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84.アスモナディアの暗躍(後編)

 アスモナディアの来訪で、ドバンガ孔は騒然となった。


 なにせこの数年、煙のように表舞台から姿を消していたデーモンが、いきなり訪問してきたからだ。

 それも、デーモンの重鎮シーケンスの娘の一人、『黒雷』のアスモナディア。

 大物だ。

 ドワーフでその名を知らぬ者はいないだろう。

 なにせ、かつての名工ガバラバンガの名声を地に落とした人物だ。


 その魔法は盾を貫き、鎧に穴を空ける。

 ドワーフ自慢の武具を、その着用者ごと、あっさりと亡き者にするのだ。

 バッシュが入国した時と比較にならないほど、警戒された。


「それで、かの有名なデーモンの武人が、このドバンガ孔に、いかなご用件かな?」


 アスモナディアと他二名はドワーフの会議所へと連れていかれ、そこで説明を要求された。

 アスモナディアはそれに逆らうことなく、堂々と言い放った。


「なに、『オーク英雄』の弟子が武者修行をしたいというのでな。ここには闘技場もあるらしく、貴様らドワーフは精強だ。丁度いいと思って連れてきたのだ」


 『オーク英雄』の弟子。

 そう言われ、視線が向くのはオーガの少年ルドである。

 こんなガキの相手を、とドワーフなら思う所であるが、『オーク英雄』の弟子となれば話は別だ。そのような人物の武者修行の相手として選ばれたことを、誇りにすら思う。

 だが、それもバッシュがこの場にいればの話だ。


「バッシュ殿の弟子がここで修行したいというのなら、それは理解できる。だが、デーモンである貴様がなぜここにいる?」

「その説明が必要か? 必要だろうな。私は『オーク英雄』の妻となった。ゆえにオークの国で暮らそうと思ってな。妻が夫の国で暮らすのは、何の不思議もないだろう?」

「……?」


 デーモンがオークの妻になる。

 わけのわからない戯言が飛び出て、ドワーフ達の警戒度が高まった。

 デーモンは時に難しい言葉で相手を惑わせる。


「むぅ……」


 バラバラドバンガの留守中、ドバンガ孔を預かるドバンガの子の一人アラアラドバンガは、まさにその真意をつかみかねていた。

 デーモンが『オーク英雄』の妻になった。

 迂遠な表現であるとすれば、アラアラにはちょっと難しすぎた。


「どういう意味だ?」

「言葉通りの意味だ」

「デーモンが……? にわかには信じられんが……」


 迂遠でないとするなら、嘘の類であろう。

 そんな嘘を信じる者など、ドワーフには皆無であった。

 ……と、言いたい所だが、ほんの一年ほど前、ドバンガ孔に訪れたバッシュという存在は、ドワーフたちの記憶にまざまざと残っている。

 武神具祭にて華々しく戦い、バラバラドバンガを下し、決勝で本物のオークの決闘を見せた。

 オークは闘技場の見世物などに使うべきではないと、周囲に知らしめてみせた。


 その記憶は鮮烈で、未だに酒場で語り草になるほどである。

 ふらりと立ち寄ったはぐれオークが、その話を聞いた途端、改心して国に戻るほどである。

 女を見て舌なめずりをしつつ、下卑た表情で卑猥な言葉を投げかけていたオークが、バッシュの名前と、その武勇伝を話しただけで、神妙な顔になって踵を返すのだ。

 いかにドワーフが鈍感な種族と言えども、『オーク英雄』バッシュの存在がいかに大きいかはわかろうものだ。


『バッシュがデーモンの国まで赴き、デーモンの娘を嫁にもらった』


 そんなおとぎ話をさもありなんと受け取られるほどに、バッシュという存在は強烈だったのだ。


「私とて相手が『オーク英雄』でなければ、オークの妻になどならん。お前たちとてわかっていよう? 真の英雄の前には、種族など関係ないのだ」

「確かに、あれほどの戦士であればな……。風の噂では、エルフの大魔導サンダーソニアにも認められ、仇敵とされていたビーストの姫君の結婚式にも参加したという、デーモンの妻ができてもおかしくないか」

