二人の父親
魔法紹介
【滞空魔法】
空中にいる状態(ジャンプ時など)で発動すれば、空中を自由に動く事が出来る。
習得魔法の一つで、チオニスが所持している。
【フレイジス・コルエス】
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます……」
何故だろうか。
乗り気だったチオニスが、急に暗く静かになった。
雰囲気が変わったのは……母と対面した時。
まさか、“接点があった”という偶然があるんだろうか。
「学園のフレイジスはどう過ごしてる?」
「お、おい……」
「人一倍努力してて、お人好しで……強くなる為に行くターンライト学園で、一番強くなりたいって思ってます、多分。」
「そう。頑張ってるね、フレイジス。」
俺は照れているのか、上手く声を出せなかった。
「それで……チオニス君。聞きたい事が二つあるんだけど……」
「はい?」
「まず、どうして家に来たいって思ったの?」
チオニスが家に行きたいと言ったのは唐突だった。
俺も気になっている。
「……フレイジスの両親がどういう人なのか知りたくて来ました。」
「……そうなのね。フレイジスが生まれてから、ずっと私一人で育ててきた。フレイジスの炎魔法は、私から遺伝したのよ。」
「……。」
「こんな感じの答えで良いかしら。じゃあ二つ目ね。」
チオニスに返答する時間を与えず、二つ目の質問に移った。
「何故……髪を水色に染めたの?」
「……っ!」
俺達は目と髪の色が違うのを”染めているから”だと思い込んでいた。
本当は……チオニスの口からそう言われてないが。
「…………水色が好きだからです。」
かなり黙り込んでからチオニスはそう答えた。
「……そうなのね、教えてくれてありが……」
「フレイジスの父親は誰ですか。」
言葉を遮るように、チオニスが聞いた。
「……え?私言ったわよね?片親だから……」
「フレイジスは知らなくても、あなたは知ってるはずです。誰なんですか。」
チオニスから圧を感じる。
俺も父親について全く知らないので、母からの回答を待つ。
「……凄く失礼な子ね。人の家庭話に足を突っ込むなん……」
「じゃあこれだけ聞かせてください。」
「……何かしら。」
「僕は数日前、順位変動戦でフレイジスと戦いました。その時に見たんです。フレイジスの左目が黒くなって……そして……」
「黙って!」
母は俺に叱る時と同じぐらいの声量で、チオニスの質問を遮った。
俺の左目……?黒くなった……?
一体何の話だ……?
「なぁ、どういう事だチオニス。俺の左目が……」
「忘れて、フレイジス。」
「は……?」
「チオニス君。あなたと二人だけで話がしたいから、2階に上がって。」
「は……おいどういう事だよ……」
「フレイジスは絶対に来ないで。」
「だ、だが俺に関することなら俺も……」
「絶対来ないで!」
一体どういう事だろうか。
まさかとは思うが、もしかしたら俺は……
【チオニス・フエーラー(三人称視点)】
「フレイジス……無理矢理力を使いすぎたから……」
「フレイジスは……」
「そう、あなたも感づいてると思うけど、フレイジスは”オッドアイ一族の末裔”なの。」
「やっぱりそうですか……」
チオニスは分かってたかのようにそう答える。
「私は昔、ギルドパーティにいた男を好きになっちゃって……その男には新婚の妻がいたのに、私は……その男が寝る時に……襲っちゃったの。」
「……何故ですか?」
「”私の方が最初に好きになったのに”って風に嫉妬しちゃったから。でも襲った次の日、男は新婚の妻と一緒に姿を消したの。私が妊娠してるって気づいたのはその後だった。」
「……。」
チオニスは一語一語を聞き逃さないよう真剣に話を聞いている。
「私はその後、別の国でフレイジスを産んだけど、やっぱりあの男の事を忘れられなくてね……ここに戻って、男について聞き込んだ。」
「……それで?」
「私が好きになった男は……オッドアイ一族の末裔だった。それがバレた事で、男とその妻は、森の奥に姿を消したって言われて……それも、バレたのは私が別の国に行って間もない頃だったらしくてね……」
「……あなたはその後どうしたんですか。」
「私は……あの男の事を忘れたくて……だから私は……妻ごと……家ごと……!」
「っ!? やっぱり……」
「……え?」
涙を流しながら答えたフレイジスの母に、チオニスは睨んだ顔をしていた。
「……最後に……その男の名前を覚えてますか……?」
「……この事を、金輪際フレイジスに言わない事を誓ってくれる?」
「……」(コクッ)
フレイジス母からの約束に、チオニスは頷いた。
「私も思い出したくないけど……名前は……」
「……。」
「オーニス・フェラー。」
「……っ!!」
「どうしたの、そんな顔し……」
(ガンッ!)
「きゃっ!?」
オーニス・フェラー。その名前を聞いた途端、チオニスは瞬きで、触れる素振りを見せず殴った。
「いたい……あなたには関係ない話だったでしょう!?」
「……あるに決まってるだろ!」
「……えっ!?」
【フレイジス・コルエス】
(ガンッ!)
「……ん?」
二階が騒がしい。一体どうしたんだ?
まさか……チオニスが母に何かしてるのか?
来るなと言われたが、気になった俺は二階に行き、部屋を覗いた。
……そしてチオニスがこう言った。
「お前が……お前がぁ……!お前が僕のお父さんとお母さんを殺したんだ!」
「……なっ!?」
俺の為に頑張ってくれている母が、そんな事を……?
本当に……どういう事なんだ?
どうか私に……星という恵みを……
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