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消えた君と桜がみたい  作者: 木端慎一
8/8

消えた君と桜がみたい

翌朝、学校にいくと、蒔田さんが僕にかけより、泣きそうな顔をしていた。

「どうしたの?」

嫌な予感がした。そして、こういう時の予感はあたる。

「葵が転校しちゃうんだって……」

「え……」

「先生がいうには、両親が離婚するみたいで……」

話をきいてすぐに、僕は学校を抜けだして、宮森さんの家に向かった。

家の前につくと、ちょうど宮森さんがドアを開けてでてくるところだった。車が近くに止められていて、トランクには荷物が沢山入っているのが見える。

「宮森さん!」と僕は叫び、彼女の前までいく。

「夏木君!? どうして……」宮森さんは目を見開いて驚いている。

「蒔田さんからきいたよ…… 転校するの?」

「うん……」

「それなら」と僕は気まずそうにうつむいている宮森さんの腕を掴んで走りだした。

「え…… ちょっと、夏木君!?」

自分でもなんでこんなことしてるかはわからないけど、とにかく今は宮森さんとゆっくり話ができる場所にいきたかった。

宮森さんの手をひいて走っていると、次第に引っ張っている感覚がなくなるほど、軽くなっていく。不思議に思い後ろを振り返ると宮森さんも一緒に走っていた。

息がきれてきて僕は足を止める。宮森さんは陸上部なだけあって、呼吸はみだれていない。

「びっくりしちゃった…… まさか夏木君に腕を引っ張られる日がくるなんて……」

「僕だってこんなことしたのはじめてだよ。それと、僕から君にはじめて電話したんだから出てくれてもいいだろ?」

「ごめんなさい…… いま夏木君と話すと、この街から離れられなくなりそうだから……」

「一目惚れに運命があるって言ってたよね」

「え…… うん……」

「多分だけど、もしかしたらだけど、僕は君に一目惚れをしていたのかもしれない……」

宮森さんの顔が桜のように薄赤く染まっている。

「えっと…… それって…… つまり…… えっと……」

「 君の事が好きだと思う…… この先僕の気が変わらなければ……多分ずっと……」

彼女は吹き出したようにぷははと笑った。

「気が変わらなければってなに? 夏木君らしいけど」

「慣れてないんだ……こういうの」

「夏木君はそれでいいと思う。私も夏木君のこと好きだよ。気が変わらなければこの先もずっと」

あ、といって桜の葉が足元に落ちているのを彼女は見つめた。無我夢中で走ってきたから気がつかなかったけどこの辺はたしか、と周りを見る。

「この先に桜が沢山咲いている神社があるんだけど……」

宮森さんはいつものように「行こう」といって僕の手を引っ張った。


おしまい



おまけ


神社にて


「でも、宮森さんは街から出ていっちゃうんだよね……」

「大丈夫!隣街だからいつでも会えるよ」

「そうなの?」

「うん、引っ越しはしちゃうんだけどね。お父さんとお母さん喧嘩ばっかだから……それ止めた時なんか腕と肩ぶつけちゃって」

「ぶつけた? お父さんに殴られたとかじゃないの?」

「なにそれ!うちのお父さんはそんなことしないよ。私はお母さんとの方が喧嘩ばっかだったし……」

「そ、そうだったんだ……」

「それでね、お父さんとお母さん離婚して別々に住むっていうから、私も来月から隣街にある陸上が強い学校の寮に入ることにしたの」

「寮?」

宮森さんはにやりと笑う。

「学君、今不安になったでしょ? 安心して女子校だから!」

「そこはどうでもいいよ。無計画な葵さんが寮でやっていけるかのほうが心配だよ」

「ひどい!大丈夫だよ!寮のみんないい人だったから、実はもう寮に住まわせてもらってるんだ」

「あ、だからこの前違う駅で降りてたのか……」

「そういうこと!学くん、これからもよろしくね!」

ここまで読んでくれてありがとうございます!

ほぼ、思いつきと即興で書いたので物足りなく感じた人もいるかもしれませんが、少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいです!


これからも色んな小説を書いていくと思いますので、その時、また見かけたときにでも読んでもらえたら凄く嬉しいです!


それと、誤字報告凄く助かりました!ありがとうございます(^^)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 感動しました。消えた君と桜が見たい。というタイトルから気になって読み始めたのですが、旅立つシーンで、大丈夫隣町だからいつでも会えるよ。やばい、涙腺崩壊しそう。
[良い点] おまけ部分でちゃっかり呼び方が変わってるとこ好きだ。 タイトル的に遺書という手紙というか、そういうので気持ちを知って一人で桜を見に行くのかと思ってたから良い結末で良かった。
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