第一話 影
初作品です!まだまだ小説の知識などは浅いですが頑張りたいと思います。
それではいってらっしゃいませ。
「…!! …!!!!! ...悠真!!」…誰かが呼んでいる…そうだ…俺は…
キーンコーンカーンコーン…
「起きなよ、悠真」知ってる声だ。「ん…あともうちょい」「ダメ!次の授業早いんだから」
そういって俺を起こしてきたのは女友達の乃亜だ。「別にいいじゃんか…...はぁ」
俺は机から立ち上がった。…眠い。「全く…移動教室だからね次」そう言って乃亜は友達の方に行ってしまった。そして誰かが俺の肩を掴む。「いいご身分ですねぇ…悠真くぅん…」「あ?なんだよたかし」
この坊主頭の友達は高志だ。「2時間目から随分イチャイチャしちゃってぇ…早く田中さんの連絡先教えてくれよ!!」「断る」そう言ったのは高志と俺の友達であるゆうただ。漢字は知らん。
田中というのは乃亜の苗字だ。「もう…ケチなんだから」
「羨ましいなぁ…あんなにかわいい田中さんと幼馴染だなんて…」
「…かわいいか?」「かわいいだろ!!」
俺の名前は悠真。高校1年生だ。女友達の田中乃亜とは幼馴染だ。
俺は、今日も普通の生活を送る…はずだった。
「おい!阿部悠真!!今日こそは陸上部に入部してもらおう!!もう入部届はだしていることになっているんだぞ!!」
「え?お前陸上部だったの?自然科学部じゃなかったか?」
「なんか陸上部の顧問が才能があるとかいって勝手に…」
「さぁ!!はやく!!お前となら全国いけるんだ!!」
「あー、もう、行かないっつってんだろバカ教師!!」
「あー、やっと学校終わったね。一緒に帰ろ、悠真」「あー...わかった」
男子たちの羨ましそうな視線を尻目に、俺たちは帰路についた。
「…なんで元気でないの?まだあの事件引きずって?まぁそりゃ引きずるよね。」
「…事件のことは口に出すな」「ごめん」
俺は6年前家族を惨殺された。警察には話したところどこにも外傷が見当たらず、一回だけ俺が疑われたことがある。忘れようとはしているが、中々忘れられず、毎日夢に血だらけの家族が写るため、寝不足になっている。「一人で抱え込むのはつらいよ?いつでも相談しな?」「…分かってる、ありがとう」
乃亜がフフッと笑う。「じゃあ私こっちだから。また明日ねー!」風でショートカットの髪をなびかせながら手を振ってきた。「うん。また明日」今は平和だし、この日常が続いてくれたらいいけどな。
そんなことを思いながら俺はある事を思い出した。しまった。乃亜に本貸しっぱなしだ。
今日返せって言ったのに。俺は来た道を戻った。曲がり角を進んだ時だった。「…!!乃亜!?」
そこには乃亜が謎の人間たちにつかまっていた。「おい。早くズラかるぞ」「ああ。」そう言って男たちは自分たちの影に飛び込んだ。
どういうことだ!?影に飛び込んだ?ただ呆然と見ていると影がどんどん小さくなっていった。
まずい。このままじゃ乃亜が…「ああもう!」俺は影に飛び込んだ。
ヒュウウウウウ ゴッ
「痛ってぇ!!」俺は謎の場所で目を覚ました。
「…どこだここは…」不運なことに影に飛び込む際カバンを落としてしまったようだ。
「とりあえずあいつらを探すか」立ち上がって歩き始めた瞬間後ろから音がした。
「!?」後ろを振り向く。そこには体がエアーボールのように大きく体中が黒ずくめで目玉が大量にある、正に異形と呼ぶのにふさわしい見た目の生き物がいた。
「な…!?」俺は見たことのない生物に驚愕していた。しかし、その生物は俺めがけてとびかかってきた。「うおっ…!」生物が叩いた地面が一気に破壊される。
「どういうことだよ…!?」とりあえずこのままじゃ殺される。
俺は全身の力を拳に乗せて思い切り殴った。「グボォォ!」生物が吹っ飛ぶ。
よし、今のうちに逃げよう。と、その時急に足が沈み込んだ。よく見ると影に体が飲み込まれている。
「うっ!?」俺は前のめりに倒れ、さっきの生物が俺の体を取り押さえた。
普通にめちゃくちゃ重い。「うっ…がっ…」「誰だ?そこにいるのは」暗闇から声がした。
「お前こそ誰だ!」「俺はここでリーダーをやってる…そんなことよりどこから入ったお前」
暗闇からローブの下にスーツを着た男が出てきた。
「おい!乃亜はどこだ!!どこにやった!?「!なんだお前知り合いか?こいつと知り合いとは運が悪いな」その時、部屋に電気がついた。「!!乃亜!!」
そこには、上から鎖で吊り下げられた制服姿の乃亜がいた。「おい!乃亜!聞こえるか!!」
気を失っているのか、目は閉じたままだ。「お前、こいつとどういう関係だ?」
「言うか!おい!起きろ!」「あーじゃあこいつに聞くか。」男がポケットからスタンガンを取り出し、スイッチをONにして乃亜の腹に突きつけた。「おーい起きろー」
バチバチバチバチ!
