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熟れすぎた甘橙

作者: える。




ありがとう。すごく嬉しい。




私を楽しませる天才ね。




こうして、笑顔を魅せれば、男の人はみんな喜ぶ。





エステやメイク、ネイルやテーブルマナーなど自分磨きも怠らない。





そうすると、可愛い、綺麗と思ったり、私を喜ばせるのが楽しくなったり、嬉しくなったり、一緒にいて楽しいと思われる。





そして、日に日に私を好きになる。





全部全部、計画のうち。




みんなもっともっと私を好きになって。








高校の時に、クラスに好きだった男の子がいた。





彼は、地味で目立たなかった私とは違い、バスケ部のキャプテンで、他クラスの女の子からも人気があった。





当時の私は、同じクラスということだけで舞い上がるほど恋愛経験も少なかった。





ごめん。教科書見せてもらってもいい?




ここのとこノート書いてる?





そんな些細な会話でも真っ赤になって話してた。






そして、話せば話すほど彼への恋心が膨らんでいった。







私はついに彼に人生で初めての告白をした。







ごめん。そういう風にはみれないし、そういうつもりは全く無かった。








振られた。







私は失恋したショックから食欲は落ち、何に対してもやる気が無くなった。







教室でも椅子から立ち上がることさえしたくなく、机に頭を伏せていた。












自分にだけ優しくされてるって勘違いしちゃったのかな




お前なんかが選ばれるわけないだろ




ブスのくせに







小さな声だけど確かに聞こえた。






誰にも話していないのに、学校中からそう聞こえた。







なぜこんなに広まっていたのかわからなかった。








ある日、移動教室の忘れ物を取りに教室に戻ると








あいつに教科書見せてとか言わない方がいいよ。好きになられるから。








彼の声が聞こえた。








全てが繋がった。








私の中の、なにかが切れたと同時に、いじめや失恋で、辛かった気持ちや、まだ少しだけあった彼への恋心も跡形もなく消えていく。










その日を境に私は人を好きになることをやめた。













そして卒業して何年か経った今も



私は彼へ見せつけるかのように、思わせぶっては振っている。







あの頃の自分を塗りつぶすように。







もう私に、あの時の甘酸っぱさは残っていない。





熟れすぎたオレンジ

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