始まりの順位
人物紹介
【フレイジス・コルエス】(1)
ターンライト学園に入学するため、試験を受けた赤髪の男の子。
幼い頃から魔法を使えるという理由で、周りから天才と呼ばれており、彼は”子供の中では俺が一番強い”と思うほどの自信家となった。
天才と言われるに相応しい実力は持っており、周囲からも一目置かれる実技試験となったが……
チオニス・フエーラーという存在が、彼が持っていた”強さへの自信”に傷をつけることとなった。
【フレイジス・コルエス】
実技試験と筆記試験を終えた俺は、順位の発表を心待ちにしていた。
昔から”天才”と言われてきたせいか、母はかなりの数の知識本を買ってくれた。
そのおかげで、筆記試験はとても簡単だった。
……最後の問題以外は。
「……チオニス・フエーラー。」
他の事を考えていないと、どうしてもあいつの事を考えてしまう。
あの時に見せた圧倒的な技。俺にはそれが何なのか分からないが、筆記試験がとんでもなくでない限り、スターエイト入りを果たしてくる。
……そういえば、あいつはどこに行った?
俺は辺りを見回す。するとトイレから丁度出てくるのが見えた。
喧嘩を売るつもりはないが、あいつと話がしたい。
そう思った俺は話しかけようとしたが……
『これより受験の合否、そして順位を発表します。受験者は2階モニター前までお越しください。』
俺が今いる場所への集合がアナウンスされ、集まって来た人の波によって姿が見えなくなった。
一旦後にしよう。俺はまず番号を見て合否を確認する。
毎年合格の条件が違うが、今年は”実技と筆記がどちらも60点以上”らしい。
当然のようにあった。もちろんフエーラーもいる。
次に俺は順位を確認した。
『現時点の順位』
≪スターエイト≫
1位 :チオニス・フエーラー【実技:100 筆記:92】
1位(同率):フレイジス・コルエス【実技:97 筆記:95】
3位 :ゲドフ・スーギール【実技:92 筆記:93】
4位 :べリリフィア・ゲソダーネ【実技:75 筆記:100】
5位 :ザイン・パンチズ【実技:95 筆記:74】
6位 :タンソフィア・ゲソダーネ【実技:68 筆記:100】
7位 :パフエア・オイシーネ【実技:77 筆記:88】
8位 :ウオドワー・キチエエテ【実技:79 筆記:82】
「……っ!?同率だと!?」
実技点では負けているが、筆記点で上回り、同率になっていた。
「なぁ、今までこんな事ありえたのか?」
「今年は1位が2人いるらしいぜ。まぁギリギリで受かった俺にとっちゃ、雲の上の話だけどな。」
「俺絶対チオニスって奴の能力持ってたら受かったんだけどなぁ、交換してほしいぜ。」
反応も大きい。1位が2人というのは、今までにない前代未聞の話だ。
「コルエスさーん!私スターエイトに入りました!これから一緒ですね!」
さっきの女の子……オイシーネが駆け寄ってくる。
「さっき格の違いを見せつけてきたあのフエーラーって人、いざ総合点で見たら同じ位でしたね!これなら来月にはすぐ単独1位の最強に……」
「いや。」
俺はオイシーネの言葉を遮る。
「悔しいが俺は1位では……最強ではない。例え記載では1位でも、俺は……俺があいつより上回っているという事実を得るまで、1位ではない。だから……」
その時。
「順位の申し立てのある生徒は、お隣のカウンター係にお越しください。」
俺はカウンター係の前まで進む。そして……
「1位、フレイジス・コルエス。実技の点数を1点下げ……2位にしてください。」
声を震わせながら、1つ順位を下げるよう要求した。
”2位”。この言葉ほど悔しい言葉はない。だが俺はフエーラーを見て、最強ではなく”ただの2番手”……いや、もしかしたらこの学園に来ていないだけで、俺より強い子供もいるかもしれない。そう気づかされた。
カウンター係だけでなく、周囲も驚いた表情を見せる。
「おい聞いたか!?1位の奴が順位を下げたぞ!?」
「ありえねー、どういう狙いなんだ?」
「まさか、毎年1位が向けられるヘイトから避け、最後の最後で1位を持っていくのか!?」
批判されている。
スターエイトはおろか、受からなかった人にとって、奪われた1位を自ら落としにいくのは馬鹿にしてるということだ。俺だってそれは分かってる。
だが、俺は最強になりたい。世界最強に……!
まずはフエーラー。俺に大きな壁を作ったお前に、直接対決で勝ちたい!
それまでは2位だ。悔しいが、あいつと同格であると、まだ心の底では認められない。
「……なんで?」
「お前は……フエーラー!?」
振り向くと、俺の横にフエーラーが立っていた。
「なんで降りるような真似をしたの?1位になれば、世界で見ても最高クラスの王国から最高の待遇を受けれるのに。1位から降りるなら、僕が降りても良かった。」
「……は?な、何言ってんだ?」
「僕に1位を譲るくらいなら、君が1位になるべきだ。頭も良いし、実技も3点しか変わらない。君が1位になった方が……国も喜ぶから……」
……は?国の為だと?
「さっきから何言ってるのか分からないが、俺を馬鹿にしてるのか?その3点が……俺にとってどれだけ屈辱か、お前には分からないだろうな!いいか!お前は今1位でいろ!だが勘違いするな!俺はすぐに強くなって、お前を倒して正真正銘本物の1位になってやる!」
「……っ!うん。じゃあ、来月の”順位変動戦”で僕を倒してよ。これからよろしくね?」
フエーラーは俺に少し微笑み、去っていった。
……何だったんだあいつは?誰しもが手に入れたい1位を、何故あいつは譲ろうとする?
だがこのやり取りで、ますますフエーラーを倒したくなった。
【試験管達】
「あの受験者、スターエイトの首席だって!」
「例の銅像を切った子でしょ?やばいよね、あんな年で。”冒険者ギルドの七星クラス”と渡り合えるんじゃない?さすがに”八星クラス”は無理そうだけど。」
「いやいや、あれで初見殺し食らったら、八星クラスにも通用するでしょ?」
「結局、あの魔法はなんだったんだろうね。……ってか魔法なの?」
「現在発見されてる22種類の魔法のどれにも属さない。だが遠距離攻撃は魔法の専売特許だ。新種の魔法しかありえない。」
「みんなー!聞いて聞いて!その、首席の……フエーラー君だっけ?あの子が切断した銅像に、ありえない現象が起きてるんだけど!」
試験管達は切断された銅像を見る。
「なんで……銅像が濡れている?」
どうか私に……星という恵みを……
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