第十五話 決着を
「.....死ぬのはどんな感じなんだろうな」
俺はポケットから銃を取り出し、動脈と脳をめがけて俺の首に撃った。
鮮血が飛び出し、俺は死んだ。
その瞬間、ルーナの目の前に俺は立っていた。
「やっ...やった...!成功...!」
....早くね?今死んだところなんだが....。
多分俺が自害する前には魔法の詠唱を始めていたんだろう....。うん、判断力がすごい。
「は....!?ど,どういうことだ!!」Mがこちらを指さして騒ぐ。
作戦としてはこうだ。まず、ルーナにタイミングを伝える。そのあと、俺が自害する。
その瞬間、死者蘇生してエリア内に入るっていうわけだ。
完全に死ぬと死者蘇生に回数制限がかかるのと、生死の境をさまよわないといけないってのがネックだったので、即死できる方法を選び、それに合わせてルーナに能力を使ってもらうってわけだったんだが....。
成功してよかった。この方法が一番合理的だったしな。
「イカレてんのか....」マナがこっちを見ながら言う。
まさか本当に実行するとは思っていなかったようだ。
「キッ.....クソ!!せめて実験を続行....」Mがボタンを押そうとする。
だがその前に俺の拳がMの腹に届いた。
「はやっ......」銃をMの腹にかまえ、そのまま撃った。
Mが吹っ飛ぶ。
「...どうした?俺の体は固定しねえのか?...いやできないのか。やっぱり相性良いと思ったよ。体を影の膜で覆っちまえばエリア内の新しいルールは俺に通用しなくなる。」Mに近づく。
「.....キ...キェェェ!!」Mが叫び始める。
...さっさと倒した方がいいか?だが、その瞬間、Mの血が光り始める。
「.....!?」血がMの中に戻る。
.....なんだ?次の瞬間、周りの散らばった瓦礫が浮かび上がった。
浮かび上がった瓦礫が俺めがけて飛んできた。
流石に物理的なものは通用する。
腕や背中に瓦礫が命中する。
「がっ.....」「悠真!!クッ..【閃】!」
マナが指を構え、Mへ向ける。
ノータイムでMに向かって光線を撃った。だが光線はMの目の前で止まる。
「お前の攻撃は効かんといっているだろう!!」
Mがマナへ手を向け、空間を操作し始めた。
「ぐっ...あっ..」マナがせき込む。
クッソ、また酸素をいじられたか。こうなっては時間の問題だ。
俺はまたMへと走り出す。
だが、先ほどと同じ壊せない壁にふっとばされた。
今回は威力が強くなっており、壁を破壊して別のフロアに出た。
Mも俺を追いかけて飛び出てくる。
Mを見ると目が赤く光っていた。
なんだ?何か変化が起きた...?
いやそもそもなんで今更壊せない壁を出した?
いままでは出せなかったのか?
それか通常は一回だけ、いまは状態が変わって無限に撃てるようになったとかか?
なんにせよ、こいつにはなんらかの変化が起きた。
俺は床に着地した。周りには他の戦闘用職員が大量にいた。
「マ....マストリア様!?何かあったんすか!?」
「邪魔だ。下がっておけ。」Mも着地した。
「さて....公開処刑といこうではないか!!」Mが地面を削り取り、直径10Mほどの球を作る。
「貴様が無効化できるのは能力・影のみ....!!この攻撃は避けられない!!」
そう言いMが球を発射する。銃で球を破壊する。
だが、球の破片が俺へとんできた。破片が俺の腕に命中する。
「ぐあっ....」折れた。多分。どうすりゃ攻略できる...?
「まだまだ....今の私は気体も操れる。」
「.....それで操った気体は俺には触れられねえぞ?」
「その通り。だからこうする。」
Mが何かを押すような動作をする。
窒素越しに何か動かしてやがんのか?