「ははは、聞いた話では、あのサンダーソニアは『オーク英雄』の求婚を断ったと聞いたぞ! プライドの高いエルフらしい馬鹿な女だな! が、それでも認めてはいたか! 当然だな。三年間デーモンをさんざん苦しめたドラゴンを撃退したのだ。高慢で乱暴なエルフとて、その価値ぐらいはわかろうものだ!」

「ドラゴンを……!」


 ドラゴンという言葉で、ドワーフたちの顔に興味の色が湧いた。

 しかしアスモナディアが詳しく語ることはない。

 そこは有料なのだ。


 というわけでもなく、アスモナディアもよく知らないからだ。

 どうやってドラゴンを倒したかなど、知るはずもない。

 アスモナディア自身が知りたいぐらいだ。今のアスモナディアなら、バッシュの腕に抱かれて、その話を恍惚とした表情で聞くことだろう。


「そんなわけだ。私はデーモンだが、オークの一員だと思ってもらおう。さしあたって、身内がオークの中で舐められないように修行をしたいのだ。ついでに、いくつか武器なども見繕いたいな」

「デーモンが国外で武器を持つことは禁じられていたはずでは?」

「条文をよく読め。国外に出る時に武装を禁じるというだけで、国外で武装を調達することを禁じてはいない。慣れた獲物が無くなるのは痛手だが……ドワーフ製の武器にも興味はあった。お前たちは本当にいい武器を作るからな」

「ほ、ほーん」


 武器を褒められれば、なんとなく誇らしくなってしまうのがドワーフという種族だ。

 まして相手は滅多に他種族を褒めないデーモンである。

 アスモナディアが武器を手にしたいがゆえに、多少のお世辞を言っている部分はある。

 しかし、それほどドワーフの武器というものは質が高いのだ。十一種族全ての武器を見比べれば、デーモンかドワーフのどちらかが最高だと意見が分かれるほどに。

 魔法武器に関してはデーモンに軍配が上がるが、武器そのものの質の高さはドワーフの方が上、といったところか。


「どうだ? 私にも一本、打ってはくれないものか?」


 そんなライバルであるデーモンに武器を所望される。

 ドワーフとしては、表面上は難しい顔をしつつも内心ではニヤけ、「ま、しょうがないなぁ」と言いたくなるようなシチュエーションである。

 だが、いくらドワーフが鈍感とはいっても、馬鹿ではない。

 目の前の狡猾なデーモンが、国外で武器を手にするのがいかに危険か、わからないわけでもない。

 そもそも、援助すること自体に危険性がある。

 何か問題が起きて責任問題となれば、その責任はドワーフ全体に及び、場合によってはヒューマンやエルフに糾弾される可能性も出てこよう。


「ドワーフ製の武器を持つ許可は出そう。だが、デーモンに武器を打ちたいを言う奴が、はたしておるかどうか……」


 その場にいたドワーフの重鎮は、厳かにそう答える。

 ドワーフは実直で剛毅と見せかけて、実際は保守的なのか?

 否。確かに保守的な部分はあるが、同時に、強者の武器を打ちたいという欲も持ち合わせている。

 なにせ、打つ相手はあのアスモナディアだ。

 ドワーフの防具を引き裂いてきたこの女がドワーフの武器を持つ。一体どうなっちまうんだ、最強の戦士が誕生しちゃうんじゃないか、と期待で胸がドキドキワクワク。

 ドワーフたちは顔を見合わせる。


 いや、儂も別にやりたくないんじゃが? 貴様らがやらんというなら、まぁ儂がやってもいいかな。

 この女は見るからにガンコそうだし、ここで誰かが打たんと帰らんじゃろ?


