プロローグ
300年ほど前、幸田村のある貧しい家に男が止まることになる。
妻が勝手に家へ上げてしまったのだ。
この家の主は、この世ならざるものを見る目を持っていた。
主には、男が人には見えなかった。
彼は首を垂れ、男に懇願する
「命だけはお助けください。」
男は主に言う
「ふん、我の正体に気づいたか。」
「はい、誰にも言いません。」
「なら約定をかわそう。」
「約定ですか。」
「そうだ、約定を守る限り、お前の家に富をもたらそう。」
「私は何をすればよいのですか。」
主と男の間で約定が交わされる。
それから男はお方様と呼ばれるようになる。
その家は、ほかの家が不作でも豊作が続く。
そして、主は不作の時は食料を分け与え村人から信頼されていく。
それは代々続く。
動乱の時代でもその家は栄え続け、明治時代になると朝霧家となる。
朝霧家の当主は太平洋戦争の時、村のほかの男と共に徴兵されるが、数少ない生還者の1人になる。
戦後、朝霧家は村長を代々するようになる。
すでに幸田村では名士となっている。
その後も栄え続け、高度成長期には、持っていた山が高速道路の予定地になり、多額の現金収入を得る。
その後、朝霧家は投資を主な生業としていく。
朝霧家は、バブル崩壊もリーマンショックも予見したように切り抜けて、さらに資産を増やしていく。
こうして、繁栄を続けてきた朝霧家であったが、不幸が起こる。
当主の朝霧翔一が60歳の若さで他界したのだ。
翔一は、風呂場で倒れているところを発見され、救護隊に病院に運ばれたのだが間に合わなかったのだ。
当主は30歳の長男の朝霧翔太が後を継ぐことになる。
彼は村長としての翔一の秘書をしていたのを担ぎだされた形になる。
村の村長選挙で、彼は村長になる。




