第3話 沙衣、介入する
朝には、祐二と小林の失踪は学内に広まる。当然、沙衣の耳にも入る。沙衣は、小林の仲間たちを見つけると問い詰める。
「勘弁してくれ、警察でしつこく事情聴取されて寝ていないんだ。」「祐二に何かあったら、あんたたち無事には済ませないわよ。」
「分かった。すべて話すよ。警察には口止めされているから内緒で頼むよ。」「あんたたちの態度次第よ。」
小林の仲間たちは沙衣を旧校舎に連れて行くが警察によって封鎖されていた。見張りの警察官もいるので入ることはできない。
「入れないけど、旧校舎の地下1階の一番奥のトイレで鏡に映った自分の姿をスマホで写真を撮ることをしたんだ。」「それで祐二はどこに行ったの。」
「分からない。中井も小林も鏡の前から突然消えたんだ。」「見ていたのね。」
「ああ、ビデオにも撮ってある。」「そのビデオを見せて。」
「警察にあるよ。証拠だってさ。」「で、なぜここで肝試しをしたの?」
「以前からうわさがあったんだ。トイレの鏡を深夜に見ると消えるというのが、実際、失踪者が何人か出ているらしい。」「わかったわ。」
沙衣はビデオを見てみる必要があると考える。沙衣は、祖母の古馬沙夜に相談する。
「警察の協力を得たいのだけど、おばあ様のつてを頼っていい?」「話は通すことが出来るけど、警察とつながりが出来てしまうよ。」
「覚悟は出来ているわ。」「警察が手に負えない案件を表ざたにしないように片づける仕事だよ。」
「分かっている。」「大切な人が関わっているのだね。」
「祐二はただの荷物持ちよ。」「仕事を手伝っている霊に鈍感な子だね。ちゃんと捕まえておかないといけないね。」
「そんなんじゃないわよ。」「そんなこと言っていると五條家に取られてしまうよ。」
「おばあ様、どこまで知っているの。」「何のことかわからないわ。明日、東海警察署刑事の桜木さんを訪ねなさい。」
「ごまかしたわね。」「私は歳をとっても舟戸姉妹ですよ。」「分かりました。詮索はしません。」
翌日、沙衣は東海警察署に行く。すると桜木刑事は受付に待っていた。
「舟戸さんの紹介だからどんな人が来るかドキドキしていたよ。」「私は舟戸姉妹が出来ることはすべてできます。見た目で判断しないでください。」
「これは失礼。刑事課の桜木だ。」「中野沙衣です。大学生をしながら探偵をしています。」
「探偵と言いながら払い屋がメインでしょ。」「そういう仕事が来るだけです。今日は明城大学の失踪の件で来ました。」
「あの事件は行き詰っているんだ。突然消えて全く消息が無いからね。」「証拠のビデオを見せてください。」
「分かっていると思うが内緒で見せるから口外しないでくれ。」「承知しています。」
沙衣は桜木とビデオを見る。祐二と小林はトイレの鏡の前でスマホを取り出すと突然、姿が消える。再生画面の時間は1時57分30秒になっている。
「消えたのはこの時間ですか。」「いや、ビデオの時間は2分30秒遅れているから、午前2時ちょうどだ。」
「では、今夜2時にトイレの鏡の前へ行きます。」「わかった。私が捜査のために入ることにするから同行者を装ってくれ。」
夜になり、沙衣と桜木は旧校舎へ行く。桜木が見張りをしている警察官に声をかけて、2人は中に入る。
沙衣は地下1階の奥のトイレに行って、鏡の前に立ち午前2時を待つ。そして、午前2時、突然、沙衣の姿が描き消える。
桜木は目を丸くするが深呼吸して落ち着く。桜木は舟戸姉妹との付き合いで不可思議なことを何度も経験していた。そして、とりあえず朝まで待つことにする。




