3話 濁池
翌日、沙衣と祐二は、沙衣が運転するロードスターで濁池に向かう。祐二が際に聞く。
「退治する泥人形は、好きな人に見えるんですよね。」「そうよ。」
「僕が見たら沙衣になって、あんなことやこんなことをしてくれるんですね。」「してくれるけど生気を吸われて死ぬわよ。」
「死ぬ前に沙衣とイチャイチャしたいです。」「死んだ方が良さそうね。」
沙衣は、祐二にあきれる。村上家に着くと2人は居間に通される。父親が説明する。
「息子が濁池から連れてきたのです。あれは今、息子の部屋にいます。」「分かりました。」
2人は部屋に案内される。沙衣と祐二は部屋に入ると沙衣は難しい顔になり、祐二は驚いて言う。
「本当に沙衣がいますよ。」「・・・」
沙衣は、無言で両手をかざす、両手から陽の光が放射される。
彼女は化け物に物理攻撃が効かないことを知っている。
化け物は苦しそうにもがき始める。すると祐二が何を思ったのか沙衣に
「やめてください。」
と言い、化け物に抱き着く。化け物は急に崩れて砂状になる。祐二は泣き叫ぶ。
「沙衣がー、沙衣がー」「うるさい。」
沙衣は祐二を蹴り倒す。彼女は祐二に言う。
「正気に戻った。」「そういえば、沙衣は誰に見えたの。」
「関係ないでしょ。」「気になるなー」
沙衣には、祐二に見えたが、彼女は何かの間違いだと考える。このことは祐二に絶対話せない。
沙衣は父親に仕事が済んだことを伝える。するよ父親は沙衣に言う。
「濁池を見てくれませんか、化け物はそこから現れました。息子の通学路になっているので心配です。」「分かりました。見るだけですよ。」
沙衣と祐二は、父親に案内されて濁池に行く。沙衣は一目見て言う。
「これはひどいですね。通学路を変えた方が良いですよ。」「先生に祓ってもらうことはできないですか。」
「依頼料をいただくことになりますがかなり高いですよ。」「そうですか。」
「市に除霊を依頼するように働きかけてはどうですか。」「分かりました。つてがありますのでそうします。」
濁池の件は父親が市に働きかけることになる。
沙衣と祐二は引き上げる。祐二が沙衣に言う。
「放っておいてよいの。」「私は仕事をしているのよ。本当だったら池を見るのも有料なんだから。」
「サービスしたの。」「そうよ。」
沙衣は、助手席の祐二を意識するが、鈍感な祐二は気づかない。
それから1か月後、市の土木課から濁池の除霊の依頼が入る。沙衣は祐二に言う。
「濁池の除霊の依頼が入ったわ。」「まだ1か月ですよ。」
「どんな手を使ったのかしら。」「知らない方が良さそうですね。」
沙衣は大きな仕事が入って機嫌がよくなる。翌日、2人は再び濁池へ行く。
池に着くと市の職員が来ている。職員が沙衣に言う。
「先生は、凄腕だと聞いています。よろしくお願いします。」「悪霊を退治してから池を清めます。」
沙衣は言うと池の水をコントロールし始める。彼女には池の上に3人の悪霊を認めている。さらに数十人の霊がいる。
池に中から水の槍が無数に飛び出す。水の槍は悪霊たちを貫き、霧散させる。
すると池の中から無数の霊魂が飛び去って行く。
沙衣は、次に経文を唱え始める。すると池が波立ち始める。
池の中から苦しそうに人型が這い出てくる。職員が動揺して言う。
「若い女が池から出てきた。」「あれは化け物です。」
祐二が説明する。
「そうですか、池の中から出てくるなんて変ですよね。」「さ、沙衣。」
説明したはずの祐二が這い出ていたものに駆け寄る。祐二が抱きしめると形が崩れ砂状になる。彼は泣き叫ぶ。
「沙衣がー、沙衣がー」「うるさい。学習しろ。」
沙衣は、怒り、経文を中断して、祐二を蹴り倒す。
「祐二、あなたは頭を冷やしなさい。」
彼女は、祐二を池の中に投げ込む。すると池の泥が何十と人の形をとっては崩れていく。彼女は、祐二に退魔の力があると確信する。
沙衣は、経文を唱え終える。祐二は、やっと池から上がってくる。職員が沙衣に聞く。
「先生、この池大丈夫ですか。」
職員は、除霊の光景を見て心配になってきたのだ。沙衣は職員に答える。
「濁池は、浄化されました。大丈夫ですよ。」「沙衣、ひどいよ。」「学習しないからよ。」
この後、濁池の怪異は無くなり、心霊スポットではなくなる。
沙衣は、祐二のバイト代を時給3000円から5000円に上げる。




