8話 逃走
ゆたかは警察官に事情を話す。
「父親の尾城さんは、霊能者の中野沙衣さんを雇いました。」「どうして、霊能者なんかを雇ったの。」
「私とすぐるは霊とかを見ることが出来ます。私たちは黒いローブを羽織ったものが子供といる所を見ています。」「その話は前に聞いているね。」
「そうです。私たちは、中野さんと黒いローブを羽織ったものを見つけて、後をつけました。そして、子供を見つけたのです。」「その黒いローブを羽織ったものが子供を攫ったというのかな。」
「はい。中野さんは、黒いローブを羽織ったものと戦っています。」「その場所を案内してくれるかな。」
「分かりました。」
すぐるも同じ話を警察官にする。
ゆたかとすぐるは警察官を黒いローブを羽織ったものと戦っている沙衣の元に案内することになる。
その頃、沙衣は黒いローブを羽織ったものと戦っていた。最初はローブを突き抜けて傷を負わせることが出来たものの、彼女はローブの防御の堅さに攻めあぐねている。
黒いローブを羽織ったものは手をかざして、空気のかたまりを撃ち出すが、沙衣の動きは早く攻撃は当たらない。
沙衣は水の刀を集中して強化して鋭さを増す。そして、黒いローブを羽織ったものに迫り上段から切りつける。しかし、ローブは切れない。
彼女はすでに目的を果たしているので無理に黒いローブを羽織ったものと戦う必要はないと考える。
だが、黒いローブを羽織ったものは、逃げる隙を与えてはくれない。沙衣は祐二だけでも先に逃がそうと考える。
「祐二、装備を捨てて山の外に逃げなさい。」「沙衣はどうするんだ。」
「私は何とかするから、今、祐二がいると邪魔になるわ。」「分かった。」
祐二は、リュックサックを捨てるとその場から立ち去ろうとする。その時、黒いローブを羽織ったものが動く。
彼は瞬間移動でもしたような速さで祐二の前に出ると祐二を捕まえる。彼は左腕で祐二の左腕を固める。
祐二は右腕で黒いローブを羽織ったものを殴りつけるがびくともしない。沙衣は祐二を人質に取られる。
黒いローブを羽織ったものは一方的に沙衣を攻撃する。彼女は空気のかたまりをかわし続ける。
そこへ、ゆたかとすぐるが警察官を連れて戻ってくる。沙衣が彼らに言う。
「どうして戻ってきたの。」「警察に案内するように言われました。」
「危険だから逃げて。」
沙衣は警告するが警察官に黒いローブを羽織ったものは見えていない。
「彼らは何をしているんだ、」
警察官には沙衣と祐二が距離を置いて向かい合っているように見える。
黒いローブを羽織ったものが放つ空気のかたまりがゆたかたちの近くの木に当たり、木が折れる。
ゆたかが警察官に言う。
「危険です。下がりましょう。」「ああ、そうだな。」
ゆたかたちは距離を取る。
祐二は逃れようともがいている。黒いローブを羽織ったものを見ることはできないが何かに強い力で掴まれていることは分かる。
その時、黒いローブを羽織ったものの左腕に変化が現れる。彼は気づかず祐二を捕まえている。
そして、彼の左腕が土くれのように崩れる。祐二が触れていたローブの部分もボロボロになっている。
祐二は走り、ゆたかたちと合流する。祐二は言う。
「すぐに山から出ますよ。」「分かりました。」
祐二とゆたか、すぐるは駆け出す。警察官たちも後を追うように駆け出す。
沙衣はこの機会を逃さなかった。黒いローブを羽織ったものに突進して水の刀で突きを繰り出すとローブのボロボロになった部分を突き抜けて腹に刺さる。
彼女はさらに刀を切り上げて首まで切り裂く。彼女はこの隙に逃げ出す。
黒いローブを羽織ったものの気配はまだ健在である。沙衣はこの化け物にかなわないと判断したのだ。
沙衣が山を出ると祐二たちが待っていた。そして、こともの父親から電話が入る。
「尾城です。子供の救助、ありがとうございます。化け物はどうなりましたか。」「化け物にはかないませんでしたので逃げました。」
「そうでしたか。無事で何よりです。」
この後、沙衣と祐二は事情を聞かれる。しかし、話の内容はゆたかたちと同じ内容であり警察官を悩ませることになる。




