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月を齧る

作者: 黒宮杳騏

「新月の夜食」


満月の腹から逃げてゆく

林檎のうさぎ達


満月の体は細くなる

飛び出すうさぎ達


一匹残らず居なくなって

満月も消えた


新月の闇に跳ねている

林檎のうさぎ達


新月の夜に跳ねるのは

満月の子供達


一匹残らず胃の中へ

満月の味がした






「満月小路」


くるくる

細い螺旋の小路

ゆっくりと降りてくる

途切れずに続く


くるくる

赤い林檎の皮は

ゆっくりと剥かれていく

途切れずに続く


新月の夜

床から空へ伸びる小路は

真っ赤に熟れた林檎の皮


新月の夜

空へと向かう小路を辿って

剥かれた白い林檎を投げれば


満月が出来上がる

満月の夜になる


皮を剥かずに林檎を投げれば

赤い満月が笑い出して


新月よりも怖い夜






「喪失」


林檎の種はなぜ黒く

涙の形をしているの


それは淋しい三日月が

林檎の中に忍び込んで

ひっそりと泣いていたから






「寝顔」


私は開け放した窓辺の椅子に腰掛け、

なんだか淋しそうなあなたを思い、

林檎をひとつ買ってきて、

空の皿へと切り分けました。

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