 なんて感じで顔色を窺い、牽制しあっていると、その中の一人が立ち上がった。


「あんたらに打つ気が無いなら、アタシが打つよ!」


 立ち上がったのは、末席に座っていた一人の若い女だった。

 ドワーフにしては、少々顔立ちが違う。

 ヒューマンとのハーフ。


「お前は?」

「あたしはプリメラ、いずれバッシュの武器を打つ女だ。バッシュには世話になったからね。その身内って言うんなら、あたしがやるさ!」

「ほう? 大きな口を叩くな。あの『オーク英雄』の武器を打つとは、身の程知らずだとは思わないのか?」

「思うさ。けど約束もしたんだ。今の剣が折れたら、武器を打ってほしいってね」


 少しだけ恥ずかしげ、しかし自信満々にそう言い放ったプリメラに、アスモナディアはニタリと笑った。


「ククッ、そういうことか……なるほどな。『オーク英雄』め、なかなかにメンクイじゃないか」


 そう言うと、プリメラの頬に朱が指した。


「なんだよ。文句あるのかよ?」

「ないさ。ならばお前に頼もう」


 プリメラはそして誤魔化すように、周囲を見渡す。


「兄さんやじいさんたちは反対みたいだけど、あたしぐらい未熟な奴が打つなら、文句も無いだろ?」


 プリメラのその言葉に、他のドワーフたちは「実は自分が打ちたかった」などと言い出せるはずもない。

 まぁ、デーモンには未熟モンの打つ武器がお似合いじゃし? と小さくなっていく。


「では、お前に頼もう。このアスモナディアの武器を打てることを光栄に思うがいい」

「デーモンらしい返答をどうも」


 こうして、アスモナディアとプリメラは出会った。



 数刻後、アスモナディア達は、プリメラの工房へと足を踏み入れていた。


「ふむ、小さいが、なかなかいい工房ではないか」

「デーモンに工房の何がわかるんだよ」

「わかるさ。こう見えて、私も鍛冶が出来る」

「高貴な生まれのデーモンのお嬢様が?」

「ああ、ハイデーモンのお嬢様はあらゆることができなければいけない。鍛冶もその一つだ。自分の武具は自分で修理できねば、継戦能力が保てんからな」


 じゃあ自分で打てばいいんじゃないか。

 そう言おうとしたが、プリメラは口をつぐんだ。

 プリメラとて鍛冶師のはしくれだ。炉や道具、材料がなければ何も作れないことぐらい知っている。

 それに、もしそう口にして、勝手に工房を使われるのもはばかられた。


 さらに言えば、プリメラは修行中の身だ。

 デーモン鍛冶。

 金属を叩き、素材から魔法的な要素を取り出すドワーフのそれとは一風変わった様式の鍛冶。

 武具に魔紋を刻み、魔法を込めるそれは、ドワーフの作った武具よりも、極めて強力な魔力を持つ。

 ドワーフは素材の持つ魔力を生かすが、デーモンは後付けで魔力を付与するのだ。

 ドワーフに言わせれば邪道であるが……その武器が長いこと四種族同盟を苦しめてきた代物であるのは事実だ。


 プリメラもこの一年、自分なりに研鑽してきたつもりだ。

 かつての武神具祭の頃より、ずっといい武具を打てるようになった。

 だが、バッシュの武具となれば、やはり力不足であろう。

 このままドワーフの技術を磨いていくのは当然として、何か一つ、工夫も必要だと考えていた。


「ククク」


 そして、悪魔はそれを敏感に感じ取る。


「そんなもの欲しそうな目で見るな。この私の武器を打つのだ。教えてやるさ。デーモンの鍛冶技術をな」

「べ、別に物欲しそうにしてなんか……ていうか、いいのかよ。そんなのホイホイ教えてさ。デーモンの鍛冶は、デーモンの秘儀だろ?」

「そうとも。門外不出だ。お前たちでは到底思いつかないような技術を使っている。が、いいさ。お前にだけは教えてやる」

「……なんで?」

「『オーク英雄』が武神具祭で優勝した。何でも欲しいものが手に入る祭りで、オークが戦いの末に優勝した。何を望むのかなど自明の理だ。そして、望まれたらしき者は、嫌がりもせず、ドワーフの慣習に従い、健気にも相手の武器を作ろうとしている……周囲に隠しているようだが、すでにお前は『オーク英雄』に手を付けられている。すなわち嫁として囲われた女というわけだ」


