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「コード・オブ・メモリア -虚構に咲く約束-」  作者: ささみやき
第二章 霧の谷へ

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第10話 『冒険者ギルドに行こう』

俺とユウは、仲間を探すため近くの冒険者ギルドによることにした。



冒険者ギルド――それは、力を持つ者たちが集う場所。

剣士、魔導士、狩人、錬金術師……種族も背景も違う者たちが、ただ一つの目的のために集まる。

“依頼をこなし、報酬を得る”。それだけのシンプルな仕組み。

だが、その裏には、国の軍では手が回らない魔物討伐や、封印された遺跡の探索、時には王都の密命すら含まれている。

ギルドの建物は、石造りの重厚な造りで、入り口には大きな掲示板が設置されている。

そこには、討伐依頼、護衛任務、探索調査など、さまざまな依頼が貼り出されていた。

依頼にはランクがあり、Fから始まり、最高位はS。

新人はまずFランクからスタートし、実績を積むことで昇格していく。

受付には、ギルド職員が常駐しており、依頼の説明や報酬の管理、時には仲間探しの斡旋まで行ってくれる。

ギルド内には酒場も併設されており、情報交換や人脈作りの場としても機能している。

中には、ギルド内で結成された固定パーティも多く、彼らは“常連組”として一目置かれていた。

そして何より――ギルドは、力を持つ者たちが“自分の物語”を始める場所でもある。

俺とユウが向かうのは、セレノの集落にあるそのギルドの支部のひとつ。



霧の谷の入口から、南西へ向かって数時間。

獣道のような細い山道を抜け、いくつかの丘を越えた先――

そこに、冒険者たちの拠点《セレノのギルド支部》はひっそりと佇んでいた。

谷の不気味な霧とは対照的に、そこには人の気配と焚き火の煙が漂っている。

旅人、傭兵、賞金稼ぎ。

名もなき者たちが集い、依頼と報酬を糧に生きる場所。

それが、冒険者ギルドだった。

ギルドの扉を押し開けると、ざわめきと焚き火の匂いが迎えてくれた。

木造の梁に吊るされたランタンが、温かな光を落としている。

奥には酒場スペースがあり、数人の冒険者が地図を広げながら談笑していた。

俺とユウは受付カウンターへと向かう。

そこには、栗色の髪を三つ編みにした女性が座っていた。

年齢は二十代前半。

制服の胸元には、ギルド職員の紋章が輝いている。


「いらっしゃいませ。セレノ冒険者ギルドへようこそ。ご用件は?」


声は明るく、けれど事務的な響きもある。

春人が一歩前に出て、少し緊張した面持ちで答えた。


「えっと……仲間を探していて。霧の谷を越えたいんです」


受付嬢の瞳が、わずかに鋭くなる。


「霧の谷、ですか。あそこはFランクでは立ち入り禁止区域です。お二人の登録は?」

「まだ、してません。今日が初めてで……」


ユウが横から補足する。それにしても立ち入り禁止区域だったとは、入ったこと言うと、面倒なことになりそうだから、黙っておこう。

受付嬢は小さく頷き、手元の書類を取り出した。


「ではまず、ギルド登録をお願いします。名前、年齢、得意分野、そして――命を預ける覚悟があるかどうか」


春人とユウは顔を見合わせる。

そして、同時に頷いた。


「あります。俺たちは、どうしても王都メモリアに行かなきゃならないんです」

「……理由は聞きません。ギルドは依頼と報酬の場ですから」


受付嬢は微笑み、書類を差し出した。


「ようこそ、セレノのギルドへ。ここからが、あなた達の物語の第一歩です」










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