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消えた君と桜がみたい  作者: 木端慎一
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もうそろそろ終盤ですm(__)m

ここまで読んでくれた方ありがとうございます!

コメントや感想もお待ちしてます(^^)

宮森さんが僕の前に姿を見せなくなってから、一週間がたった。学校では、宮森さんと仲がよかったと思われる女子達が僕に怪しげな視線を向けていた。そして、その中で周りを先導しているリーダーのような立ち位置の女の子が、次の授業に向けて教材を用意している僕の前に立つ。

「あのさぁ、夏木って葵と仲良かったよね? 最近葵みないんだけど、なんか知らない?」

腕を組み座っている僕を見下ろしている。

「僕が宮森さんと仲が良かったから何かを疑っているなら、君の方が怪しいんじゃないの? 同じ女子だし。僕からも質問させてよ。宮森さんに何かしたの?」

「はぁ? うちが葵になにかするわけないじゃん」

「そんなの知らないよ。君のことなんて今はじめて認識したんだから」

「めっちゃムカつくんだけど!」と彼女が涙目になってから、僕は自分が言い過ぎた事に気がつき、「ごめん」と謝った。そして、「でも本当に知らないよ」と付け足すと、彼女は不満気な表情をしながらも、仕方なくといった感じで席に戻っていった。

正直僕は苛ついていた。勝手に現れて、勝手にいなくなる。そんな自分勝手な彼女が今も僕の頭のなかで笑顔を作っているからだ。

はぁ、とため息をはくとチャイムがなった。


授業が全て終わり、帰ろうと立ち上がると、眼鏡をかけた大人しそうな子が恐る恐る僕に話しかける。

「あ、あの……」

何かを言いたそうに僕を見ているが、恐がっているのがわかった。きっと見た目通り、内気な性格なのだろうと直感した。話しかける事自体なれていない感じの子なのがわかる。

僕も人の事はいえないが……。

「君は…… 確か、宮森さんと仲よかった…… だれだっけ?」

彼女の事は覚えていた。なぜなら宮森さんと同じ陸上部で、よく一緒に部活に行っていたのを見たことがある。しかし、名前はわからない。

「あ、ごめんなさい。私、蒔田です」

「蒔田さん? どうしたの?」

「葵のことなんですけど……」

「さっきも、僕のことを嫌ってそうな女子に話したけど、僕は本当になにもしらないよ。むしろ知りたいくらいさ。さんざん人のこと振りまわして急にいなくなるなんて、無責任にもほどがある」

「はい、わかってます。そうじゃなくて……」

「わかってる? まぁ、それなら助かるよ。それじゃあなにか用?」

「葵が夏木君の事特別視してるのしってたから夏木君には伝えておこうとおもって」

「なにか知ってるの?」

「はい、実は私、葵が学校に来なくなったことに心当たりがあって……」

え?と驚き、「心当たりってなに?」と自然と感情が出てくる。

「葵の腕や肩に痣があるの知ってますか?」

「痣? 知らないけど、部活で怪我したの?」

「違います。多分葵は親から暴力を受けてると思うんです」

僕は心臓をわし掴みにされたように苦しくなった。

「なんで…… 暴力? 僕とあったときはいつもなにも考えてないような笑顔で……」

「夏木君といるときの葵は本当に楽しそうで、私も見てて嬉しかったんです。だから、大丈夫だと思っていたんですけど…… 」

彼女のご両親は昔から知っている。僕が知っている人だとすれば、虐待なんてするわけない。

「まさか、暴力なんてないよ。だってあそこの両親のことは小学校のころから……」

「私にはわからないですけど…… でも、表で見せてる顔が全てじゃない気もするんです。今回だって、夏木君は葵の異変や様子に気づいてましたか? 私は全然きづけなかったから……」

「あ………」

心当たりがあった。

しかし、宮森さんの異変を僕はたいして気に留めなかった。時間がたてば、また、いつもの日常に戻ると思っていた。

あれだけ一緒にいて、宮森さんのことを全然わかっていなかったかもしれない。

思い出したように「制服……」と口にでる。

「え?」

「宮森さん、いつも制服だよね……」

「そ、そうですね…… 確かに」

あの時、と最後にあったときの記憶を辿る。

制服を着ていたのは、腕の痣を隠すためだろうか、もしかすると、家に帰れていないのかもしれない。そう思うと息苦しいほど辛くなった。

呼吸の荒くなった僕に蒔田さんは「大丈夫ですか?」と恐がりながらも声をかける。

「大丈夫…… 蒔田さん、だっけ? 色々教えてくれてありがとう。僕はもう帰るね」

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