陽は叫び 月は微笑み 星は囁く
誰そ彼
彼方と彼岸の境
転気と共に
歓声は閑静に変わる
赤く染まった陽が
眼下に広がる白海に
その身を沈めていく
陽の色が染み出すように
頭上の青い海も
眼下の白い海も
ゆっくりと赤く焼けてゆく
白海に浮かぶ島々さえ例外ではない
風の鳴く声もなく
陽がゆっくりとその身を沈める姿が見えなければ
まるで時が止まったかのような
そんな錯覚に陥ってしまっただろう
陽はやがてその身を全て白海に沈め
わずかな間をもって海一面が緋に染まる
自らの姿を世界に焼き付けるよう
一面を自分の色に染めていく
静寂に響いた一瞬の叫びが消えると
世界は一変して闇に沈む
大地を照らす光は
陽光から月光へと変わり
陽の叫びにかき消されていた幾重の星の声が
少しずつ大地に届き始める
抑えられていた声を解き放つように
星の光は黒く染まった夜の空一面に広がり
響き渡る声は見るものを圧倒する
淡い月の光に照らされ
眼下の海は黒に薄い白の衣をまとって浮かぶ
島のように浮かぶ頂は
淡い光に照らされ
輪郭だけがその存在を知らしめる
月は優しく大地を包み
世界はやがて緩やかに眠りに落ちていく
巡りて
彼は誰ぞ
彼岸と彼方の境目に
死して燃じる灯火を
掲げてぞ空天高く燃ゆる