4話 行く末
和沙の父親はいう。
「何とかと言う祓い屋を入れなければいいのではないか。」「でも、どんなことするかわからないわ。」
母親が心配する。祖母が言う。
「祓い屋のことは祓い屋に任せればいい。」「お母さん、ぼたんを守る話をしているんですよ。」
「だから、祓い屋に守ってもらえばいいのさ。」
祖母の言葉に一同は黙って考える。和沙が発言する。
「私、おばあちゃんの意見に賛成する。」「そうだな、専門の業者に任せるか。」
父親も賛成して、ぼたんを守る祓い屋を雇うことにする。
事務所の電話が鳴る。沙衣が電話を取る。
「中野沙衣探偵事務所です。」「うちの猫を守って欲しいのですが。」
「うちは探偵事務所ですが。」「お祓いもすると伺っています。」
「はい、そのような仕事も受けてます。」「うちの猫が祓い屋に狙われているのです。」
「動物虐待ですか。」「うちの猫は変わっていて、長寿で人の言葉をしゃべります。」
「それって化け猫ではないのですか。」「私たちにとっては家族の一員です。」
「分かりました。伺ってお話を伺います。」「お願いします。」
沙衣は事情を聴くために佐竹家へ行くことになる。翌日、沙衣は祐二とロードスターに乗って佐竹の家に行く。
家に着くと沙衣は、妖怪の気配に気づく。沙衣と祐二は居間に通される。
和沙の父親が応対に出る。
「我が家には昔からぼたんと言う猫を飼っています。」「と言うことは人より長生きなのですね。」
「そうです。ぼたんは私たちに危害を加えることはありません。」「その猫を祓い屋が狙っているのですね。」
「事の始まりは、ある男が、娘のストーカーになったことです。男が娘を殺そうとしたため、ぼたんが男を殺しました。」「私でも男を殺したでしょう。」
沙衣は平然と言う。祐二は沙衣が本当のことを言っているのを知っている。
「そして、男の父親がぼたんが犯人だと決めつけて祓い屋を雇ったのです。」「何という祓い屋ですか。」
「鬼頭とか言う女性です。」「鬼頭亜香子ですか。」
「知り合いですか。」「力のある払い屋ですが、戦えば私が勝つでしょう。」
「では、ぼたんを守ってくれますか。」「ぼたんに会ってから決めます。」
沙衣は、ぼたんに会って正体を見極め、対応を決めることにする。すると、ぼたんが居間に入って来る。沙衣は言う。
「この猫がぼたんですね。」「そうです。」
祐二が戸惑ったように言う。
「猫がいるのですか、僕には見えませんが。」
沙衣は祐二が霊に鈍感でも限度があると思う。ぼたんが沙衣に言う。
「この男を、わしに近づけないでおくれ。」「祐二に何かありますか。」
「強力な破魔の力を感じる。」「祐二にそんなことはできませんが。」
「とにかく近づけないでくれ。」「分かりました。ぼたんは何年生きているのですか。」
「戦国の世が終わるころにはいたから数百年は生きている。」「400歳位ですか。人を食らったことはありますか。」
「ない、わしは酒が好きだ。」「これからどうするつもりですか。」
「猫として暮らしていくだけだ。私を滅ぼすというのなら命をやろう。十分に生きている。」「家族はぼたんを必要としていますよ。」
「そうなら、死ねないね。」「分かりました。ぼたんを守ることにします。」
沙衣はぼたんを守ることにする。沙衣は亜香子に電話する。
「亜香子さん化け猫の依頼を受けましたか。」「ええ、受けています。」
「私は、猫を守る依頼を受けました。」「祓い屋らしくない仕事ね。」
「私は探偵ですから。」「祓い屋の仕事しか来ないことは分かっているわ。」
「私は亜香子さんに猫を祓うことをやめてもらおうと思います。」「私と戦うつもり。」
「いいえお話で解決するつもりです。」「依頼者は人の話を聞かないわよ。」
「分かりました。亜香子さんに会いに行きます。」「穏便に済ませたいわね。」
沙衣と祐二は、亜香子の所に行く。助手のマッスルがフロント・ラットスプレッドのポーズで歓迎する。亜香子は沙衣に言う。
「どうするつもり。」「ストーカー男の父親には、猫のぼたんに会ってもらおうと思います。」
「それで父親は手を引くと思うのかい。」「いざとなれば、ぼたんが父親を始末するでしょう。」
「私は父親がぼたんに会う所で手を引けばいいのね。」「はい、あとは私が何とかします。」
「会うのは人目がない方がいいね。深夜の公園にしよう。」「はい。」
2人は打ち合わせをする。深夜の公園に男の父親が来る。父親は亜香子に言う。
「本当に来るんだろうな。」「まだ約束の時間ではありませんよ。」
公園の近くにロードスターが止まる。沙衣がぼたんを連れてくる。父親は亜香子に依頼料を払う。すると亜香子は去って行く。
父親はぼたんに言う。
「おまえが息子を殺したんだな。」「いかにも、和沙を殺そうとしたので殺したのだ。」
「息子が悪いと言うのか。」「その通りであろう。」
父親は怒り、包丁を取り出し、ぼたんを刺す。しかし、ぼたんは死なない。
「なぜ、死なない。」「お前に私を滅するのは無理だ。」
父親は、沙衣の方を向き言う。
「おい、祓い屋、猫を殺せ。」「私は猫を守るように依頼を受けています。」
沙衣はそういうと公園から離れる。父親はぼたんに言う。
「おまえを殺せないのなら。佐竹の者を殺してやる。」
それはぼたんに行ってはならない言葉だった。
ぼたんはしばらくすると車に帰ってくる。沙衣はぼたんに言う。
「済ましたか。」「ああ、愚かなことだ。」
翌朝、公園で男の死体が見つかる。死体には大型の獣に引き裂かれたような傷がついていた。




