プロローグ
辻正守は、藩士で城に勤めていた。しかし、彼は仲間との喧嘩から相手を切り殺してしまう。
正守は逃げ出し、山伏となり圓光と名乗り修行を始める。
彼は山の中で修行の日々を送る。ある日、圓光は狐のような妖怪に出会う。
妖怪は体長30センチほどで毛は鼠色であった。
圓光は錫杖に胆力を込めて妖怪を打ち据える。すると妖怪は彼に言う
「私は管狐です。助けてください。」「私に言うことを聞けば、助けてやろう。」
「私は、あなたの一族に仕えることにします。」「よかろう。」
圓光は管狐を使役することにする。管狐は圓光には見えているが、他の人には見えていないようであった。
彼は管狐を連れて修行を続ける。ある時、山間の村に寄ることになる。
圓光は、村人に歓迎され、庄屋の家に泊まる。家の主人が圓光に頼みごとをする。
「この村では5年に1人づつ若い娘を鬼に生贄に差し出す決まりがあります。」「それは、大変ですな。」
「今年、私の娘が生贄になることになっています。」「鬼を退治してほしいのですか。」
「はい、娘を助けてください。」「分かりました。」
圓光は庄屋の家に鬼退治まで住むことになる。庄屋の娘はかすみといい器量の良い娘であった。
圓光はかすみと仲が良くなる。ある日圓光は主人に言う。
「鬼を退治したらかすみを私にくれないか。」「圓光様が我が家に来てくれるならよいでしょう。」
「分かりました。」
圓光は鬼を退治したらかすみと夫婦になることになる。
生贄を捧げる日が来る。かすみは手足を縛られ輿に乗せられて山の中へ入って行く。圓光は少し離れてついて行く。
山の中に開けたところがあり、かすみはそこに置き去りにされる。圓光は近くの木の影から様子を見る。
しばらくすると鬼がやってくる。鬼は人より一回りは大きく全身に猿のような毛が生えている。そして頭には1本の角が生えている。
圓光は管狐にかすみを縛っている縄を切るように言う。彼は、鬼の前に出る。鬼は気分を害したのか
「うおおおおおおおー」
と叫ぶと圓光に迫る。鬼は鋭い爪を持つ腕を振り彼を引き裂こうとする。
圓光は避けながら胆力をためるが錫杖を撃ち込む隙が鬼にはない。かすみを助けた管狐が加勢に入る。
管狐は素早い動きで、鬼の目を傷つける。圓光はその隙に錫杖を鬼に打ち据える。鬼は倒れ、彼は錫杖を突き立て経文を唱え始める。
鬼は逃れようと暴れるが突き立てられた錫杖はびくともしない。経文は続けられ鬼はだんだん弱って行く。
鬼は最後に骨を残して消え去る。
圓光とかすみは山を下りる。2人の周りに村人が集まってくる。圓光は鬼を討ち取った証拠に鬼の頭の骨を見せる。
圓光はかすみと結婚して、庄屋の家に落ち着く。
管狐は圓光の子孫に引き継がれていく。管狐は使役する者にしか姿が見えない。そして、飢饉や病を予見して村に富をもたらす。
庄屋は近代になり辻家を名乗る。




