力の操作下手だったな。
この機にお前も特訓するか」
「え!?いや...結構です。」
「いや普通にこれは組織の義務教育だ。
.....あ、あとお前らに一個教えてない大技があったな。」
「?なんですか?」
「さっき、マナは今箱を使ってはいけない...って言ったよな。
箱を使わずに影力だけでできる超すげ~技があんだよ。
ちょっと来い。」
「え~~~....。」
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「で、なんですか」
組織についている運動場まで移動させられた。
「そうだな.....まず拳に影力を込めて
俺を全力でブン殴ってみろ。」
「えっ...いいんですか?」
「何が」
俺の拳で殴ったらとんでもないことに
なっちゃうんじゃ......。
いや、違う。「箱の力はなし」なんだ。
単に影力を込めて殴るだけ.....。
拳に影力を込める。
「いきますよ」
「ああ、来い。」
思いっきり踏み込み、
拳を玲さんの真正面へと向けて殴った。
パアアアアアアン!!
手応えあり.....。
「うん、やっぱり上手く操作できてねえな」
「え”っ」
「お前影操る能力なのに影力の操作が全くもってできてないよ。
これじゃ新技は無理かもな」
「いや!教えてくださいここまで来たら!!」
「しょうがねえな...」
玲さんが説明を始める。
「お前、ゲームでクリティカルヒットって出したことあるか?」
「えっ?ああはい....なんかゲージをピッタリ真ん中に合わせて
技を打つみたいな.....。」
「そう、今回お前に教える技はそれだ。
影力を込めた拳を敵の急所にぶつける。
それをするためには影力をワンポイントに
集中させて決める必要がある。」
だから影力操作が重要ってわけか....。
「だが、これに関しては実戦で決めた方が早い。
もしかしたら何も教えてもらってないマナの方が早くできちまうかもな。」
「そんなことあります?」
「わかんないぜ?お前もアイツも未知数だからな。
そんでこの技の技名は....」
「技名は....?」
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(マナ視点ヘ)
「うおっ....」
ローグの腕が超高速で振り落とされる。
影力を込めた腕で防いだが、
来るのがもうちょい遅れたら確実にピンクは死んでただろうな。
結界を壊すのに時間がかかったからな、
それはしょうがない。逆によくやった方だぞ私。
ローグの腕の攻撃をよけながら
間合いを詰めていく。
そして、ローグの真正面へとたどり着く。
「くっ.....」
「オラア!!」
ローグに殴りかかる。
だが、ローグの腕で防がれてしまった。
「ただでやられると思うなよ!!」
ローグが私に真正面から腕で攻撃を仕掛けてくる。
その腕の一本一本を平手で防いでいく。
「すごい...早い....」
そういやピンクとか一般人がまだいるんだったな。
だったら、場所を変えるか。
「はあああああ.......!!!」
ガアアアアアアアアアン!!
拳でローグの顎をぶん殴り、
アッパーで上空へと打ち出した。
.......?なんか一瞬何かを感じた。
なんかもどかしいような......なんだろう。
もっとちゃんと殴った方が良かったとかか....?
足に影力を込め、ローグを追って
上空へ飛ぶ。
「コケにしやがって.....さっさと終わらせてやる小娘!!」
「そんなセリフばっか吐いてるから中途半端な悪役なんだよ!」
高速で出てくる腕を回避し続ける。
そして、腕をはたき、完全にローグの胴を捉えた。
「なにィ......」
.....まただ。何かに引き寄せられる。
なんだこれは?何かチャンスのような....
拳に影力を込める。
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(悠真)
「そんで、影力を一点に集中させる。
そこで影が揺らいで少しの.......何かが生じる。
このタイミングが一番ムズイ。
パリイ、ブロック、ジャストガード、ジャスト回避....
色んな呼び方があるが...それを狙う。」
「やっぱむずいっすよ....」
「だが、これが成功したとき、
何かが起こる。それこそが.....」
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拳を加速させる。
ピィン!!
!!来た!!今度こそ何かが!!
拳が黒く、半透明に光る。なんだこれ。初めての感覚だ。
「ハアアアアア!!」
「なっ.......」
ズガアアアアアアアアン!!
黒い閃光が飛び散り、白く光る稲妻が辺りに走る。
そして、私の拳はローグの顔面にクリーンヒットした。
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「必殺・陽牢だ。」
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「グハアアアアア!!」
声を上げてローグは地上へと落ちていき、
地上に当たる前にただの影となり
消えていった。
「....なんなんだこの力は....」
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「まあまさかマナが先に成功するなんてことはないでしょ」
「どうかね。」
つづく
かっこいい技名を作りたかった




