7話 テレビスタッフの遭難
ディレクターたちはロープをたどりながら歩いて行く。
「歩いた距離から考えてそろそろ村から出られると思います。」「あと一息です頑張ってください。」
「間もなく村から帰還する模様です。結果は残念でしたが全員無事生還できそうです。」
「勇気ある彼らに拍手で向かいたいと思います。」
それから1時間経つが彼らは歩き続けている。スタジオのアナウンサーが言う。
「慎重に歩いているせいか時間がかかっているようです。」
番組には視聴者から電話や投稿がある。
「時間かかりすぎだろ。」「まだつかないなんて、おかしくないか。」
これは、時間がたつにつれて増えてくる。
それに押される形でアナウンサが声をかける。
「まだ、出られないのですか。」「おかしいんだ。ロープがいつまでも続いているんだ。」
「大丈夫ですか。」「私たちはロープを伝って進むしかありません。」
番組の中継は明け方まで続く、放送局の方では空が白み始めている。しかし。彼らのいる場所では真っ暗のままである。
「空は明るくなりませんか。」「いいえ、真っ暗です。どうも帰れなくなっているようです。」
「今、警察に通報しました。頑張ってください。」「努力します。」
しばらくすると現場からの映像と音声が切れる。スタジオから呼びかけるが返答はない。
警察が現場に向かう。ダム湖の水没した村の入り口にはロープ止めの金属製の金具が撃ち込まれてロープが結ばれていたがロープは1メートルの長さで切れていた。
テレビスタッフの生中継中の遭難は反響が大きく、ダム湖にマスコミが押し寄せる。警察は規制線を張り調べる。
しかし、半月をかけても何も出てこない。警察は規制線を解除する。
1カ月経つとマスコミの関心も薄れていく。そんな中、中野沙衣探偵事務所に男が訪れる。




