第15話 3日目の終わりに
初日の仕事が終わり、宿舎に戻ってくるとビアンカさんと合流して夕食とする。
今日の夕食も肉だった。肉はもういいよ!
夕食を食べると歯磨きだ。歯ブラシ替わりの布を持って井戸まで行って歯を磨く。
それが終わったら身体を拭くのだが、そこで思い出した。
「石鹸買ってない!」
「明日買いに行けばいいじゃないですか。」
「あ、お金もない!」
「大銅貨1日で使い切ったんですか!?」
「必要経費だったんだよ。おかげで会計の仕事は減るだろうなー。」
「何に使ったんですか?」
「秘密。ビアンカさんにもそのうち支給されると思うよ。」
ビアンカさんの頭にははてなマークがいっぱいついている。
だが、気を取り直したのか私の背中を拭く気満々な感じになった。
「では脱いでください。」
「はーい。」
そう言ってワイシャツを脱ぐ。ビアンカさんは怪訝そうな顔をする。
次に下に着ていた薄いTシャツを脱ぐ。ビアンカさんは今度はびっくりしたようだ。
「その下着どうしたんですか!?」
「試供品として貰ってきたんだよ。マリルーさんもお店で注文してましたよ。」
「なんと!?こんな下着が広まるのを防げないなんて……。」
ビアンカさんはそう言うと手に力がこもる。絞ったはずのタオルからさらに水滴が垂れる。
ビアンカさんが無力感に支配されている間にブラのホックをはずす。
「ビアンカさん、拭いてください。」
そう言って背中を向けるとビアンカさんは意識を取り戻して背中を拭いてくれる。
やっぱり温かいのは気持ちがいい。
しかし、何もしゃべらないビアンカさんは不気味だ。
「ビアンカさん、今何考えてますか?」
「私は、その下着をどのように根絶できるかということを真剣に考えていますので、あんまり話しかけないでください。」
うん、頭がおかしいのはいつものことだ。
「ビアンカさんも今度注文してみませんか、この下着?」
「絶対に注文なんてしないので安心してください。」
何を安心すればいいんだろう……。
「なんでそんなにこの下着嫌いになるかな……。」
「考えても見てください。難攻不落の女性をやっとの思いで口説き倒して、服を脱がせたらその下着が出てくるんですよ。あんまりじゃないですか。」
……訳がわからないよ。
背中を拭き終わるとビアンカさんはベットに寝転んでしまった。
本気でこの下着の根絶について悩んでいるのかもしれない。
そう思うと、本気で引導を渡してしまった方が彼女のためかもしれない。
「ビアンカさん、この変化はもはやどうしようもありません。
明日には、私が注文したお店以外でもこの下着が売られることでしょう。
無駄な抵抗はやめて、おとなしく私が着ているような下着を着るのです。」
そういうと頭まで布団に入ってしまった。
私は全身を拭き終わると寝間着に着換えて2段ベットの梯子を上り、布団の上に横になる。
何でそこまで嫌うのかなぁ、着けてみれば感想も変わるだろうに……。
そんなことを考えながら3日目が終わった。
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