番外編 一人になっちゃった
一人になっちゃった。
パパがいなくなった日のことは、あまり考えないようにしている。
とにかく、一人だ。
最初に考えたのは、人を増やすことだった。
前にやったように魂から蘇生させて、仮の肉体を与えて、助けてもらおうと思った。できた。簡単だった。
でも、だめだった。
放っておくと勝手に動く。命令すると、命令した通りにしか動かない。話しかけても、なんか違った。あたしが作った人だって、どこかわかってしまう。
そもそも、あたしが蘇生させた人って時点で、無理だった。
諦めた。
次に、生きてる人を探すことにした。
日本中を探した。生きてる人間はほとんどいなかった。でも、何人かはいた。
山の中に、一人で眠ってる人がいた。
死んでいるわけじゃなかった。息をしていた。ただ、眠っていた。目覚めるまで、まだかかりそうだった。半年くらいかな、と思った。
——半年か。
他の人を見つけた。パパと同じくらいのおじさんだった。
こっちは目覚めていた。
素直に頼んだ。全部話した。
助けてほしいと言ったら、いきなり襲いかかってきた。魔法で追い払ったけど、怖かった。泣いた。
そっか、いきなりはだめなんだ。
また別の人をみけかた、今度は女性の人だった。
観察してから声をかけた。一週間くらい見てた。
人のいない町をあてもなく探し回ってた。
優しそうだと思った。
でも、だめだった。あたしのことを怖がってた。仲良くなれなかった。
だから前に見つけたあの眠ってる人には、どうしようか考えた。
仲良くなってから頼む、が正解だと思った。でも仲良くなる方法がわからない。
話しかけるだけで仲良くなれる自身がなかった。
ゲームだ、と思った。
ゲームなら最初から協力する理由がある。一緒に冒険すれば仲良くなれる。
そしてチートな感じにすればいい。楽しいはずだ。あたしだってそうだった。
まず、眠ってる人の近くに、平たい場所を探した。山の中だったけど、なんとかなった。願えばどうにでもなる。
村を作ることにした。
中世っぽい家にしようと思った。なろう小説で読んだやつだ。石造りの家、木の看板、石畳の道。イメージはあった。でも実際に作るのは大変だった。バランスが難しかった。何度もやり直した。
だんだん形になってきたら、楽しくなってきた。
村が出来ていくのを見てるのは、これはこれで楽しかった。
NPCも作った。魂から蘇生させた人たちに、村人をやってもらうことにした。命令すれば動く。ギルドの受付も、酒場の店主も、全部そうだ。
魔物もたくさん作った。角の生えたうさぎ、全身が黒い猪、目が赤い狼。小説で読んだやつを参考にした。我ながらよくできたと思う。
ダンジョンが一番大変だった。
魔物の配置を考えて、難易度を調整して、報酬を設定して。何度も試した。強すぎても弱すぎてもだめだ。最初は勝てる、でも少しずつ強くなる、そういう感じにしたかった。
それから、どうやって声をかけるか考えた。
いきなり話しかけても怖がられる、というのは2回で学んだ。
だから、魔物に襲われてるところを助けてもらおうと思った。
助けてくれたら、少なくとも悪い人じゃない。それに、助けた側って、なんか放っておけなくなるらしい。本で読んだ。
演技の練習もした。
転んで、悲鳴をあげて、怖がって座り込む。何度もやった。NPCに見てもらった。NPCは「上手です」しか言わないから参考にならなかった。
ぶっつけ本番だった。
それから魔法陣を作った。詠唱を考えた。チートの種類を考えた。全部ひとりで考えた。
半年で、なんとか形になった。
我ながら、よくできたと思う。
あとは、あの人が目覚めるのを待つだけだった。




