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ガラスの瞳

作者: 立花 優

しまった。遅刻だ。


今からじゃもう間に合わないが、それでも、次のバスに飛び乗った。


何しろ、もともと、遅刻の常習犯だ。


しかし、来年は、高校受験である。


例え、遅刻しても、欠席するよりは、マシだろう。


ようやく、学校に辿りついて、おそるおそる、教室のドアを開けた。


先生の怒鳴り声が聞こえる。

まあ、それは、想定内なのだ。


しかし、クラス内の異様な雰囲気に、即、気が付いた。


何と、級友の全員の「瞳」が、人間の「瞳」では無いのだ。


敢えて言えば、マネキン人形のような冷たい「瞳」に、全員、置き換わっていたのだ。


受験勉強が、クラスメートの「瞳」を、「ガラスの瞳」に変えたのか?


まるで、カフカの小説『変身』のようではないか?


何とか席に着いて、隣の女の子に手鏡を借りて、自分の「瞳」を見てみた。


何と、自分の瞳も「ガラスの瞳」だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 現代社会の悲哀が詰まっていますね。虚ろで空っぽなガラスの瞳、何だか恐ろしいです。
[良い点] 少しその場から離れていて、久し振りに戻ってみたら見えてしまうものって、ありますよね。 しかも気づかなかった! 自分まで…… そんなものを簡潔に、正確に描いていると思いました。
[一言] 思春期ゆえの、なのか。受験戦争ゆえの、なのか。 それとも、画一的であることを求められる我が国の学校教育ゆえの、なのか。 読みながら色々なことを考えさせられた作品でした。 もしかしたら自分もい…
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