③キングJを名乗る組織
エージェントたちとイルマが車から降りると組織の周辺は、見渡す限り砂漠しかなく、組織は広々としていた。6階建ての白い建物、その前にアラブ首長国連邦国旗と組織のロゴの旗が靡いていた。エージェントたちが今立っている所は駐車場である。また、左側はAIIBSOの構成員のために作られたのか、訓練施設があった。その前には、学校でよく見かける講堂のような集会室の建物があった。
そして、駐車場スペースには、キングJボスカイル・スミスが待っていた。彼は白人で、黒淵メガネをかけており、髪型は緑のモヒカンだった。そして、髑髏の柄の黒いTシャツと迷彩柄のズボンを履いていて、高級ブランドのスニーカーを履いた目立つ格好だった。またイルマ同様に腕には奇抜な入れ墨を入れていた。
「カイル、5人を連れてきました。」
「お疲れ、イルマは帰ってくれ。」
「わかりました。」
と言って彼女は再び車に乗って、変装したエージェント5人を置いて帰っていた。しかし、車に乗った彼女は涙を流しそうな感じで再び複雑な思いを抱えていた。だが、再び『何者』かの指示によってそれを誰にも伝えることはできなかった。
「ここがそうか。」
「ここの組織、少ししょぼいな。」
とエージェントたちは、心の中でつぶやいたのだ。
「さあ、入ってくれ。まずは、中に入って君たちに色々と話したい事がある。」
とカイルは言った。」
「わかりました。」
カイルに案内されながら中に入ると、目の前は事務室のような部屋があった。そこでは、ここの構成員3人がパソコンに向かっていた。また、右側には上へ行くエレベーターと階段があり、左側奥に行くと集会室につながる渡り廊下があった。
「視察しながら、手伝ってもらいたいことがある。」
「それは、ISDCを乗っ取る計画の準備ですか?アダソン兄弟からはそう聞いてきましたが。」
「それもそうだが、ISDCの情報収集もだ。」
「わかりました。」
「上、君たちの分のパソコンを準備したから、それで情報収集をしてくれ。」
「ありがとうございます。」
エレベーターで2階に上がると、ここでもまた構成員たちがパソコンに向かっていたのだ。
エージェントたちは、それぞれ用意されたパソコンに座り辺りを見回した。そして周辺の構成員に話しかけた。
「今日は、アダソン兄弟の代わりに来ましたが情報収集については進みましたか?」
「もちろんですとも。こちらはもうすぐ完了しです。」
「私も一緒に手伝いましょうか?」
「ありがとうございます。」
「そちらの方はどうですか?」
「順調に進んでおります。」
「国際秘密防衛会社は、手ごわいですね。」
「そうですね。」
「アダソン兄弟のためにも、少しでも役立てたいです。」
「私もそう思います。」
一方ボスは、階段の方へ行きスマホを出してなぜかアダソン家のドバイの別荘にいるジェイムズと連絡を取り始めたのだ。
「『兄』NMSPのあいつら5人を無事こちらへ連れ出すことが出来ました。」
「よくやった。さすが私の『弟』だ。それでいい。改めて感謝する。」
「ありがとうございます。『兄』。『あいつら5人』いつ始末しましょうか?」
「もう少しの間泳がせていい。まあ、せいぜいお昼過ぎてくらいまでだ。それまでなり切れ。」
「わかりました。『兄』。」
実はボスは・・・。
ボスがそう連絡し終えると紀ノ松がやってきたのだ。
「ボス、どうしましたか?そこで。」
「いや、何でもない。みんなの邪魔にならないようにここにいただけだ。何か用?」
「あの、そろそろ他の階も視察しに行っていいですか。目的は視察ですので。」
「ああ、いいとも。よく見てくれ。」
「わかりました。」
紀ノ松は、そう言って構成員らの所に戻った。」
紀ノ松以外のエージェントたちは、他人に聞こえないくらいの小声で
「エージェント5、どうだったの?」
「ボスは、他の階を見てもいいと言っていたの?」
「もちろん、見ていいって。」
「それじゃあ行こう。」




