#7
その後も彼女との連絡は続いた。
日々チャットで話し、ごくたまに通話をする。
通話は決まって日曜の昼過ぎ、10分から長くて20分。
今考えれば違和感しかないが、この頃の僕は"忙しいのか"としか思っていなかった。
テストが終わり、夏休みが始まった。
部活引退の年とはいえ、そこまでの強豪校でもなかった為、練習は程々に、
家でだらだらと毎日を過ごす。
連絡を取り始めた当初よりは彼女の返信が遅くなったとはいえ、会話は変わらず続いていた。
けたたましく鳴くセミの声に、ふと去年の彼女との出会いを思い出す。
夏蜜柑を手にした彼女
彼女と会いたい。
そんな衝動に駆られ、気づけば彼女に連絡をしていた。
"ねぇ、夏休み暇な日ない?忙しいのは知ってるんだけどさ、1日くらい会いたいな、なんて。"
ああ、送ってしまった。
彼女の返信が来なかったらどうしよう。
そんな不安とは裏腹に、彼女からの返信は10分も経たずに返ってきた。
"私も君に会いたいって思ってたんだよね。なんか懐かしい気がするし、夏みかん君。"
"来週の日曜なら会えると思う。6時前には帰らないとだけど、どう?"
すぐに返信をする。
"その日空いてるから、いいよ。"