第2話 別世界
祐二は、午前2時ちょうどに小林と共にトイレの鏡を見る。鏡には祐二と小林が映っているが、背景がトイレではなく野原になっている。
次の瞬間、祐二たちはトイレではなく野原の中に立っていた。小林がうろたえる。
「なんだここは、聞いていないぞ。みんないるのだろ出てこい。」「まて、静かにしろ、周りをよく観察した方がいい。」
「祐二、何落ち着いている。」「ここは別世界だよ。迷い込んだのだよ。」
「異世界だって、信じられるか。」
祐二は、野原を観察する。ススキの穂が出ている。ここは秋らしい。さっきまでは夏だった。遠くから人影のようなものが近づいて来る。祐二は小林に隠れるように声をかける。
「人のようなものが来る。隠れよう。」「何言っている。助けを呼ばないと。」
「あれが何かわからないぞ。」「うるさい。黙っていろ。」
小林は手を振って大声を出す。
「おおーい、助けてくれー」
すると人影はこちらに向けて走り出す。祐二は危険を感じて小林から離れて草むらの中に身を隠す。
「こっちだ。迷ってしまったのだ。」
それはどんどん近づいて来る。小林は近づいてくるものが異形の者であることに気づく。半裸の姿に頭に2本の角がある。
「ま、まて、来るなーーー、鬼だ。」
鬼は、小林の前に立つと小林を見下ろす。
「迷い人か。人間の肉は久しぶりだな。」「に、人間の肉、まさか俺を食べるつもりじゃ・・・」
「さあ、来い。」「まて・・・俺は嫌だぞ。」
鬼は小林の腕を掴むと引っ張る。ものすごい力で小林は抵抗できない。
「嫌だー、助けてくれー」
叫ぶも誰も助ける者はいない。鬼は野原の中をどんどん進んで行く。祐二は鬼に気づかれないように後をつける。鬼が30分位歩くと大きな瓦葺の屋敷が見えてくる。
野原の中に屋敷だけがある。小林は屋敷に連れ込まれる。祐二はどうやって屋敷の潜入するか考える。
「ぎやあああぁぁぁーーーーーーーーーーーー」
断末魔の叫び声が聞こえてくる。祐二は助ける必要が無くなったことを知る。
「わはははーーー、いい声だ。」「血の匂いも久しぶりじゃのう。」
話声から鬼は1匹だけでないことが判る。祐二は元居た場所へ戻ることにする。そこを探せば元の世界に戻れるきっかけが見つかるかもしれない。
祐二は鬼に見つからないように静かに戻って行く。すると話し声が聞こえる。
「人間は1匹だけだったか?」「ああ、間抜けにも手を振って丸見えだったよ。」
「おかしいのう。鏡には2匹の人間が映っていたが。」「これを食ったら、もう一度探すよ。」
祐二は冷や汗が出てくる。鬼に見つかるまでに帰る手がかりを見つけなくてはならない。静かにかつ急いで戻って行く。
祐二は元の場所に戻ると手掛かりを探し始める。しかし、あるのは草だけで何も見つからない。祐二は鬼たちの会話を思い出す。
鏡に僕たちが映っていたと言っていたな。帰るカギは鬼の屋敷の中か。どうする。とりあえず屋敷の近くに移動して鬼の動きを観察するか。
祐二は屋敷に忍び込む機会をうかがうことにする。




