第4話 伝説のダブル
ギルドへ向かう道すがら、マイは少し前を歩いていた。足取りが迷いない。この辺の地理を完全に把握しているようだった。
「さっき使ってたキュアって、俺も使えるかな」
マイが振り返った。
「魔法はその人の素質によるからね。一つしか覚えられないから、色々試さないといけない」
「一つだけか」
「うん。回復魔法、試してみる?」
マイが懐から紙を取り出した。記号と図形で構成されている典型的な魔法陣だった。
「ここに手を当てて、そのまだ残ってる傷が癒えるイメージをして、キュアって言ってみて」
確かに、俺の手の甲には黒猪との戦闘でおった傷がある。
紙に手を当てた。その傷が癒えるイメージをする。
「キュア」
手のひらから、淡い光が生まれた。
「使えた」とマイが言った。少し驚いた顔をしていた。
「そんなに珍しいのか」
「うん。でも回復魔法使えたなら、もしかして」
マイが立ち止まった。
「昔の伝説に、二つ魔法が使える迷い人がいたって話があるんだよ。カイもそれかもしれない」
「二つ?」
「試してみて」
また別の模様の魔法陣を出した。
紙に手を当てた。次は火をイメージする。
「ファイア」
手のひらの上に、火の玉が生まれた。思わず放り投げた。火の玉は宙を飛んで、近くの石に当たって消えた。
マイがじっと見ていた。
「すごい」
「二つ使えるのか」
「ダブル。伝説だよ」
マイは小さく笑った。嬉しそうというより、どこか確認したような笑い方だった。




