4話 レース
沙衣はロードスターを加速させてアルファロメオの後を追う。彼女が下りのカーブを強引に攻めていく。助手席の祐二が言う。
「沙衣、危ないよ。スピード出し過ぎだよ。」「こうしないとアルファロメオに追いつけないでしょ。」
「僕には何も見えないよ。沙衣が暴走しているだけだよ。」「見えないなら黙っていて。」
沙衣はロードスターをドリフトさせながら下りのカーブを走り抜けていくがアルファロメオとの距離は縮まらない。彼女のロードスターはアルファロメオを追い続ける。
アルファロメオは見事なコーナリングでカーブを回って行く。沙衣は離されてはいないが一歩間違えれば崖下に落ちかねない状態で運転している。
そしてアルファロメオが突然消える。沙衣は思わずブレーキを踏みこむ。ロードスターはコントロールを失いガードレールに激突する。
ロードスターは、ガードレールに受け止められる状態で停止して崖から転落せずに済む。沙衣は祐二に言う。
「大丈夫?」「僕は大丈夫だよ。沙衣は?」
「私も大丈夫よ。」
しかし、ロードスターは右前方からガードレールに接触して右前輪までつぶれる大破の状態である。
沙衣はレッカー業者と警察に連絡する。彼女は言う。
「あのアルファロメオ、急に消えるなんて卑怯よ。」「沙衣、もう少しで死ぬところだったんだよ。」
「死ぬのが嫌なら乗らなければよかったでしょ。」「そうはいかないよ。僕は沙衣と一緒にいるって決めているのだから。」
「じゃあ、一緒に死んでくれるんだ。」「まだ、死にたくはないよ。」
警察の聴取が終わり、ロードスターは修理工場に運ばれる。事故による破損はひどく、修理にしばらくかかることになる。