 同輩だ。

 ニタリと厭らしく笑うアスモナディア。彼女がドバンガ抗に訪れたのは、ルドの修行や己の武器を手に入れるためだけではない。バッシュの嫁を探しにきたのだ。

 武神具祭の優勝賞品として手に入れた女。

 すなわち、ドワーフの妻を。



「……いや、バッシュは優勝してないぞ」



「なに?」


 しかし、その言葉で笑みが消えた。


「決勝で敗れている。だからあたしとは……その……確かに、優勝したらって約束だったけど」

「馬鹿な……あの『オーク英雄』が敗れる? どういうことだ?」


 マジかよ。ドラゴンを単騎で倒せるような奴が他にいるのか。

 そんな気持ちで聞き返すが、帰ってきたのは呆れた顔だった。


「噂を聞いてないのかい? ったく、デーモンでも抜けてる所はあるんだな」


 プリメラはそうため息をつきながら、武神具祭で起きた事の顛末を語った。

 バッシュが未熟なプリメラをパートナーに選んだこと。

 プリメラの武具は欠陥品だったが、バッシュのあまりの強さゆえ、順当に勝ち進んでしまったこと。

 しかし決勝では武具が破壊され、敗北したこと。

 敗北したとはいえ、目的は達成したこと。

 バッシュは奴隷のオーク達を解放し、今やドバンガ孔でオークを見下す者は誰一人としていないということ……。


 その話は、アスモナディアだけでなく、ルドとルカも感心して聞いていた。

 なにせゼルから聞いた話は、最後らへんがなんともふわっとしていたから、てっきり最後も勝ったと思っていたのだ。

 いや、ふわっとはしていたが、確かにゼルは勝ったと言っていた気がする。


「ふむ、他のオークなら偶然だろうと切って捨てる所だが……『オーク英雄』の所業と考えれば、偶然とは思えんな」


 最後まで聞いたアスモナディアは、したり顔でそう言った。

 もちろん偶然である。


「あたりまえさ、あたしはそこに惚れ込んだんだ。ま、玉砕したけどな」

「玉砕?」

「ああ、プロポーズしたけど、あっさり断られちまった」

「ふん、どうせドワーフの回りくどい作法に従ったプロポーズだったんだろう?」

「そんなことはない。ちゃんと一生武器を打たせて欲しいって言ったさ。ストレートにな」

「馬鹿者。それが回りくどいと言うのだ。相手はオークなのだ。はしたなく股を開き、お前の女になるから今すぐ抱いてくれ、と宣言するぐらいしろ」

「は、はぁぁぁ!? そんな、股って……あ、あんたらはそうしたのかよ!」


 動揺を隠せずに質問を返すプリメラに、「あ」と声を上げたのは、ずっと黙っていたルカであった。


「あ、あの、私は、そこまではしてませんけど、ちゃんと結婚したいって言いました」


 ルカがそう言うと、プリメラは目を向いて幼い少女を凝視し、こんな少女でもちゃんと勇気をもって言えたのかと、肩を落とした。


 アスモナディアは「どうだ、勇気がないのはお前だけだ」と言わんばかりの顔で見下ろしてくる。

 プリメラはそれを見て若干のむかつきを憶えたが「この高慢なデーモン女も、そんな素直にプロポーズしたのか」と考えれば、流石はバッシュだなと溜飲が下がった。


 実際はしていないのであるが。


「そう肩を落とすな。お前にもまだチャンスはある。どうだ。お前も『オーク英雄』の妻にならんか?」


 アスモナディアはそう言いつつ、肩を落としたプリメラに手を差し伸べる。

 本来なら、バッシュ抜きでしていい話ではない。

 だがこの場にバッシュがいれば、「なんて頼りになる女なんだ」と感動しただろう。


「あたしが……?」

「ハーフと言えど、お前もドバンガの子だ。ドワーフの代表として、後のオークキングの妻になれ」


 プリメラは迷った顔をしたが、すぐに頭を振った。


