共同体は始まりとともに(9)
「!」
出流は森を抜け街道のような場所に出る。
そして、眼前に広がるものに意識を持っていかれた
それは、おびただしい血とそれ撒き散らしたであろう人の亡骸
馬車のようなものや、荷台などが倒れ荷物も散乱している。
「さっきの音はこれか?」
出流は先程から聞こえてきていた破砕音のようなものの正体を考え
周りを見る。
「街道の両方から煙か?...」
この、散乱している馬車や荷台の一列に連なっているようで
その両先で火の手が上がっているようだった。
先程の、音はこの2つが発生源のようだ
(なにがおこってるだ?...!)
出流は、現状何が起こっているのかを頭のなかで
巡らせていった、火のて、荷台、死体などと
目に見えたものから、この場につくまでの事を
考えを、一瞬のうちに巡らせているときに
目の端に転がって来た金貨や宝石。
物がこらがってきた馬車の影の方を向くと・・!
ダッ!
出流がめにしたのは、少女と男
男は、少女の頭上に剣を振りかぶっていた
どんな状況なのかは一切わからなかったが
少女の顔だけはみえた
その顔からは、後悔や悔しや、無念が感じられた
ただそれだけのことだった。
もしかしたら、男にも何かしらの事情があったのかもしれないし
実際、男の後ろ姿だけで情報は何もない
なので、間違いだったかもしれない
声をかける、だけで良かったっかもしれない。
だが、出流には一切のためらいなく
眼前の男に向けて走り出し
進行方向に転がっていた死体に刺さっている槍を引き抜き
男にむかって、その槍を投擲した。
槍には、体重を載せてあり更に回転を加えてあった。
出流のいた場所と、少女と男のいる場所にはそれなりに距離があり
走っても、剣が少女に振り下ろされるほうが早い
故に槍を投げた、声をかける選択や石を投げる選択などではなく
見知らぬ後ろ姿しか知らず、状況もわからない状態で
【出流はためらいなく男を殺す選択肢を選んだ】
理由は簡単だった、
少女の顔を見たときに読み取った「後悔や無念」の感情
ただそれだけだった。
槍は、一直線に飛んでいく、
一切の乱れなく綺麗に
しかし、こちらもとゆうべきか
通常では、やはり考えられないぐらいの力が乗っていた
槍は、空気を切り裂きながら、男の背中をぶち抜き
直撃の衝撃とともに吹き飛ぶ
バッン!?
男の体は吹き飛び槍とともに馬車にぶち当たる
「力加減が難しいな・・」
「・・・・・」
少女は驚き、思考がとまってしまっていた
出流は、少女の前に行き話しかける
「・・・・大丈夫だったか?」
手を差し伸べる
「・・・っは」
少女は、思考を取り戻し
出流の顔を見た。
どうやらまだ、若干放心状態のようではあったが
その顔には、薄らと安堵な感情が見えた
「余計なことしたか?」
「いえ!、危ないところをありがとうございました!!」
少女は、あわてて出流に礼を述べる
「そ、ならよかった」
「あ!さっきの人!!」
少女は自分を襲った男を気にかけ
男が飛んでいった方を見る
男は、槍と一緒に馬車にめり込んでいた
先程の、槍の威力が凄まじかったようで男はいっさ動く気配はなく
声一つ挙げずに飛んでいった。
「まあ、死んでるだろうよ・・・・即死だっただろう・・」
「あ・・」
少女は、ほんの少し悲しそうな顔を見せたがすぐに出流の方を振り返り
「いえ、貴方さまが悪いんじゃないです!!」
「こんな、時代ですものしょうがないことですし・・」
どうやらこの少女は、
自分を殺そうとした男に対しても何かしらの良心を持ってるようだ
出流は、そんな少女の言葉とともに先程殺した
男を見てその後、自分の手を見た・・・・・
「・・そうか、こうゆう感覚なんだな・・・・」
何を思ったのか、小さくつぶやく
「何か言いましたか?」
「いや、何も」
少女の問を躱すと、
出流は状況を聞こうと少女の方を向き話す
「一ついいか、ここってどこらへんなんだ?」
「あと、今何が起こっているのかも教えてもらえると助かるんだが」
「なにがって・・・!」
「すいません!?、このお礼は後でします!今、すっごく急いでいたところで!」
「どうした!」
少女は、急に慌てだしに
走り出す。
「後方の荷台に大事な積み荷があるんです!!、なのですいません」
「ちょ!じゃあ一つ君の名前は!」
「私はルミナです!」
少女は、そうゆうと後方に走り去ってしまった
(ふん・・どうしたものかね~?)
