4話 ドライブ
沙衣は、ドライブの日程を次の連休に決定する。彼女はドライブのために新しい服を買う。これは直ってきた車に会わせて新調しただけで祐二に見せるためではない。
昼の弁当はサンドイッチに決める。祐二の分もあるがドライブに付き合ってくれた報酬として作るのであって、他意はないと自分に言い聞かせる。
ドライブ当日、待ち合わせ場所の事務所に行くと祐二はすでに来ていた。
「待ったの?」「今来たところだよ。」
祐二は沙衣を待たせないように予定の30分前に来ていた。
「沙衣、新しい服?似合っている。かわいいよ。」「車に合わせてて新調したのよ。何を着てもかわいいて言うのでしょ。」
「そんなことないよ。白のブラウス似合っているよ。」「そう、ありがとう。」
2人はロードスターに乗り込むと事務所の車庫から出発する。2人は街を走り抜けると山へ向かって走る。沙衣は久しぶりのロードスターの走りを楽しむ。
祐二は沙衣の隣にいられるので何の文句もない。昼近くになって峠道の見晴らしの良いところに駐車場を見つけて車を止めると沙衣が祐二に言う。
「お弁当作って来たからここで景色を見ながら食べましょ。」「お弁当作ってくれたの。」
「私が作った物に不満があるの。」「無いよ。喜んでいただきます。」
祐二も2人分の弁当を作っていたが出す機会を失う。彼は沙衣に料理が出来ることをアピールするつもりだったのだ。
2人はベンチに座って景色を見ながらサンドウィッチを食べる。
「沙衣の手料理食べられて幸せだな。」「味はどお。」
「おいしいよ。」「良かった。」
祐二は手料理に感動しながら食べる。そして、これってどう考えてもデートだよなと思う。昼食を終えると峠道を下り始め、自然歩道の入り口にある駐車場に車を止める。
「少し歩きましょうよ。」「いいね。」
「たまにはドライブもいいでしょ。」「うん、またしようね。」
祐二は沙衣に少し近づけた気になる。2人はゆっくり歩道を歩く。そのうち沙衣は嫌な気配に気づく。感じからして物の怪の類だと考える。
「祐二、そろそろ引き返しましょうか。」「どうかしたの。」
「この先に妖怪のようなものがいるわ。」「分かった引き返そう。」
その時、叫び声が聞こえてくる。
「大変だーハルトと部長が化け物に襲われた。」「どうしよう。だから止めたのに。」「そんなことより警察だ。」
沙衣は彼らの方に歩いて行く。祐二が聞く。
「引き返すのではなかったの。」「ほっとけないでしょ。」
沙衣は、彼らに声をかける。
「あなたたちどうしたの。」「アレ、中野沙衣様だ。あのハルトと省吾が岩屋に入って化け物に襲われました。」
「そう、これで、私が岩屋に入って化け物を退治するわよ。」
沙衣は、右手を開いて見せる。
「5万円?」「違うわ50よ。」
「50万円払えるわけないよ。」「これでも出張費なしだし、学友だから安くしているけど。」
「分かった。すぐには無理だけど払うよ。」「化け物を退治してくるから、ここで警察を待っていて。」
祐二が心配して言う。
「今日はペットボトル持って来ていないけど大丈夫。」「ここ地下水が浅い所を通っているから、これを利用するわ。」
祐二は、いい感じに過ごしていたのに台無しだと思う。




