5話 沙衣、依頼を受ける。
翌日の夕方、中野沙衣探偵事務所に武藤が来る。
「武藤です。中野沙衣先生はいますが。」「私が中野沙衣です。」
「えっ。まだ、社会人には見えませんが。」「大学生です。」
「そんな・・・」「どうしますか。見かけで判断されますか。」
「いや、頼めるのは沙衣先生だけです。」「私はまだ依頼を受けるとは決めていません。」
「では、どうして私を呼んだのですか。」「鬼女を暴力を使わずに捕まえることは不可能です。報告書を読んで他に手はないか考えます。」
「お願いします。」「ただ、鬼女は人間を捕食しますので命の保証はしませんよ。」
「分かっています。それでも会いたいのです。」
沙衣は黒木の報告書を読む。そして、武藤に言う。
「黒木と言う探偵は峠へ鬼女に会いに行ったのですね。」「そうです。遺体もそこで発見されたそうです。」
「これでは、襲われに行っているようなものです。」「峠へ行くのはだめですか。」
「はい、峠は鬼女の餌場です。町で見つけることですね。」「しかし、街で見つけるのは無理だと報告にあります。」
「私に任せてください。ただ、戦闘になったら手足を切り落として連れてきます。」「そんな、彼女がかわいそうです。」
「もし、一緒に住みたいのなら手と足はない方が良いですよ。」「それなら私が食われた方がましだ。」
祐二がうなづき始める。そして武藤に言う。
「その気持ちわかりますよ。」「分かるのですか。」
「もちろんです。血も涙もない女に命を懸けていますから。」
沙衣は無言で祐二の金的を蹴り上げる。祐二は苦悶してけいれんしている。武藤は祐二の立場を察する。
翌日、沙衣と祐二はロードスターで札木町へ行く。ロードスターをコインパーキングに駐車すると街の中を歩き始める。
「ゴールデンウイーク前なのに少し暑いですね。」「そうね。かき氷を食べるわよ。」
「それはいいですね。どうしてかき氷なんです。」「鬼女が暑さに弱いと思ったからよ。」
「雪女ではないから、どうでしょう。」「それもそうね。」
祐二が、かき氷屋を見ると大きなかき氷をアベックが2人で食べている。沙衣は赤くなっている。祐二の鈍感な頭が動き出す。
「そうですね。かき氷ですよね。さあ、入りましょう。」「ち、ちょっと」
祐二は沙衣の手を引っ張ってかき氷屋に入る。すると沙衣の顔色が変わる。




