エピローグ
中井祐二は、明城大学に在籍しており、本人は目立たない物静かな学生生活を送っていると思っている。
しかし、実際は大学中の男子の注目を集めている。もちろん良い意味ではなく悪い意味である。
孤高の女王といえる中野沙衣と親しげに会話して(男子にはそう見えている)、あまつさえ肩を抱いて足でぐりぐりしてもらえる仲である。
これだけでもなぜ中井だけと嫉妬心をあおっている。そこへ事件が起こる。
学園祭のクイーンコンテスト2連覇中の須藤美晴が、なぜか中井をデートに誘ったのである。これは男子ならば涙を流しながら拝領しなければならないことである。
ところが中井は、なんと断ったのだ。あまつさえ「僕は沙衣が好きなんだ。」と吠えたのだ。
表と裏の女王の気を引いて、両手に花の中井祐二、なんて奴だ。うらやましい、いや汚らわしい。男子たちはこれは天誅が必要だと考えている。
当然、講義中、祐二は男子の殺気のこもった視線にさらされている。だが、霊に鈍感な祐二は、人の醸し出す雰囲気にも鈍感だった。
沙衣に熱を上げている小林が有志を集めて会議を始める。
「中井祐二をこのまま野放しにしてよいのか。」「否、否、否」
「そうだ、中井祐二には天誅が必要である。」「おおう。」「そうだ。」
「何か良い案はないか。」「簀巻きにして川に投げ込むか。」「死んでしまうだろ。」
「殺したらダメなのか。」「当たり前だ。」
「なら、旧校舎の地下にしょうか。」「あの話か。」
「ああ、あれだ。」「決まりだな。」
小林たちは計画にかかる。祐二は小林たちが自分をはめようとしていることに全く気付いていない。小林が祐二に声をかける。
「中井、肝試しをやらないか。」「興味ないよ。」
「そうか怖いか。なんといっても旧校舎の地下だからな。」「旧校舎の地下?」
「知らないのか。あそこは神隠しにあうと有名だぞ。」「そうなんだ。何かあったら連絡してくれ。」
「参加しないつもりか。俺は中井と参加することになっているんだぞ。」「僕と。僕は嫌だな。」
「俺だって嫌だよ。仕方ないだろ。」「全員参加なら仕方ないな。」
祐二は勘違いをして肝試しに参加することになる。