「うっ…ああああああああああ!!」「おい!ふざけんな!止めろ!」乃亜が目覚め、男がスタンガンを手放した。「…う…うぅ…」「乃亜…」「おい。コイツが誰だかわかるか?」
「え…あ!?悠真!?なんでここに…」乃亜が男の方を睨んだ。「ねえ!この人は関係ない!早く元の世界に戻して!」
…?元の世界?乃亜はここがどこだかわかっているのか?それに関係ないって…
「乃亜?どういうことだ?ここはどこなんだ!?」
乃亜が口をごもらせる。「…言えない」
「戻すっていってもな、このことがほかの奴らにばれたら…ましてや法師たちにばれたらどうする」
男がこちらを見る。「まあ冥途の土産に教えてやろう。」男がスーツから小さい黒い箱を取り出した。
「なんだ、その箱?」
「これは通常の人間の10倍の影力が宿っている箱だ。影力は要は魔力や妖力…神通力と呼ばれる力だ。」そして男が乃亜が縛られている鎖に手をかける。
「この娘にはこの箱49個分の力が籠っていてな。この箱を取り込ませれば箱50個分の力が手に入る。」
何を言っているのかわけがわからなかった。
「おい、いい年してイタいこと言うなよ」「嘘だと思っているのか?なら今お前を押さえつけている怪物は何と表現するんだ?」「……」確かにこんな生物は見たことがない。コイツも影力とやらでできているのか?それに手に入るって?
「乃亜の影力を何とかして吸収するのか?」
「ああ、殺してすぐに死体から出てきた箱を回収すればいい。50個以上箱を体に溜めると人外問わず死ぬからな。脳に一番近い口から取り込めば心臓と口から出てくる」
・・・!?「なんでんなことが平然といえんだ・・・!?」
「別に今までもやってきたことだからな。今更どういうということもない」
「お前もそんな怪物にならないようしっかりこいつの死に際を見せてから殺すからな。恨みや執念、後悔は影力を倍増させてその怪物__「影霊」になる。そうなれば面倒臭いから完全に意思をつぶしてから殺さないといけない」
「……どうやって取り込ませるんだ?」「最も簡単な方法は飲み込むことだが…大体の奴は両手でつぶして取り込む。だが拘束している以上後者はできねえからな。こうするんだよ」
そうして男は箱を手に持ち指で乃亜の口を無理やり開けた。乃亜は必死に噛んで抵抗しているが力が足りないようで、完全に口をあけられてしまう。「あ…あが…」
「待て!!おい!!お願いだ!!乃亜だけは殺さないでくれ!!!」
「それはできねぇ要望だな。」「クッソ…!」なんでだ。俺にせめてこの怪物たちを押しのけられる力があれば………。………あっ。そうか。「うううう!!があぁぁぁあああ!!」俺は全身に力を入れた。怪物たちの重量を押しのけ俺は立ち上がった。「オラア!」左手で思い切り怪物を殴った。
そうするとなぜか怪物は軽くなったようにぶっ飛び、壁に当たった。壁に亀裂が入った。
「なっ…!?どういう膂力してんだアイツは…!!!」男がこちらを見た。その隙を乃亜は見逃さず、頭突きで男の手に持っている箱を床に落とした。「チッ…!このクソガキ!!!」男が乃亜の頬を殴った。「う''っ…」
「・・・クッソ!」俺は床に落ちた箱を拾った。
「これさえあれば影力とやらが手に入んだろ!?だったら俺が取り込んでやる!!」
「やめて悠真!!悠真が取り込んだら死んじゃうよ!!」どうせ乃亜が殺されるくらいなら。
パンッ。俺は箱を両手で押しつぶした。「…?」「は…はぁ…!?なぜだ!?常人なら即死のはずだ!!」
「でもなんにも起きてない…なんにも起きないのは絶対にないはず……????」乃亜が混乱している。
正直手からビームが出るとか血大量にまき散らして死ぬとか思ってたんだけどな?逆に何にもないことってあるのか?いろいろ考えているともう一匹の影霊が飛び掛かってきた。「!!!」
