第二十二話 無能
「......あ"あ”....?」
「おお、起きたか青二才」
目が覚めると謎のテントの床で眠らされていた。
テントを見まわすと、床に敷かれたシートの上で
大量の組織構成員が寝て_というより倒れて__いた。
「おい、聞いてんのか」
「えっ、はい」
横にタバコを吸っている体格の大きい男が座っていた。
「起きたならついてこい、玲が心配してたぞ」
「!..玲さん...?」
そういやここに来るまでの記憶がない。
倒れた後ここに運ばれたのか。
「ちなみにアンタの名前は?」
一応聞いておく。
「ああ?俺ン名前はガイルだ。
1級構成員だ。覚えておけ。」
「....構成員?影法師じゃないのか?」
そういやずっと気になっていた。
何が違うのだろう。
ガイルがこちらを見る。
「お前知らねえのか。
組織には影法師とただの組織構成員がいる。
影法師は’箱’の力を使って戦う者、
構成員は’遺物’を使って戦う者のことだ。」
「ほえ~.....」
「.....着いたぞ、ここだ」
着いたのは、他よりも大きいテントだった。
囲まれていて、中の様子も見れなくなっている。
「オ~イ、玲、目ェ覚ましたぞコイツ」
ガイルと共に中に入る。
中には、玲さんと十何人かの人間がいた。
「起きたか、悠真」
テントの真ん中にはテーブルがあり、
地図が置いてある。京都全体のマップだろうか。
......なんだ?なんか視線を感じる...。
周りを見ると、構成員?達がこちらを見ていた。
「....玲君、本当にこの子が悠真くんなの?」
「へえ~初めて見た。噂では聞いてたんだけど」
「ああ、コイツが悠真だ。
あんま喧嘩売ってやんなよ」
玲さんが周りに注意した後、
俺を見た。
「悠真、今の状況を簡潔に説明する。
落ち着いて聞け。」
場の空気が重い。まあ一般人が大量に死んだんだからそうか。
でもこんだけ人数いるなら事件もすぐ解決しそうじゃないか?
「......まず、京都に大量のガスが流れた。
それにより....
いま確認できている範囲だが、一般人30人、構成員200人が死んだ。
負傷者は一般人250人、構成員50人だ。
もちろん本当はこれの倍以上被害が及んでいる。
だがガスの原因の影はお前が倒した。
流れ出ているガスは消えた。
症状は残っているがな。
そして___。
今、東京で超巨大影霊を確認した。」
「なっ.....!?」
なるほど、京都で組織の気を引いて、
その間に東京に攻撃仕掛けようって作戦だったわけか。
「これに関してだが.....」
なぜかさらに場の空気が重く、厚くなる。
なんだ...?
玲さんが深呼吸した後に言い放つ。
「この超巨大影霊は、マナだ。」
「....は?」
マナ....?
「マナって...あの星野マナですか?
さっきまで...一緒にいた.....?」
「....そうだ。」
玲さんが眉間にしわを寄せながら言う。
「...現在0級の法師が対処中だ。
未だ殺しはしない。生け捕りにして、
尋問するとのことだ。」
「尋問って...!!
本当にマナなんですか!?
...ていうかここから東京までどうやって移動したっていうんですか!?」
「わからない。だが、もう一つ情報がある。
.......超巨大影霊が発生したのとほぼ同時に、
6体ほどの0級の影の影力の力場が消えた。
これが本当に6体なのか、そもそもこの6体は
何者なのかもわからない。
0級の影なんて確認がとれることが少ないからな。」
..........。
「次にまだ緊急事態がある。
謎の力によって座標移動が使えなくなった。
座標移動ってのは今まで使ってきたワープできる遺物のことだ。
それとその謎の力によりほとんどの遺物が使用することが
できなくなった。構成員が大量に死んだ理由はこれだ。
....今わかっている情報は以上だ。何か質問あるか?」
........質問しかねえよ。
なんだよ「謎」って。なんだよ「わからない」って。
ていうかここからどうすんだよ。
恐らくインフラも今は動いてない。
移動することができない。
東京まで行く手立てがないってわけだ。
その0級一人で解決できるのかもわからない。
組織ってそこまで無能なのかよ。
...ていうか..。
「.....一般人に影の存在がバレますよ」
「それに関しては既に手遅れだ。
その上で一般人は助ける。
....悠真。混乱するのはわかる。
実際現在はわからないことだらけだ。
だからこそ...。仲間を信じろ。
マナはそんなヤワなヤツじゃねえだろ。
絶対に自分で何とかする。だから、アイツを信じろ。」
「感動ムードの所悪いんだけどさあ」
横のイスに座っていた小柄な男が話し出す。
「本部はそのマナってやつも共犯だと思ってるみたいだよお。
実際わかんないしね。そもそもソイツになんでそんな信頼が....。
.....ッ!?」
男がこちらを見て怯えた表情をしている。
....なんだ?怒りが顔に出たか......。
コイツしゃべり方ムカツクな。
「悠真!抑えろ!」
「....えっ?」
玲さんが焦った表情で俺に注意する。
周りもなぜか怯えた表情をしていた。
......そんなに怖い顔してたか?俺....。
「.....悠真もガス食らったばっかなんだ。
もう少し休んでいるといい。戻れ。
後は俺たちでどうにかする。」
「....はい」
「いくぞ。」
またガイルが付き添うのか。
俺はガイルと一緒にテントを出た。
「.....お前アレどうやってやってんだ?」
「.....アレ?」
アレってなんだ?
「だからさっきのやつだよ。なんかお前から影みたいなんが
ブワーッと出てきてたが......。」
「......は?」
影.....?
出してたか....?
「まあ自覚がないならいい。さっさと戻るぞ。」
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「大丈夫なの玲クン。
あんな暴れ馬の担当で.......」
「....大丈夫だよ。」
「...しっかりしてよ。
今このテントにいる0級
玲君だけなんだから。」
つづく