出流は、少女の走り去った方を見ながら思考をめぐらした
(まあ、名前だけでも聞けたしあとからよしとするか・・・)
「・・だが、無事であってくれないと困るんだよな・・・」
「おい!、出流!!先行くなよ!」
そんなことを、考えていると自分が来た森の方から声をかけられる
「ああ、直久か」
「直久かって、お前においてかれたから急いで来たってのによ」
「悪い悪い・・水凛は?」
「一緒だよ」
森から、現れたのは直久と水凛の二人
「!」
直久の方は周りに、転がってる死体にどうとゆう反応はないが
やはり、水凛には厳しいようで
「う!、おぇ!?」
えづいてしまっていた
「お前、大丈夫か?・・ちょっと休んだほうがいいじゃないか?」
「・・だいじょう・ぶ」
大丈夫そうには見えないが、本人が言うのだからいいだろう
「出流、何だこれ?今時、馬車に荷台って・・・しかも襲われてるみたいだけど」
「やっぱり、そう見えるか?」
「まあな」
出流は、ここで今起こっていたことを二人に説明する
初めての、人を殺したことも含め
言わなくても、いい事だったのかもしれないが
この二人には、少なくとも今は隠し事はしないほうが
互いのためだと思っていた。
「出流くん、・・・人を殺したの・・・」
水凛は、あまりにことに動揺を隠せず顔を歪ませていた
「ああ、まあな」
「まあなって、そんあの!・・・・」
水凛も理解はしてくれていたが、納得などはとうてい
できないようである
対して直久は
「気に病む必要は、無いだろ・・その女の子は無事だったんだろ?
ならそのことだけでいいだろ」
納得と理解とゆうわけでは無いのかもしれないが
うけいれた
「ま、声かけて逆に人質にされたりして二次被害あるいは
何か投げても止まるとも思えないしな~」
「でも・・人を一人殺し・・・!うっ」
水凛は、限界に来たのかついに吐いてしまった
ここまで、何も口にしていないため出てくるのは
胃液ぐらいではあるが、精神的にきついであろう
彼女の、プライドや思考からして、人前で弱味を
見せたことも相まって。
「水凛ちゃん!、大丈夫!・・何か水でもあれば」
「ちょっいまって・・・・・・・・あったあった!」
出流はちかくで、散乱している馬車や荷台の中に
水の入っているものがないかと、探る
そんな中から、革の袋に入った水を見つける
多分、水筒のようなものだろう
「ありがとう・・」
(なによ、ずっと弱みを見せてばかり・・・・最悪・・)
水凛は、水筒を受け取るとその水で
口をすすいだ
「・・・・・」
(やっぱり、・・この二人・・)
「さてとで、出流どうすんだよ?」
直久は、出流にこのあとどうするのかとたずねる
「あの娘、ルミナをおいかけるは・・・水凛も悪いけどついてきてくれ」
「流石に、一人でここにおいとけないからな」
「ええ、大丈夫・・」
「俺が、水凛ちゃんと残ってもいいけど・・・何かあったら三人一緒のほうが
なにかといいしな」
直久が水凛と一緒に残るてもあるがこの先のことを考えると
やはり、全員一緒のがいい
(こいつのそばにいるのが、一番おもしろい・・・)
「そんじゃ、急ごうぜその娘に何かあったらまずいしな!」
直久の心中は、短い付き合いだが出流のそばにいることが
もっともこの現状の打破につながり
なおかつ、面白いと思っていた
その件の少女のことも心配もしていた
「じゃ、ルミナの向かった後方に行こう」
三人は、各々の思うことがあったが
まずは、その少女のもとえむかた・・・・・・・・