俺は両手をクロスして防御の姿勢を作った。その瞬間だった。左手が勝手に動き、影霊をはたいた。
血が大量にまき散らされる。「「は?」」思わず男と声が重なってしまった。
「お…おい!いけお前ら!!」男の影から大量に影霊が出てきた。
すると、左手から黒い液体のようなものが垂れ、それが剣へと変形した。
体を動かそうとしても動かない。多分箱の力が暴走しているのだろう。
体が影霊の方へ動き、左手を横に振り影霊を両断した。「あ?」男が汗だくで混乱している。
「も…もういい!!死ね!!」男がナイフを手に持ち乃亜の体にナイフを刺そうとしていた。
動け!!動け!!動け!!!!乃亜を助けなければいけないのに影の剣を手に持ったまま俺は静止していた。
ナイフが乃亜に刺さりそうになった瞬間だった。乃亜の姿が消えた。「え?」
続いて俺はなぜか男から数M離れた場所にいた。
「はぁ~危なかった…。全く、最近の法師は報酬とか女にしか興味ないんだから。もう一斉に解雇しようかしら。」上を見ると20代くらいのスーツを着た女性が乃亜と俺を両手にため息をついていた。
「大丈夫?乃亜ちゃんと…その護衛?」女性がこちらを見た。
「来てくれたんですか神崎さん…」「ちょっと嫌な予感がしただけよ。」
なんだ?乃亜と知り合いなのか?「あ、あとこの人は護衛じゃなくて私の友達です。」
乃亜がこちらを見た。女性が疑わしい目をこちらへ向ける。
「え?本当?こんなに大量の影力があるからてっきり法師かと…。いや、あなた箱を吸収したのね。
死んでないところを見ると体に耐性があるのかそれとも…」
神崎さん(?)がしゃべっていたが、それを男が遮った。
「チッ、来やがったかクソ法師が…!!!」「うるさい。私は今二人としゃべってるの。」
「オラア!!」男が素早く移動し、神崎さんの後ろに回って影霊を手に神崎さんを殴った。
と思ったが、神崎さんは消え、男の後ろに現れた。
「影界規約第9条、田中乃亜に影力的理由で近づくことを禁ずる__、
君、立派な規約違反だよ」「!?」男が後ろを向くが、その時にはもう神崎さんが男を取り押さえていた。「それに現実でも拉致罪、傷害罪だし、こんなかわいい子を傷つけたことは絶対に許されないよ」
唖然と見ていると、急に空間にヒビが入り、空気がガラスのように砕け散った。「!?」
割れた空間の中から次々とスーツ姿の人が出てきた。
「やっと来たか。早くコイツ連れて行ってよ」スーツの人間たちは男に手錠をかけ謎の空間に消えていった。すると、スーツ達の中からひと際存在感の違う男性が出てきた。
「困りますよ神崎先輩。勝手に突入するなんて…」「乃亜ちゃんが危なかったんだよ?それに__」
神崎さんがこちらを向く。「妙な人も現れたし」「……影葬体ですか?初めて見た」
「どう思うよ?」「……あの調子では箱を取り込む度暴走しそうですが」
「そうならないためにもよろしく頼むよ」男性が驚いたような、めんどくさいような顔をした。
「え!?俺ですか!?」「頑張ってくれよ~0級だろ君~」
「無理です、どうせ見た目だけなので」「え~」
俺が呆れたような目で見ていると、乃亜が口を開いた。
「ごめんね、悠真。私のせいでこんな事になっちゃって…」俺は乃亜に笑いかけた。
「謝るなよ。こっちに来たのは俺の判断だからな。それに、親友がこんな境遇になってるのに無視できるか。」乃亜が笑った。「…ありがとう。」
_____こうして、この事件は解決した。でも、この時の俺はまだちゃんと理解していなかった。
この判断が、世界を混沌に陥れることになるなんて_____________________
第二話はいつになるかわかりませんが応援よろしくお願いします!
それではまた!