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こっくりさんと異世界にいるんだが。  作者: 亜架 耀香
一遍
2/12

【一】

  俺のクラスは変な奴らばかりで、校長のヅラをとってきたら賞金千円とか次の授業ずっと逆立ちしてられたら五百円とかそんなくだらない賭けが毎日のように行われている。まあ担任が担任だしな。見捨てられた教室、というやつだ。

 俺はといえば、「お前あれじゃね?変っつーか語らない自由人」(by友人)だそうで、まあ変わってるんだろう。まあ毎日朝はテレビ見ながら別に嫌でもないのに今日めんどいから学校行かないーとか調理実習牛丼だから行くーとか考えてるから自由人ってとこはあながち間違っても無いのだろう。


 さて、今日はどうするか。寒いから一日こたつでぬくぬくしてようか。

 即決定し、ミカン大量の段ボールとカップめんをもってこたつの毛布にくるまる。


 ん?何か重大なことを忘れている気がする。すぐに思い出した。


「…今日先生がなんかするっつってたな」


 暦丘高校一年六組担任小和田はかなりのへんじ―・・・変わり者で有名だ。担当は古文で、オカルト部の顧問をしている。一年六組も夏には肝試しやら一晩徹夜でUFO探しやらで巻き込まれていた。

 その小和田先生が何かするっつているのだ。絶対面白いな。よし行こう。


 アパートの駐輪場から自分の自転車をひっぱりだし、立ちこぎで全力疾走。教室についたのは、俺がうしろから入ったのと小和田先生が前から入ったのとが同時だった。


「あ、長月(ながつき)来た」

「はよー」

「おっす」


 友人やクラスメイトにあいさつをし、小和田先生に片手を上げて挨拶を終了する。


佑馬(ゆうま)、今日は来たんだな」


 席に座ると、後ろに座る時田が話しかけてきた。あのくだらない賭けの首謀者の一人だ。


「ほら、小和田がなんか言ってただろう?」

「あ~…何すんのかねえ」

「楽しみだな」


 短い会話を終え、前に向き直る。小和田教師はそれを待っていたらしく、ほぼ同時に話し始めた。


「えー…今日は昨日言った通りあることをやろうと思ってる。みんなにも協力してほしい」


 無感動な拍手の嵐。


「先生なにやんのー?」


「こっくりさんだ」


 しーーーーーん


 いやたとえではなく本当に教室は静まり返った。隣から、「静かに話を聞きたまえええっ」とおじさん先生の罵声が聞こえてくる。

 ごほん、と残念小和田センセが咳払いをした。


「え~……ここに道具は用意してある。先生と…あとそうだな、代表で二人出てもらおう」


「出ます」


 クラスの女子が手を上げた。たしか青谷朱音(あおたにあかね)というやつだ。青だか赤だかはっきりしろと思ったので覚えている。


「そうか。オカルト部だしな。感心感心」


 まじか。


「ふむ…じゃあもう一人、長月くんでいいや」


 かむかむと、手を振られた。白羽の矢がなんとやらとは、まさにこのことだろう。





「よしじゃあ、我が生徒たち。順に質問してもらおう」

「一時限目が終わります」

「む、そうだな。では三人で」


 この先生の元で育って行けるのか。俺は正直不安だ。


「―こっくりさんこっくりさん、小和田先生は馬鹿ですか」

「何聞いてるんだ長月くん!!うわ『はい』って答えたよ長月君長月君」

「そうですねうわすごいな俺思った通りだ予知能力でもあるのかな」

 

 棒読みで返してやる。


「…では、こっくさん、鳥居の位置までお戻りください」


 つつつと、一円玉が動いた。クラスがざわめく。


「…次、私ですね。こっくりさんこっくりさん」


 青谷がすみれ色の瞳でまっすぐ十円玉を見つめた。


「小和田先生は阿呆ですか」

「青谷まで!!」


 まあ、やっぱり「はい」ですよねこっくりさん。


「…よし、最後は先生だな。こっくりさんこっくりさん、」


 にやけ顔するな。


「青谷と長月くんはよく似てますよね?」


―「はい」


 なんでだ。


「あー、俺も思ってた!!冷ややかさがなんとも!」

「だろ!?だろ!?」


 勝手に盛り上がるクラス。

 当の俺たちは、お互いの顔に穴が開くほど見つめた。


「…私とあなたの気が合うのは認めます」

「同感」

「価値観も似てるようですね」

「同感」

「不本意ですが」

「大いに同感」


 「鈍感」って言いそうになった。


「これからよろしくで…よろしくお願いします」

「―同感」


 黒髪ぱっつん少女の青谷が俺の顔を見つめ―何故かほほ笑んだ。


 つーか今、「よろしくです」って言いそうになってただろ。

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