押す.....。
....!!!!「そういうことか...!!」
さきほどまでいたフロアから何やら大きい音が聞こえた。
「融合するには精密な操作が必要だ。だがこう使える」
音がしたところから人影が飛んできて、Mの目の前の床に落とされる。
「ノア...!!」やっぱりそうか。
窒素を操ればボタンを押すことは可能だ。
それでテレポートを成功させたのか。
ノアは気を失っているのか、床で動かないままになっている。
顔はこちら側へ向いていたため、生存確認はできた。
Mがノアの頭を踏みつける。
「どうするんだ!?お前の守りたいものも今となっては私の手中だ!!もう一人の女だってもう動けない!!お前はもう詰んでいる!!おとなしくそこで実験の成功を見届けるんだな!!」
「............」
「どうした!もう声も出せないか!?」
多分、今Mは俺が暴走状態になった時と同じ状態になっているのだろう。
暴走はもうできない。
だが、あの状態にはなれるかもしれない。体に力をいれる。影に全てを集中させる。
できるはずだ。できなきゃ誰も守れねえ!!
ウ"ウ”ン.........................................................
その瞬間俺の中で何かが蠢いた。
まるで体の中に虫がいるような。
次に、血が影に変わった。
影は俺の中に入っていく。マナに聞いたのと同じだ。廃校舎でもこうだった。
目が熱い。
次の瞬間、俺の拳がMの腹に届いた。
「..............は?」
Mが吹っ飛ぶ....前に次の攻撃が当たる。
Mを拳で地面へ叩き落とす。
地面が崩れ落ちる。
下には広大な空が広がっていた。
どうやらMの能力で研究所の位置座標を変えられていたようだ。
ノアが下へ落ちていくのが見える。
ノアの位置まで飛んでいき、ノアをキャッチして抱きかかえる。
正直自分でもどうやって飛んだのかわからない。
だが、初めて暴走したときとは違い、全て自分の思い通りに体を操作できる。Mを目で捉え、目の前まで飛ぶ。
「クッ....」Mの頭上に大量の戦闘用職員が降ってくる。
Mが研究所の戦闘用職員の壁を作り出した。
「ちょっ、待っ.....」
戦闘用職員の声が聞こえたが、関係ない。虚空へ向かって腕を振る。
すると、目の前に影の斬撃が飛んでいき、肉壁を真っ二つにした。
そのままMに向かって斬撃を飛ばし続けた。Mの体に大量の攻撃が当たる。
「グハッ.........」その隙を利用して一気にMへと近づいた。
攻撃に巻き込まれる可能性があるため、ノアを上空へ打ち上げる。
Mの上へ移動し、拳を構える。
「テメエが"αβ"やらなんやらかどうかは知らねえけどよ......」Mが身構える。
「人の大切なもの一々奪うなクソ野郎!!!」
Mをぶん殴り、そのまま地上まで一気に降りる。
「ああああああああああ!!」ドゴオン!!!!
Mを地面へ全力で叩きつけた。
「ぐ......あ........」Mがゆっくりこちらへ顔を向ける。
「....私を倒した所で実験は終わらない!!ノアとかいう娘も、リンとかいうやつもこの先実験に巻き込まれるだけだ!!」
「...わかってるよ」マナがいつの間にか俺の横に立っていた。
そのままマナがMの顔面をぶん殴る。「だがなあ.....」
マナがMをもう一回ぶん殴った。
「ぐあっ....」「お前みたいなクズを一人倒せただけで満足だ。」
Mが気を失った。
その瞬間、一緒に落ちてきたポッドが割れ、液体とともにリンが流れ出てきた。「リン...!」マナがリンを抱きかかえる。
「大丈夫か!?生きてるか!?」
「お~い、一応そいつ病人かもしれないんだぞ....」マナに一応注意する。
「わ...わかってるよ..」.....本当に心配だったんだな。とにかく事件が一つ解決してくれてよかった。
「きゃあああああああ!」上から声が聞こえる。
「まっじ.....」落ちてくるノアの真下へ移動し、見事キャッチした。
「.....悠真?...ていうかここどこ?」
「ああ.....ここは......」
...?なんか...クラクラする...。そこで俺の意識は途絶えた。
つづく




