1話 外から来た花嫁
宇高の島には、小学校と中学校があり、島の子供たちは義務教育を終えると親の手伝いをするようになる。
つまり、漁師になるなどして、高校へは行かず、島を出ることはない。
しかし、宇野はまおは島を出て本土にある水産高校に入学する。このため、はまおの家は島の人間に良く言われなかった。
はまおも3年間の高校生活で1度も島へ帰らなかった。彼は高校の寮に入り充実した3年間を送る。
そして、同級生の内海梨沙子と恋仲になる。2人は将来を誓い会ったが、梨沙子の両親ははまおが宇高の島の出身と知ると付き合いに反対するようになる。
それでも2人は付き合いを続け、はまおは高校卒業後、水産加工会社に就職する。
はまおは梨沙子の両親に言う。
「会社に就職しました。島には帰りませんので梨沙子さんとの付き合いを許してください。」「島の者が何かしてきたらどうするつもりだ。あんな島の者と関わり合いになるのはごめんだ。」
梨沙子の両親は、全く相手にしない。梨沙子は両親に見切りをつけて、はまおと同棲を始める。
梨沙子は喫茶店を開くという夢を持っている。今は喫茶店でアルバイトをしている。
2人は親族に恵まれないながらも幸せに暮らす。そんな生活は3年続く。
しかし、島からはまおの両親がやってくる。父親のいわおは言う。
「俺たちはお前を高校にやって、島のみんなから目をつけられてしまった。」「お父さんたちも島を出よう。」
「だめだ、お前が帰って来ないんでどうなっているんだと島の役付きの連中から言われてきたんだ。」「俺に島に帰れというのか。」
「今は役付きの連中が若い衆を抑えているが、このままだと若い衆がお前やそこの梨沙子さんを攫いに来るぞ。」「・・・」
「そうなったら、どうなるかわからねえ。」「逃げれないのか。」
「島にはあの方がいる。逃げることはできねえ。」「マビメ様か。」
「島の外で名前を出すでねえ。」「そうだな。」
梨沙子がはまおに聞く。
「マビメ様て何?」「島の生き神様だ。ずうっと若いままで不思議な力を使うんだ。」
「はまお!何教えているんだ!」「もう巻き込まれているなら知っていた方がいいよ。」
梨沙子は巻き込まれてしまったのなら、はまおと暮らしたいと考える。
「はまお、私、島へ行ってもいいよ。」「でも、両親が許さないよ。」
「両親とは縁を切るわ。代わりに結婚して。」「結婚してくれるのはうれしいよ。本当にいいの。」
「はい。」「梨沙子さん、すまねえ。」
はまおの両親は、梨沙子に頭を下げる。
はまおと梨沙子は仕事を辞めて、はまおの両親と一緒に島に渡る。はまおたちが島に帰ることは、はまおたちが乗っている漁船の無線で島に知らせている。
島に着くと島の住民が総出で迎えに来ている。はまおの旧友たちは言う。
「美人の嫁さん連れて来てすごいじゃないか。」
梨沙子も島の人々に歓迎される。そして、結婚式は島の人々が協力して3日後に行われる。




