こんなことも、あったよね
特にここに行きたいという理由があるわけでもなく、受かったから来た、というようなどこか冷めた気持ちで高校に入学した私。
だからなのかは分からないけど、一年生のとき、私はクラスに上手く馴染めずにいた。
でも、別に不満はなかった。一人は嫌いじゃなかったし、わざわざ自分から誰かに話しかけてまで、一人の時間を相手との距離を探り合いながら会話する時間に変換する必要性も感じなかった。
一方、その頃から桃野はクラス委員になって、たちまちクラスの中心人物になっていった。クラス委員に真っ先に立候補した一件が無くても、私のクラスの人が最初に覚えたクラスメイトの名前は大半が桃野桔梗だろう。
クラスにおける桃野の影響力がどのくらいかって、「桃野の友達だから」って理由で友達の輪が広がるほど。私は、その輪の中にはいなかったけど。
だからある日体育の授業で、二人組を組んでストレッチするように言われたときは、ちょっと焦った。声をかけられるような友達は、私にはいないから。
でもよく考えてみれば、ちょっとの間ストレッチして離れるだけだ。一時の恥というにも小さすぎるもののために一喜一憂するのも馬鹿馬鹿しくなって、私と組まされる可哀相な余り物は誰かな、って一歩引いてクラスメイトを眺めてた。
そんな私の目に映ったのは、クラスメイトの中心でおろおろしてる桃野だった。
そこで、私は気付いた。いつだって輪の中心にいる桃野は、だからこそ、輪の中にはいないんだ。
みんなの中心になってた桃野は、誰か一人を選べないで、仲がいい子が二人組を組んでいくのを、その中心で見てたんだ。
私のクラスは偶数だった。ということは、必然的に――
「よろしくね! 白爪さん!」
「……よろしく」
余り物同士なんだからもう少し気まずそうにしろ、とちょっと思ったけど、私と桃野では事情が違うんだ。
誰からも関心を持たれなかったから選ばれなかった一人ぼっちと、誰からも関心を持たれすぎたから選ぶことができなかった一人ぼっち。
私と桃野は、その存在からして根本的に違う。違いすぎるからこそ、歪んで一緒になったんだ。表と裏なんて、見る方向でしか変わらないように。
だからこそ、相容れない。だからこそ、分かり合えない。桃野と話したのは初めてだったけど、絶対に仲良くはなれないな、と……そう思った。
それが私が、桃野へ抱いた第一印象。
そして、対する桃野は――
「白爪さん、また組もうよー」
「白爪さん、ご飯食べよー」
「白爪さん、一緒に帰らない?」
体育の授業の一件以来、もうしつこいほど私に付き纏ってきていた。
「……いいけど」
「やった! じゃあ傘取ってくるねー」
一人は嫌いじゃない。けど、別に友達といるのが嫌いってわけじゃない。
つまるところ、私はこの状況を楽しんでいた。恥ずかしいから、桃野には言ってないけど。
その後、桃野の積極的な協力もあり桃野の友達とも仲良くなって、私はクラスメイトとしてようやくクラスに馴染んでいった。全部、このかけがえのない友人――桃野のおかげで。