6話 生中継
ディレクターたちはゆっくり村の中を進んで行く、照明に映し出される家は屋根が崩れていたり、壁が無くなっていたりする。
「村の中の家々を見ますと人がいるとは思えません。ダム湖に沈んでいたためでしょうか、屋根や壁が崩れています。」
霊能者が立ち止まって言う。
「聞こえる、聞こえるよ。」
タレントが聞き返す。
「何が聞こえるんですか。」「笛の音や鈴が鳴っている。」「笛や鈴ですか。私には聞こえません。」
タレントがディレクターに聞く。
「どうしますか。行きますか。」「行こうこのままじゃ番組にならない。」
ディレクターはこのまま進むことにする。
テレビ中継を見ている沙衣が言う。
「もう、引き返した方がいいわね。」「危ないんですか。」
「普通、笛や鈴が聞こえることないでしょ。」「あの人たち帰れなくなるんでしょうか。」
「そうかもしれないわね。」
祐二は沙衣の答えに危機感を感じる。
ディレクターたちは進んで行くとタレントにも笛の音が聞こえ始める。
「私にも笛の音が聞こえています。村の中に人がいるのでしょうか。」
音鳴村研究家の辻本がタレントに言う。
「これ以上近づくのは危険です。」「と言うと近づくと何か起きるのですね。」
「はい、鬼に襲われる危険があります。引き返しましょう。」「分かりました。ここで引き返すことにします。」
「スタジオは聞こえていますか?我々は行方不明者の手掛かりを見つけることはできませんでしたが、危険なので引き返します。」
「気を付けて戻ってきてください。」「分かりました。ロープをたどって戻ります。」
スタジオのアナウンサがしゃべりだす。
「残念ながら行方不明者の手掛かりは発見できませんでした。これ以上は危険と言うことですので只今、帰路についているところです。」
「彼らは、1本のロープを命綱にして帰ってきます。我々は彼らの無事の帰還を見届けたいと思います。」
祐二が言う。
「番組終わってしまいましたね。」「そう思う。」
「だって、帰るだけでしょ。」「無事に帰ることが出来たらね。」
沙衣が意味深な答えをする。




