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第4話 嘘をつけ!

 書記をしているアートさんが戻ってくるまで副団長のニコラスさんと二人きりだ。

「ちょっといいか?」

 そういうとニコラスさんは向かいの尋問者席に座り、顔を近づけてきた。

 何かと思えば内緒話をしたいようだ。

「さっきの話、嘘はついてないんだな?」

 と小声で聞いてきた。

「そうですが、何か問題でも?」

 こちらも小声で返す。

「だったら、次は嘘9割で答えろ。」

 ……嘘を推奨していいんでしょうか。

「嘘も見抜いて尋問しなきゃならないからな。練習だよ練習。」

 疑問が表情に出ていたのか解説をしてもらった。

「そういうならそうしますけど、嘘の比率高すぎません?」

「本番じゃ100%嘘ってやつもいるからな。

 事実があるだけましってやつだな。

 後はその真実を見抜けるかどうかって問題だ。」

 そういうものなのか?

「じゃ、よろしく頼むぜ」

 そう言うとニコラスさんは元の席に戻っていった。

 9割の嘘と1割の真実。

 どこかの誰かの言を借りれば、

「嘘をうまくつく方法は99%の真実に1%の嘘を混ぜ込むこと。」

 だそうだが、今回は逆のことをしなければならない。

 まぁ、何言っても大丈夫ってのは気楽なことだ。




 それから少ししてアートさんと二人目の尋問者がやってきた。

 今度の尋問者は赤毛のとげとげ頭だ。

 よく兜をかぶってその髪型が維持できるものと感心する。

 休み時間に洗面台でワックスを付け直したりしているのだろうか。

 そんな彼は私のことをちょっとあざけるように見下している。

 乱暴にいすを引くとドカリと座り、右手で机をドンと叩いた。

 威圧も手の内のひとつだ。

 私はビクッと体を震わせるとともに、身を小さくしてうつむく。

 私は子ウサギ……私は子ウサギ……ちゃんと演技できているだろうか……

 上目遣いで相手の様子を伺うと、怖そうな表情から少し笑みがこぼれている。

 よかった、ちゃんとかかったようだ。

 うつむき加減を深くすると、自然と頬が上がり笑みがこぼれた。

 敵の攻勢にこちらも付き合う必要はない。

 ニコラスさんが砂時計を逆さにし、コツリと音を立てて窓の桟に置いた。

 尋問のスタートだ。

「お前の名は?」

「メリークリスマス……です。」

「……さっきの尋問といってることが違うようだが?」

 赤毛の眼力が増した。

「ご、ごめんなさい。

 だから痛いことはしないでください。」

 作戦その1、質問に答えないようにする。

「俺はそんなことはしない。

 カルロスのときと回答が違うから訊いているんだ。」

「……俺は?……わかりました。

 あなたが仲間の人に指示して私にひどいことをするんですね。

 エロ同人みたいに……エロ同人みたいに!」

 ちょっと言いたかった台詞が言えて内心ヒャッホーイと喜びたいところだが、表情は猫かぶってないといけない。

「身の安全は保障する。

 だから質問に答えてもらいたいのだが?」

「……も、申し訳ないのですが、お答えできません。」

「なぜだ!?」

「ひうっ!……ゆ、友人と約束しているのです。

 秘密にすると。」

「相手が友人であれば約束を破ったことを謝れば許してもらえるものではないかな?」

「あの方に会ってないからそのようなことが言えるのです。」

「そんなに恐ろしいのか、その友人とやらは。」

「そんな……ただ、一度だけお屋敷にお招きいただいた機会があり、そのときの彼女の姿が忘れられないのです。

 庭園でお茶をいただいた際、侍女に茶がぬるいとお怒りになられたのです。

 平伏する侍女を蹴り倒し、馬用の鞭で血が流れるまで叩いたその姿は狂気の沙汰としか思えませんでした。」

「屋敷に侍女か。

 そのご友人は貴族の出なのか?」

「はい。伯爵の家のお生まれです。」

その答えに尋問者の顔が苦虫を噛み潰したようになる。

「それで、どういうつながりで伯爵の屋敷に招かれることになったんだ?」

「それは、……恥ずかしながら、私も伯爵夫人などという爵位をいただいているので、幼いときからの知り合いで……。」

 今度はびっくりした表情になり、立ち上がり両手で机をバンと叩いた。

「ひうっ!」

 わーお、直情的だ。貴族に恨みでもあるのか?

「おまえが、伯爵夫人だと……どこの国のものだ?」

「シーランド……シーランド公国です。」

「シーランド公国なんて国は聞いたことがないぞ!」

「本当に知りませんか?」

「知らん」

「そうですか……。」

「……おまえは無実の人間を罪人として殺した者を知っているか?」

「……冤罪というのはどこにでも起こりうることです。」

「そうか」

 それっきり尋問者は黙ってしまった。

 そして私の目をじっと見てきたので、うつむいて視線を避ける。

 程なく、ニコラスさんが終了を告げた。

 アートさんが紙束を持って外に出ると、尋問者もついていくようにして出て行った。

「二人目だけど疲れたー。」

 机に体を預けてグテーっとすると、またニコラスさんが近づいてきた。

「おつかれさまだな。まだ8人も残ってるがよろしく頼むな。」

「わかってますよ。やらなきゃ投獄の上に殺されるんだから必死にやりますよ。」

「ところで、何が本当だったんだ?

 嘘をつけと指示したからあれだが、ぜんぜん本当の事言ってるようには見えなかったぞ。」

「さっきの話とぜんぜん違いますからねぇ。

 当然じゃないですか。

 ちなみにニコラスさんは何がほんとだと思います?」

「本当の事言う前に時間切れに1票。」

「残念でした。事実は、私が伯爵夫人ということでしたー。」

「はぁっ!?」

 ふふふー、驚いてる。

「世も末だな……」

「どういう意味ですかー!」

 インターバル中ずっとからかわれた……。


PVとかユニークユーザー数が増えるのってうれしいですね。

これからもがんばります。


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