水の都レイン
「...ん...朝か。」
異世界と認識してから初めての朝。日本にいた頃とは違い目覚めがいい。これも勇者の力か?
とりあえず店主に挨拶をして武器屋に向かうか。
「おはようございます、お客様どこかお急ぎですか?。」
「ああ、これから西にある国水の都レインに向かう。」
「レインならここから歩いて5時間で着くかと。」
歩いて5時間か、大分近いな。
「助かる、じゃ〜なまた来る。」
「お気をつけて。」
宿屋から出て武器屋に向かって歩いていると、30代後半くらいの男たちに絡まれてる女の子を見つけた。歳は20歳ぐらいの黒髪の黒いコートを羽織った女の子だ。内側は...見間違えでなければ上は下着しか着ていない、下はスカートにニーハイだ。そりゃ絡まれるわけだな。
「だからいいって言ってるじゃないですか!!」
「いいじゃんか姉ちゃんよ〜ちょっとくらい俺たちに付き合ってくれても〜。」
「け結構です!!」
あいつら、こんな朝っぱらから何してんだ。暇人なんだろうな。とりあえず助けてやろう。
「おい!何してんだ?こんな朝っぱらから。」
「あぁ?ガキがしゃしゃり出てくんじゃねぇよ。部外者が。」
いつもこんなことしてんのか?こいつら。
「そいつは俺のツレだ。変なことしたらお前らのこと殺すぞ?」
「こーろしーてみーてくーださーい!」
「「「はっはっはっはっは!!」」」
何笑ってやがる。俺は昨日のレベル上げで手に入れた『猟銃』を構える。
「えっ?」
「悪いがこの銃は消音器付きなんでな今ここで撃ってもすぐには気づいてもらえないぜ?」
俺は地面に向けて猟銃を撃つ。
「おっおい!逃げるぞ!」
自分より強いことを確信したら逃げんのかよ。だったら俺みたいな奴が来ることも想定して最初からこんなことするな!それよりこの子かわいいなぁ。
「あっあの、ありがとうございました!」
「いいか、次からああゆう奴が来たら人通りの多いところまで全力で走れ。そうすれば誰かが助けてくれる。」
「わっわかりました。あのあなたのお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「ああ、俺の名前は神楽坂京だ。」
彼女は眼を大きく見開いて、深くお辞儀をした。
「ありがとうございました!」
「おう、気をつけろよ。」
女の子を後にし武器屋に向かう。
「おう、あんた!」
「出来てるか?」
すると親父がカウンターの裏に入って行く。その感じだと出来てるっぽいな。
「ほいよ、どうやらこれが兄ちゃんの初めての防具っぽいな。」
この親父見抜いてやがる。それにしてもこの防具出来はすごくいいぞ!どんだけの技量を持ってんだこの親父。
「ああ、ありがとう。」
「構わねぇぜ!」
と防具を受け取り武器屋を後にした。
「さて西に向かうんだったな。」
宿屋の親父の話ではここから歩きで5時間と言っていた。早速西の方に向かって町を出よう。
町から抜け3時間が経ったあたりで腹が減ったので道中にいるナーワルディアーを焼いて食べた。
これが案外うまかった、普通の鹿と違って脂が乗っている。
そこからも大分歩いたところでやっと都らしきものが見えて来た。
大分前から気になっていたんだが、後ろから隠れながらつけられている気がする。
邪境に入ればついてこれないか?なんてふざけたことを思いつつも都の門の手前まで来る。
大分繁盛しているみたいだぞ。国土の半分が邪境に侵食されているとはとても思えない。
この5時間で大分レベルが上がった。なにせ道に出て来る魔物を全部猟銃で撃ち殺してたからな。
神楽坂京
Lv38
銃火器の勇者
体力321 魔力120
素早さ248 防御123
攻撃582 器用さ489
やっぱ銃火器だけあって防御力が低いな。まあ、攻撃をくらわなきゃいいんだ。
そんなことを考えながら町へ入る。
さっすが水の都、水路に綺麗な水が流れている。とりあえずこの国の王に会おう。
城は...あれか?でかくてすぐ見つかるな。城までいろんなところを見ながら歩く。
レイナでは帽子などに羽や鳥を表すアクセサリーをつけていたがこっちではそもそも帽子をかぶっている人がいない。その代わり服に水の雫みたいなピンバッジをつけている。お、城の門が見えて来た。鉄の甲冑をつけた見張りがいる。
「ここは水の都レインの城。関係者以外立ち入り禁止だ!」
「悪いが通してくれ。俺は銃火器の勇者だ。」
「何!?無礼をお許しください!どうぞこちらへ。」
城の中はレイナと似ているな。カーペットが敷かれていて壁に歴代の王の肖像画が並んでいる。
と、レイナの城の謁見の間の扉をそのまま青にしたような扉の前に着く。
「お入りください。」
扉がゆっくりと開き中に入る。