「いや、あたしは約束したんだ。あいつが満足できる剣を打てるようになるって、頑張るって!」


 プリメラは拳を握り、アスモナディアをにらみつける。


「だから、それまでは、そんな甘言に乗るつもりはないね!」


 プリメラににらまれ、アスモナディアはやれやれと手を上げた。

 しかし、内心では、「それでこそ」とも思っていた。

 そういう女こそ、バッシュの妻に相応しい。


「なるほど。少し認識違いをしていたが……お前に鍛冶の秘儀を教える理由として申し分ない」

「えっ、いいのか?」

「『オーク英雄』は理知的であるがゆえ、お前に手を出さなかったようだが、本心ではもったいなかったと思っているはずだ。なにせお前は、ドワーフにしては美しいからな。夫の望みを叶えてやるのも、良き妻だ。『オーク英雄』が満足できる剣など、並大抵ではないだろうが、助力はしてやる」


 アスモナディアは笑いながらそう言った。

 何も言わずとも、バッシュがいいなと思った女に声を掛け、妻に勧誘していく。

 バッシュにとって、最高の妻と言えるだろう。

 問題があるとするなら、バッシュがアスモナディアの顔はおろか、存在すら知らないことか。


「さぁ、謹聴するがいい。我が奥義、我が秘奥。デーモンの業を!」


 こうして、プリメラはアスモナディアよりデーモンの鍛冶を学ぶ。

 ドワーフ鍛冶だけでも未熟な女が、デーモンの鍛冶まで取り入れて、はたしてまともに育つのか。

 それを知る者は、この場にはいない。

 だが、プリメラをよく知る者は、こう思っただろう。

 決して無駄な経験にはならない、と。


「『オーク英雄』の武器が打てると確信したら、いつでもオークの国に来るがいい。その時には、『オーク英雄』は『オークキング』となっているだろうが、なに、臆することはない」

「……まぁ、心にとめておくよ」

「ククク、ハハハ、ハハハハハハ!」


 デーモンの高笑いが響き渡る。

 完全な勝利を手にした者の改心の笑声。

 なんでいきなり笑いだしたのか、プリメラにはわからなくてちょっと怖いなと思いつつ、しかしデーモンという種族は時にこうしていきなり笑いだすので、そういうものかとスルーする。


「……」


 きっと一か月も後には、プリメラは一本の斧槍を作り上げるだろう。

 それは決して業物というわけではなかろうが、ドワーフとデーモンの技術を融合させた、まったく新しい代物であろう。

 そして、そんな武器を手に入れたアスモナディアを止められるものはいまい。

 彼女はオークの国に赴き、その場にいるオークたちに思い知らせるだろう。彼女こそがバッシュの筆頭妻であると。

 そして、オークの国に、己の帝国を築き上げるのだろう。

 アスモナディアの快進撃は続くのだ。

 そう考え、プリメラは嘯く。


「オークの連中も今は大変だって聞いたけど、あんたが行けば大丈夫そうだな」

「大変? まぁそうだろうな。オークは本来、馬鹿な種族だ。おおかたヒューマンに圧制を受けて困窮しているという所か、しかし私が行けばその程度の交渉は――」

「いや、そういうんじゃなくて、最近あのあたりに――」


 後にプリメラとルド、ルカの三人は語る。

 オーク国の話を聞いた瞬間、アスモナディアの青肌が、雪のように真っ白になっていった、と。


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― 新着の感想 ―
あっ(さっした) 最近、とある女性が妻になると宣言してどこかへ行ってたね。 ちゃんと集まってるんですなー。
『巣』があるんだろうなぁ
デーモン女は痛い だがそれがいい!
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