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「コード・オブ・メモリア -虚構に咲く約束-」  作者: ささみやき
第一章 旅立ちの決意

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第4話 『二人の決意』

ユウは、春人の言葉にしばらく沈黙していた。

その瞳は、ミナの寝顔と春人の横顔を交互に見つめていた。

やがて、彼は小さく頷いた。


「……ハルがそう言ってくれるなら、僕も信じてみたい。ミナを助けられるって」


その声は、震えていた。

けれど、それは恐れではなく、希望の芽生えだった。

ユウの母親が、部屋の入口から静かに歩み寄ってきた。

彼女はミナの枕元に膝をつき、そっと髪を撫でながら言った。


「この子が倒れてから、ずっと考えてたの。村の外に出れば、何か方法があるかもしれないって。でも……王都は遠いし、魔物も出る。子どもを送り出すには、あまりにも危険すぎる」


春人は、彼女の言葉に耳を傾けながら、ゆっくりと口を開いた。


「……理由はうまく言えないけど、今ここにいることには、きっと意味があると思うんです。ミナを助けることが、その答えになる気がして」


ユウの母親は、春人の目をじっと見つめた。

その瞳には、疑念も不安もあった。

だが、春人の言葉には揺るぎないものがあった。

ユウは少し驚いた表情で春人を見つめ、やや戸惑いながらも優しく言う。


「春人、君の言葉には何か特別な力を感じるよ。ミナのために一緒に頑張ろう」


母親は春人の決意を受け止め、温かい笑顔で頷く。


「そうね、理由はわからなくても、あなたがそう言うなら信じるわ。ミナのために力を貸してくれてありがとう」


彼女はそう言って、棚から古びた布に包まれた小さな巻物を取り出した。

それは、王都への地図だった。


「これを持っていって。村の誰もが忘れかけていた道だけど、まだ通れるはず。途中には“霧の谷”と“忘れの森”を越えなきゃいけないけど……」


春人は受け取った巻物を広げ、目を細めた。

地図には、村から王都までの道のりが手描きで記されていた。

その線は、まるで記憶の断片をなぞるように、揺れながら続いていた。

ユウが春人の隣に立ち、地図を覗き込む。


「僕も行くよ。ハルと一緒に。ミナを助けるために」


春人は、ユウの言葉に頷いた。

その瞬間、二人の間に確かな絆が生まれた。



*

夜が更け、村は静寂に包まれていた。

春人は客間の窓辺に座り、星空を見上げていた。

見たことのない星々が、空に散らばっている。

その光は、まるで彼の決意を照らすように、静かに瞬いていた。

――旅は始まる。

ミナを救うために。

そして、この世界の“記憶”に触れるために。





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